男の痰壺

映画の感想中心です

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ぼくたちの家族

★★★★★ 2014年5月28日(水) 大阪ステーションシティシネマ8 絶望的にアウトな状況となった長男が自問し打破するドラマを石井は与えずに弟のセカンドオピニオン巡りの作劇にかわすのだが、絶妙だ。それだから2人のパブシーンの兄のキャバ嬢へのメール話が効…

ネットワーク

★★★ 1980年4月10日(木) ビック映劇 役者もスタッフも揃ったが、視聴率至上主義と言っても今更当り前過ぎて更なる過激なカリカチュアが欲しかったところだ。さすれば狂気と狂気の狭間で諦観するホールデンなぞもそのシニズム故に更に生きてくる筈だった。ルメ…

BACK STREET GIRLS ゴクドルズ

★★★ 2019年2月16日(土) 梅田ブルク7シアター4 惹句に「壮絶に、チン○が消える」とあるんだが、生ぬるいと思った。 東映ピンキーバイオレンスに例える評も見たが、この映画、あきらかにばったもんに近い。 俺は地下アイドルってのに興味はないし、もっと…

クーリエ 過去を運ぶ男

★★★★ 2014年5月24日(土) トビタシネマ 人捜しに纏わる状況がカフカ的迷宮の様相を呈するだけでも堪らんが、ニューオリンズや中国女やエルヴィスといったここ20年の映画的売れ線アイテムで修辞してダメ押す。中でも異彩を放つのがカポ夫妻の造形。ギャグ…

隠し砦の三悪人

★★★ 1978年11月5日(日) 伊丹ローズ劇場 瞬時の判断で騎乗追走しの鮮やかな3人斬りの挙句に冗長な藤田との申し合い。決定的な個の脅威が存在せぬ状況で内輪揉めに終始する世界観は余程の芸どころ不在では厳しい。上原美佐の学芸会は突き抜け笑えるが【黒澤】…

恋や恋なすな恋

★★★ 2019年2月24日(日) 新世界東映 なんというか、一種のとんでも映画に近い気がする。 かっちりした剛速球投手のイメージがある内田トム御大だが、これは変化球連投のサブマリンみたい。 のっけから富士が噴火して天地が鳴動する。 って京でその噂が伝聞…

ザ・イースト

★★★ 2014年5月24日(土) 新世界国際劇場 潜入操作ものの定番通りにミイラ取りがミイラにと展開し主人公の心の揺れを描くに見せかけるが、根底では環境テログループを否定的見解を内在させつつ冷徹に見定めるので、結果として映画は曖昧なスタンスに終始せざ…

マデリーン 愛の旅路

★★★ 1980年6月15日(日) SABホール 手堅い演出だし退屈することもないのだが、41歳のアン・トッドが適齢期の女性を演じるのが土台無理であり華が無さすぎ。男達にも魅力がないのでグダグダの恋愛の泥沼は正味どっちでもよくなる。構成上の煮え切らなさも…

13回の新月のある年に

★★★★ 2019年2月17日(日) シネヌーヴォ 俺は昔、ファスビンダーの「ケレル」ってのを見て大概うんざりしたことがあるので覚悟して見に行った。 でも、そういったその手の人専門映画みたいな雰囲気ではなかった。 これは、妻も子もいるのに、ある男に「お前…

グランド・ブダペスト・ホテル

★★★★★ 2014年6月9日(月) TOHOシネマズ梅田10 美術や構図や多くのギミックが行くとこまで行った感があり、結果、歴史に翻弄された男の物語は意匠に覆われ埋没ぎみ。円環は閉じてしまい、綻びは2重3重に修復されハプニングは封殺された。役者もこぞ…

ふくろうの河

★★★★ 1980年4月23日(水) 関西学院大学学生会館201号室 殊更目新しいアイデアでもないがモノクロ撮影で捉えられた森の光と影がもたらす全篇に漂う幻想味が秀逸。この世界は掛け替えのないもので充ちており、そのことに気づいたあとの喪失は1度目より苦渋…

半世界

★★★ 2019年2月16日(土) TOHOシネマズ梅田6 阪本順治のオリジナル脚本だそうだが、なんか構築仕切れていない感じがする。 多くの挿話が点在して、それらが連関しながら全く新たなものを産み出すってのが構築の醍醐味だと思うのだ。 3人の幼馴染の話だ…

XーMEN フューチャー&パスト

★★★ 2014年6月5日(木) MOVIXあまがさき9 雁首だけはやたら揃えてみたが結局『Fジェネレーション』組一本かぶりな設定で、旧シリーズ組が不憫である。3角関係の確執も突っ込まれる訳もなくジェニファーの苦悩は何一つ響かない…て言うかそもそも安産…

天使のはらわた 赤い教室

★★★ 1980年6月25日(水) 毎日ホール 1982年10月13日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 1点の曇りない非情世界であり救われない奈美はただ転げ堕ちる。水原ゆう紀が最初っから墜ちてしまってるムードを濃厚に漂わせて世界に沈殿しており被虐感さえも最早無い…

バーニング 劇場版

★★★★★ 2019年2月16日(土) 大阪ステーションシティシネマ12 原作は未読です。 村上春樹はけったくそ悪いが認めざるを得ないって感じで、俺は断然、村上龍派でっすな。 っていうか、そんな派とかあるんかしらんが。 ハルキ・ムラカミの小説の主人公って、…

トラック野郎 望郷一番星

★★★★ 2014年5月17日(土) 新世界東映 開巻30分で犯した軽犯罪は片手で足りなそうな桃次郎の圧倒的グルーヴ感。その余熱で残り1時間も美味しく感じられる。とにかく素晴らしきテンコ盛り映画ではるみの気風の良さもさもあるべしか。日本的風土に馴染むデ…

ベニスに死す

★★★★★ 1980年5月11日(日) SABホール 主人公が乳白色の海を渡って辿り着いた白いホテルは、疫病の蔓延する湿った石畳の黄泉の国への入り口であった。メフィストフェレスに誘われ自壊しゆく男を豊穣なディテールをもってこれ以上ない精緻さで描く。内向する…

洗骨

★★★ 2019年2月13日(水) 大阪ステーションシティシネマ8 心のこもった良い映画だとは思う。 おそらくこれは、監督の照屋年之ことガレッジセールのゴリが実体験から導いた物語なのだろう。 洗骨ってのは沖縄に続く風習で、死んだ人を風葬にし4年後にまた、…

ラヴレース

★★★★ 2014年5月24日(土) 新世界国際劇場 煽情的要素は幾らでも盛り込めるのに、リンダの生き方に敢えて解を求めぬ作り手のニュートラルさが良い。彼女には、被虐感は無いし後悔とも無縁なのだ。アマンダは真摯に演じており正直初めて良いと思った。共演者…

波止場

★★★ 1980年5月28日(水) 毎日文化ホール コンセプトは完膚無きまでに解るのではあるが、しかし、予想以上に平板。ブランドはもとより多くの規定を超え得る役者を擁した割には時代に従属した題材でしかなかったのだろう。バーンスタインの音楽は傑作だが。(cin…

ファースト・マン

★★★★ 2019年2月8日(金) TOHOシネマズ梅田7 なんだかテレンス・マリックの映画みたいに内省的で静謐なのが案外チャゼルの本質なのかと思う。 劇的な要素にあまり関心がないみたいだ。 であるから、人類初の月面着陸の高揚もそんなには描かれない。 ニ…

ハミングバード

★★★ 2014年6月13日(金) 梅田ブルク7シアター4 巨悪に挑むというわけじゃないので全く盛り上がらない上に、その小悪野郎のクソぶりをフィーチャーし切れず呆気ない。軸がブレるヒロインへの庇護願望が掻き立てられず、戦場トラウマも機能せず振り使用に留…

レ・ブロンゼ スキーに行く

★ 1980年11月30日(日) 梅田東映ホール ドリフや欽ちゃんや吉本新喜劇を全く何の基礎知識ももたずに見て面白いかということで、喜劇・笑劇とはその拠って立つ社会的連続性の中でしか意味を成さない。続編ということもあり、全く馴染めぬ連中が繰り返す余りに…

イタリア式離婚狂想曲

★★★★★ 2019年2月2日(土) シネヌーヴォ 50~60年代のイタリア映画を牽引した巨匠たちのなかで、近年もっとも言及されないのはピエトロ・ジェルミなんじゃないだろうか。「鉄道員」や「刑事」といった庶民派のイメージが先行して、もういいかって感じ? …

罪の手ざわり

★★★★★ 2014年6月9日(月) シネリーブル梅田4 人が事に及ぶに当然あるであろう葛藤や躊躇は描かず、状況や空気を丁寧に描くことで演繹的にアプローチするのだが、結果、非情緒的なのに惻惻とした慈しみが横溢している。特に第3話が傑出し、大陸を流浪する…

北海は死海

★★ 1980年11月2日(日) 関西学院大学第4別館309号室 清涼感に富む爽やかな映画ではあるが、ローバジェットのNHK教育TVでやってた児童劇映画みたいな感触で歯ごたえに欠ける。救われない現実からの逃避の果てに何ものも見出せないというのがリアルだ…

七つの会議

★★★ 2019年2月5日(火) 大阪ステーションシティシネマ1 野村萬斎の能の形式がどうしたってにじみ出る時代がかった大芝居に期待するものがあった。 俺は「柳生一族の陰謀」って映画での萬屋錦之助の大芝居が好きで、まわりの役者の日常的な芝居とまったく噛…

野のなななのか

★★★ 2014年5月17日(土) 梅田ブルク7シアター4 冥界と現身の或いは過去と現在の更にはフィクションとノンフィクションの境界をクロスオーバーする崑流リアクション編集過多の大林版『田園に死す』乃至は『エロス+虐殺』だが、如何せんデジタルが易さとし…

地獄の黙示録

★★★★ 1980年3月26日(水) OS劇場 1980年9月3日(水) 伊丹グリーン劇場 地獄巡りの主人公が見聞する、恐怖がドラッグを蔓延させ抑圧された性欲が暴力衝動を喚起し意義喪失が殺戮の意味を見失わせる様は圧倒的画力を持つ。しかし、狂言回しが、何時しか侵食さ…

ジュリアン

★★★★ 2019年2月2日(土) シネリーブル梅田2 【ネタバレです】 どうにも売り方が、ミスリードを誘ってよくないと思う。 「ジュリアン」という子供の名前のタイトルと子供の泣き顔のポスターからは、どうしたって虐待の映画を連想する。 おりしもクソ親によ…