男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【はあ~はの】

博奕打ち

★★★★ 2009年10月10日(土) 新世界東映 任侠の閉じた世界の中の更にミニマムに限定された領域で鶴田・待田・山城VS河津・若山(快演)・小池のシンプル構図も心地よく、小沢演出もアップ使いの時宜を得てナイス。後の組織論的笠原世界とは違う味わいが又良…

バットマン

★★★ 1989年12月28日(木) ピカデリー劇場 本来はパルプな世界で語られるべき物語だが目一杯ゴシックでダークなゴッサムシティの美術とメカフェチズムを強引に投入する。その一方でニコルソンの暴走に任せたキッチュな造形は何故か予定調和的。どっちもバート…

博徒外人部隊

★★★ 2009年12月5日(土) 新世界東映 確かにこれに『ソナチネ』の設定は酷似している。ただし北野死生観を担うのは鶴田ではなく安藤昇なのだ。一方若山は『沖縄やくざ戦争』の千葉へ先鋭化されゆく。何より深作演出の『仁義なき』闊達さには今更だが惚れ直し…

バカヤロー! 私、怒ってます

★★★ 1988年12月18日(日) 長崎松竹 マニュアル的マーケッティング手法に基づきサブカル系の雑誌かサイトを眺めてピックアップした題材を並べたかのような味気無さ。新人監督ばかり4人を配したのは、そういう危険性を考慮した戦略だったのだろうが打破は出来…

バック・トゥ・ザ・フューチャー

★★★ 1986年1月2日(木) 北野劇場 万人向けに毒要素を希釈したジュブナイルだとしても陰のないのっぺり感が拭いがたい。マーケティングのマニュアルにアイデンティティは蹂躙された。スーパーカーで時間を遡上し町内会の範囲で両親の為に大活躍。内向きのベク…

バタリアン

★★★ 1986年2月11日(火) 友楽会館大劇場 御大オバノンだけあって各種ゾンビの造形などクオリティは高いし、恐怖を笑いに転化するときの外した境界の引き方も絶妙。しかし、バカなハイスクールの連中ばかり出てきてで世界が偏狭なので拡散の戦慄は限定的。為に…

バッド・ルーテナント

★★★★★ 2010年2月27日(土) 梅田ガーデンシネマ2 救いがたい性悪男のダメになりそでならない綱渡り人生にヘルツォークはヘビとワニとイグアナに憑依し冷笑的視線を送るが、自身も若干普通じゃなさそうなのがチャーミングだ。南部の湿度との相性も良く、ほぼ…

博徒対テキ屋

★★★ 2010年2月20日(土) 日劇会館 常道としか言えない任侠ものだが、片岡と近衛という一世代前の2人を主軸に置き鶴田、更には松方へと継承される時代の変遷が1本のフィルムに刻印されたのが乙である。更に背広スタイルの丹波が同居する妙ちきりんさも味わ…

ハート・ロッカー

★★★ 2010年3月6日(土) TOHOシネマズ梅田7 現在進行形の戦争に対し及び腰で、多くのメッセージを内包するかに見えつつ余りにスルーが目立ち斟酌が足りない。主人公をマッチョなカリスマにも設定しないので割り切った作りにもならない。中盤の砂漠のシ…

パイレーツ・ロック

★★★★ 2010年3月15日(月) ホクテンザ2 残尿感あるカッティングだが、それが延々と続き茫漠たるフッテージ群が何時しかマスとしての時代を照射し始める。レスターからサーンへ至る60年代ブリティッシュニューウェーヴへの懐旧に彩られたアンテナがキャッ…

花のあと

★★★★ 2010年3月26日(土) 梅田ブルク7シアター4 嘘偽りない真摯な気持ちで向き合いさえすれば、最強剣士の美人も何時しか信頼を寄せてくれる。全き桃源郷とも言えるラストの至福。「んなアホな」と女たちが言おうとも俺はスクリーンに埋没した。撮影・美…

博奕打ち 一匹竜

★★★★ 2010年5月26日(水) トビタ東映 彫り物というミニマムな世界への或る程度の拘りがクライマックスの我慢大会の壮麗な男の裸品評会へと収斂するあたり任侠ものの中での特異性を堅持する。天津・遠藤の敵コンビが若干弱い一方松尾・中村・丹波のサポート…

バイオレント・サタデー

★★ 1985年5月20日(日) 大劇名画座 無機的なハートやハウアーといったキャスティングは正解と思うが、乾いてクールな情感が肝のハイテクなスパイネタにローテク丸出しのベタな侠気命の爺さんを起用して台無しにしてしまった。陳腐化したモンタージュが又ウン…

八十日間世界一周

★★ 1985年10月19日(土) 大阪松竹座 「大予算」の「オールスター」の「珍道中」として多くの亜流を産んだマスターピース。だが、このオリジナルには年月に耐えて残るものが無い。製作者の映画としてセルズニックやザナック等に比してマイケル・トッドの切る判…

BIRD★SHT バード・シット

★★★★★ 2010年9月11日(土) シネヌーヴォ 「鳥になって大空を飛びたい」などと言うメルヘンチック願望は、完膚なきまでに嘲笑され貶められ、糞まみれの毒で彩られる一大バーレスク。しかし、出演者が皆アルトマンに心から愛されているらしい羨望の楽園の現出…

81/2

★★★★ 1984年1月27日(金) 三番街シネマ3 悩める自己顕示慾のマスターベーションが延々と垂れ流され続け挙げ句勝手に自己解消。煎じ詰めれば結局多くの女達と少年時代のトラウマに帰結する。ハイキーなヴェナンツォのカメラは胡散臭い。ただ、奔流の如きイメ…

蜜月

★★★ 1984年1月13日(金) 高島屋ホール 極私的な同時代性を共有できる観客は限られているであろうに、デートを重ねる2人が通る町並みのセレクションへの偏向的な執着。劇的なドラマのない私小説世界を丁寧に映画化しただけのもので想いは観客の上を空虚に通り…

ばかもの

★★★ 2010年12月25日(土) シネリーブル梅田2 SEXやアルコールや宗教などへの多くの依存に言及されるが、それは物語の骨子として捉えられず編年体の再生説話の背景でしかない。そこが物足りぬし散漫でもある。とは言えラストは泣かされた。内田は力演だ…

バクラウ 地図から消された村

★★★★ 2020年12月20日(日) 梅田ブルク7シアター4 今年公開された2つの映画を容易に連想させる。 「ミッドサマー」と「ザ・ハント」で、どっちが先なのか知らんけど不運やなあと思う。 またかいなと思って0.5ポイントくらい値びいてしまうから。 【以下…

白昼の決闘

★★★★ 2020年11月1日(日) プラネットスタジオプラス1 これは、ある意味おったまげたと言っていいだろう。 デヴィッド・O・セルズニック、「風と共に去りぬ」「レベッカ」「第三の男」「終着駅」を手掛けた文字通りの不朽不滅の大プロデューサーであるが、…

バトルシップ

★★★ 2012年4月15日(日) MOVIXあまがさき5 序盤で「絶対に勝てるわけないやん」的圧倒的力量差を提示してるのに、結局はガッツと友情で何とかなっちまう相変わらずの竜頭蛇尾。が、今回はアホ映画であることを最初から結構曝け出してるので許せる気が…

果てなき路

★★★ 2012年4月7日(土) 第七藝術劇場 ノワールだと言うならフィルムの醸す鈍色のハッタリやケレンが全然足りず、撮影裏話と言うならトリュフォーやゴダールほどの確信的自己陶酔が不足。実俳優への言及や過去名画のインサートも閉じた世界を露呈させる。構…

爆裂都市 Burst City

★★★ 1982年4月7日(水) 梅田東映ホール 映画の暴動というシステム破壊の意図はクライマックスで暴動を描いた映画にすり替わってしまう。殻を破砕して観客に突きつけるべき何かは現場の狂騒への自己充足で収縮してしまった。若気の至りとも言うべき薄さ故に、…

灰とダイヤモンド

★★★★★ 1982年8月14日(土) SABホール ネオリアリズモな乾いた即物感と詩的なケレンが混在して統制されている。戦車と民衆の混乱のリアルな市街から隔絶されたホテルのバーの文学的静謐。その構成の妙。挫折感の表現も充分恒久耐性を持つが、それでもチブル…

バイオハザードⅣ アフターライフ

★★★ 2012年7月28日(土) トビタシネマ 冒頭、渋谷のザック・スナイダー的ケレンに期待値は上昇したが、ダークスーツ黒眼鏡野郎と分身の術で一気に氷点下に下落。あとはマジ凡庸な出来。多くのアンデッド化した魂は無視され高位の抗組織戦に収斂するなら急転…

花のれん

★★★ 1982年7月8日(木) 新世界東宝敷島 ストーリーテラーとしての山崎豊子は文句付けよう無いのだから黄金期の手慣れたスタッフとキャストが撮ればこの程度には面白くなろう。が、豊田は山本や市川みたくピンポイントでエッセンスを抽出しようとしないので漫…

ハイティーン・ブギ

★★★★ 1982年9月10日(金) 伊丹ローズ劇場 シリーズ最高作。4作目ともなれば皆堂に入って来たところに日活職人舛田利雄を持ってきた英断。東宝子飼の温い河崎義祐との格の違い。一瞬たりとも緩まない。脳天気馬鹿マッチも良いが俊ちゃんの翳りをフィーチャア…

莫逆家族 バクギャクファミーリア

★★★ 2012年9月15日(土) 大阪ステーションシティシネマ5 宴の後を描いたものだとしても、敵も味方も明確な境界を失くし、諦念として閉じることもなく再起への希望も見出せない曖昧な混沌。家族或いは家族的なるコミューンに関し随所で言及するが正直形骸的…

八月の濡れた砂

★★ 1982年8月20日(金) 毎日ホール 若者の倦怠や反抗心は何も「太陽族」や「ヌーベルバーグ」の専売特許ではなく普遍の題材なのだとは思うが、海やギラつく太陽や車や金持ちのお嬢さんや鼻持ちならない大人等の最早陳腐化した記号で彩っても何の感興も涌かな…

ハスラー

★★★★ 2012年10月21日(日) TOHOシネマズ梅田10 仰角を多用するロッセンの冷めた視線は買うが、成り上がり野郎のアップダウンストーリーは今一論理的拠り所を欠く。年月を経て再浮上するのはパイパー・ローリーの造形。この地獄に生き尚涙を見せない女…