男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ま】

マイ・ロード

★★ 1980年10月19日(日) 伊丹ローズ劇場 白人女と一発やりてえという恥も外聞も身も蓋もない話を脳天気に繰り広げられても、どう対処すればいいというのだろうか。日本人の平均的意識レベルを忠実に反映した時代の産物とも言えるが哀しくも侘びしい出来となっ…

舞妓はレディ

★★★★ 2014年10月6日(月) TOHOシネマズ梅田7 エッジ効かせるなんて野暮どすえと言う映画内コンセプトを作劇にも応用したか知らんが絶妙の緩さ。萌音ちゃんの垢抜けし行く様は本家を遥か凌駕しオジサンの萌え心を擽り、スペイン平野は京都盆地に時空を…

マップ・トゥ・ザ・スターズ

★★ 2015年1月17日(土) テアトル梅田1 ハリウッド言うても片隅が舞台の旧態な因縁話で描かれる毒に新味がない。西海岸の乾いた陽光をサスチツキーは平板にしか捉えられず、しょんべん臭いヘタレガキも半端である。『サンセット』の魑魅魍魎ヤ『イナゴ』の…

まぼろしの市街戦

★★★★ 1980年10月11日(土) 毎日文化ホール 「何が正気で何が正気でないか」では如何にも生硬だが、 それを「こっち側に留まるかあっち側に行ってしまうか」にすり替えたのが堪らなく文学的なのだ。そして、留まっても越境しても孤独感は拭われない。そこが痛…

万引き家族

★★★★ 2018年6月27日(水) TOHOシネマズ梅田2 継父によって日常的に虐待される少女。 パチンコ屋の駐車場で車の中に放置された少年。 まあ、どちらも極めて昨今では普遍化しつつある忌むべき行為だ。 が、であるからこそ、その設定?って感じで、言うた…

マシンガン・パニック

★★ 1977年6月19日(日) 伊丹グリーン劇場 地道な聞き込み捜査を描いた映画で冒頭のシーンが派手な見せ場とは言え「マシンガン」は兎も角「パニック」はないだろう。売らんが為の無茶な邦題が罷り通る時代が懐かしい。内容は覚えていないが今見れば通好みの渋…

マリア・ブラウンの結婚

★★★★ 1980年11月9日(日) 大毎地下劇場 敗戦国の戦後という退廃を旨とする作家の自家籠中世界のヒロインが一途な愛を貫くのが泣かせるが、一方で切り捨てられる数多の男たちは哀れだ。スペクタクルな世界に毒と純情を程よくブレンドしファスビンダーが大衆寄…

マジック・イン・ムーンライト

★★★★★ 2015年4月17日(金) MOVIXあまがさき9 最早新しいことは何一つ無いのだがアレンシニカルサイドを抽出したかのようなファースが目玉お化けエマの眼力の下の純情に融解される。そのキャラ強度こそ肝。天文台の雨宿りはラブコメ常套でも品位と節度が好…

真夜中のゆりかご

★★★★★ 2015年6月9日(火) 大阪ステーションシティシネマ7 汚濁の中にも希望の光は存在し平穏な日常下には絶望地獄へのとば口が雌伏する。明らさまな2項対立だがそれを感じさせぬ作劇の妙がある。母親と子どもの関係性への生理レベルでの言及が女性ならで…

マッドマックス 怒りのデス・ロード

★★★ 2015年6月20日(土) 梅田ブルク7シアター6 濡れた仔犬のようなハーディは孤高というより優柔不断な場当たりに見え「マッド」度はてんで低い。『サンダードーム』の拡張的ジョー王国は既視感拭えず、規格更新されたチェイスは馬鹿騒ぎ的な過剰さで修飾…

マンハント

★★ 2018年2月23日(金) 大阪ステーションシティシネマ11 大体にジョン・ウーの映画ってのは恥ずかしいものなのである。 だって、グラサンかけて咥えタバコってだけでも恥ずかしい。 なのに、スローモーションでコートはためかせて見栄を切る…なんて尋常な…

マイ・インターン

★★★★ 2015年11月8日(日) MOVIXあまがさき4 生きてくうえでの居場所作りの物語として見たが、総務畑で会社勤めを全うしたかのような地味で実直なデ・ニーロのキャラ付けが隘路のピンポイントを突いた。出張のホテルの一夜の腹一物な視線の交錯が微温ドラマ…

マッドマックス

★★★ 2015年11月21日(土) 新世界国際 最初の悪党カップルのひたすらな「やったるゼー」とか「ヒャッホー」リフレインに芸無さすぎと萎える。今となっては「2」前史としてしか見れないのだが、未だ孤高でも虚無的でもないマックスはともかく、敵キャラ造形…

真夜中のカーボーイ

★★★★★ 1978年6月21日(日) ビック映劇 1980年5月21日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 上辺にトライし打ち砕かれても受け入れ場所はある。そういう懐の深さを宿す60年代末NYアンダーグランドの混沌。定員制故に退場者は出るにせよ救済システムが一応機…

マイ・ファニー・レディ

★★★★★ 2015年12月21日(月) シネリーブル梅田4 拡散増幅し行く枝葉の人物群が決して整合的に収斂されるわけでもない。寧ろ放置されとっ散らかってるるのだがボグダノヴィッチは包括的に映画愛で統御し切ってしまう。『大追跡』では未だ生硬だった人物の出…

マイ・ウェイ

★ 1976年8月22日(日) ビック映劇 強権的な親爺がシナトラのド演歌に乗って自己陶酔に浸る映画なのだが、凡庸な演出で何一つ美点も認められない。白豪主義国家のモラリズムの遺物ぶりを笑う前に、75年の興収でそこそこ人が入っちまう名誉白人国家ニッポンを…

祭りの準備

★★★★★ 1977年8月12日(金) 毎日ホール 1980年8月16日(土) 毎日ホール 中島の私小説ミニマム世界が実験心ある黒木のフィルターを通すことで神話的に拡張した。凡庸な主人公の周りのキャラクター達は追憶の中で濾過され永遠なる切なさに封印されるだろう。旅立…

マンチェスター・バイ・ザ・シー

★★★★ 2017年6月25日(日) MOVIXあまがさき3 彼が後生大事に持っている3枚の写真は1度も映ることがない。 過去挿話で兄の嫁さんは裸の下半身が映るだけ。 アカデミー脚本賞も納得の出来だ。 随所で語らずに語るの技法が効いていて心憎いばかり。 時…

マネー・ショート 華麗なる大逆転

★★★★ 2016年3月9日(水) TOHOシネマズ梅田2 カレルの調査チームが目の当たりにするサブプライムの最川下の荒廃した宅地や業者とか格付け会社の似非権威の実態が講談的だ。リスクを負ったのだから世界が崩壊して俺が設けて何悪いくらいに開き直って欲しい。…

マイ・ラブ

★★★★ 1977年12月11日(日) 元映 目眩くような歴史の変遷と時代に翻弄される人々をケラー3役とデネ2役のトリッキーで冴えたアイデアと時代ごとのポップスで紡ぐルルーシュの一大転換点となった中期の傑作。後の弛緩した『愛と哀しみのボレロ』の原点とも言え…