男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【はあ~はの】

ハスラー

★★★★ 2012年10月21日(日) TOHOシネマズ梅田10 仰角を多用するロッセンの冷めた視線は買うが、成り上がり野郎のアップダウンストーリーは今一論理的拠り所を欠く。年月を経て再浮上するのはパイパー・ローリーの造形。この地獄に生き尚涙を見せない女…

パサジェルカ

★★★ 1982年8月13日(金) SABホール 後年に幾度となく扇情的に再生産されたナチス収容所もの真摯な原型。わかっていても主人公の反抗の姿勢は緩くカタルシスは封印される。無言のプロテストに精神世界で追いつめられるまでの高踏的描写には終ぞ至らない。未…

バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!

★★★ 2013年2月23日(土) TOHOシネマズ梅田6 売れ残ることのヒガミや焦りがクローズアップされることもなければ、ドレスをめぐるスッタモンダの女版バチェラーパーティーが弾ける術もない。表層で漂う女子たちに未来はあるか?徒労感だけが残る映画だが…

初恋

★★★★ 2020年2月29日(土) 梅田ブルク7シアター7 低迷とまでは言わないが、もう新たな抽斗は枯渇した感のあった三池であるが、この映画もやっぱ従来の手の内の範囲でやってる感じはする。 のだが、まあ、それでも終盤に折れてしまうようなダメさは回避して…

ハッシュパピー バスタブ島の少女

★★★★★ 2013年5月13日(日) シネリーブル梅田2 水没の町や破壊獣に又も宮崎世界のエッセンスを嗅ぐのであるが、一方で少女が垣間見る大人世界の生臭さ。境界上で危うげに戸惑いつつアッケラカンと世界を制する少女に『ザジ』の転生身を重ねる。あざとさとの…

箱入り息子の恋

★★★★ 2013年6月26日(日) MOVIXあまがさき3 手を握ったときの嬉しそうな仕草ひとつで男は変われるし何でもできる。閉塞状況を打破したい願望が渦巻く今このシンプルな提言を噛み締めたい。市井演出は時間軸の把握に余りに無頓着な一方、アングル使い…

バトルクリーク・ブロー

★★ 1981年4月29日(水) 伊丹ローズ劇場 ジャッキーが毒にも薬にもならない優等生チャイニーズとしてお膳立てされた設定に収まりきって歯痒いことこの上ない。加えて同じ道の達人が闘うのならまだしも異種格闘技がショーとして成立しないことは証明されてし…

パシフィック・リム

★★★ 2013年8月11日(日) MOVIXあまがさき3 ヘリで吊り下げ移送する絵やギッコンバッタン足踏み操縦の真剣さに局所では愛を感じるのだが、ジャンルへの横断的なリスペクトを謳いつつも所詮は『エヴァ』1本かぶりの底浅を露呈するにつれ俺の期待は急速…

バタフライはフリー

★★★ 1981年5月23日(土) 毎日文化ホール ヒッピー娘っ子に良識派旧世代はギャフンという良くも悪くもフラワームーヴメントな背景抜きには語れない題材。しかし、終盤の展開に、そういった世代間の相克が直結していかないのでカタルシスがない。ゴールディの…

バイオハザードⅤ リトリビューション

★★ 2013年7月27日(土) トビタシネマ 脳内で構築された世界に屋上屋を重ね、もはや余人の与り知らぬ妄想世界に突入。それが、斬新ならともかく、過去作のキャラ総動員的なアイデア枯渇展開とあった日にゃあ目も当てられない。大体ミラ始めド素人連中が決め…

パッション

★★★★ 2013年10月11日(金) TOHOシネマズ梅田10 嫉妬と懐疑の錯綜するタペストリーを心ゆくまでねっとり巧緻に織り成したいというデ・パルマイズム純粋系譜上の佳作。ただ、技巧的には随分淡白になった。来たーっと思ったら、あっさり切ってしまう長回…

配達されない三通の手紙

★★★★ 1981年10月3日(土) 伊丹ローズ劇場 パーティだワインだと翻案物特有のバタ臭い気恥ずかしさは否めないが、それにしても新藤の巧い脚色もあって滅法面白い。もちろん原作の力もあるのだろうが。出演者の中では松坂慶子が正に油が乗ってる感じ。彼女のシ…

初恋 お父さん、チビがいなくなりました

★★★ 2019年5月18日(土) 梅田ブルク7シアター2 10年前だったら見ないタイプの映画なのだが、歳も歳だし。 ってことなんでしょう。 予告篇で老夫婦が歩いていく後姿の侘び寂びが、おのれの先行きにダブってしまう。 冒頭からの幾つかのエピソードで夫の…

ハイ・ライフ

★★ 2019年5月6日(月) シネリーブル梅田3 別に厳格なものを映画に希求するつもりはない。 それに抗じるものがあれば。 冒頭、宇宙船外で修理作業する男が手を滑らせ部品を落とす。 …落とすって無重力なのに落ちないやろ。 でも。それはどんどん落ちていく…

HOUSE ハウス

★★★ 1981年12月17日(木) 関西学院大学学生会館大ホール 出来不出来はともかくひたすら写実を追求して来た特殊効果の世界に「ヘタウマ」とも言うべき一種ポップなあからさまな虚構を「これも又アリ」と思わせたコペルニクス的作品とも言えるが、始まって30…

運び屋

★★★★ 2019年3月8日(金) 梅田ブルク7シアター2 予告篇を見て、イーストウッドの老いが痛々しいので見るのやめよかと思ったが、あれは演技やという話を聞いて、ならばと見に行った。ところが、篇中、存外に老いというものを強調しない演出であって、でも、…

BACK STREET GIRLS ゴクドルズ

★★★ 2019年2月16日(土) 梅田ブルク7シアター4 惹句に「壮絶に、チン○が消える」とあるんだが、生ぬるいと思った。 東映ピンキーバイオレンスに例える評も見たが、この映画、あきらかにばったもんに近い。 俺は地下アイドルってのに興味はないし、もっと…

バーニング 劇場版

★★★★★ 2019年2月16日(土) 大阪ステーションシティシネマ12 原作は未読です。 村上春樹はけったくそ悪いが認めざるを得ないって感じで、俺は断然、村上龍派でっすな。 っていうか、そんな派とかあるんかしらんが。 ハルキ・ムラカミの小説の主人公って、…

波止場

★★★ 1980年5月28日(水) 毎日文化ホール コンセプトは完膚無きまでに解るのではあるが、しかし、予想以上に平板。ブランドはもとより多くの規定を超え得る役者を擁した割には時代に従属した題材でしかなかったのだろう。バーンスタインの音楽は傑作だが。(cin…

her 世界でひとつの彼女

★★★ 2014年7月12日(土) なんばパークスシネマ9 無菌化されたホアキンとビジュアルを封殺されたスカヨハの反記号性が剣呑さを孕んで一応は物語を牽引するが展開は予定調和。代理彼女が登場するが流して物語を転がすポイントを失した。特筆すべきはOSの…

8月の家族たち

★★★★ 2014年8月5日(火) 新世界国際劇場 役者陣の好コラボによる3姉妹ものであり又3世代の女の確執ものとして緩むところがないのだが、どうも語るに律儀すぎて余裕がない。先駆者でジャンルマスターであるベルイマンやカサヴェテスに及ばないと感じてしま…

ハード・コア

★★★★ 2018年11月23日(金) 梅田ブルク7シアター5 ダメ野郎どもが、打ち捨てられたロボットをみつけて物語が転がる。 ってのは、正直食傷であって、そんな今更の話なんてみたくもない。 アメリカ映画並みに特撮でガンガンやるってのもしんどいので、ヘタウ…

白痴

★★ 2014年11月9日(日) シネヌーヴォ フィルムを切られた不運より、この地に足のつかぬ大芝居の小っ恥かしさを4時間見せられずに済んだ幸運を味わいつつ観た。胡散臭い白痴森が照射する汚濁は好演する原節子から一応は透けてきそうな気がするが凡庸で退屈…

Bao

★★★★ 2018年8月4日(土) TOHOシネマズ梅田5 よくある子育ての回想譚で子供可愛いやの変奏バージョンかと思っていた。 「ファインディン・グドリー」の併映作であった「ひな鳥の冒険」とかそうだったし。 でも、これは子の反抗期から独立期まで描いて、…

バトル・オブ・ザ・セクシーズ

★★★★★ 2017年7月26日(木) TOHOシネマズ梅田5 俺の小学生時代。 TVのスポーツ中継は野球・ボクシング・相撲・プロレスが中心だった。 そんななか、たまたまやってたテニスの試合でキング夫人という名前を覚えた。 夫人という呼称を何故つけるのか違…

薄氷の殺人

★★★ 2015年1月12日(月) シネリーブル梅田3 内実が希求した表現ではなく全てに狙ってる感がそこはかとなく漂う。白昼の花火も観覧車も砕炭工場やスケート場も絵面としては蠱惑的だがズシンと来ない。ミステリーとして成立させる気は端から無なさそな凡展開…

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか

★★★★★ 1980年9月16日(火) 毎日文化ホール 基地で反共将軍が、作戦室で元ナチ博士が、コックピットでテキサス少佐が、狂った本性を発酵・醸成させる。作戦室のパンフォーカスと基地のロングの当意即妙。スコット・ヘイドンのタカ派演技とセラーズの天才。2つ…

走れ走れ!救急車

★★★ 1980年10月24日(金) 毎日文化ホール いい題材にいいキャスティングだったが狂騒も狂気も笑いも全てが煮え切らない。コスビー・ウェルチは立ち位置もあってまあ適役だがカイテルのタチが映えないのが決定的なようだ。題材がマジ半ばの重さをもつだけに演…

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

★★★★ 2015年4月12日(月) MOVIXあまがさき11 娘や共演者や元妻や批評家など多くの他者とのベルイマン的確執が精巧な長回しに強いられたハイテンションアクトで叩き付けられる快感は大気圏で燃え尽きる物体の終末感と相乗され来るべきカタストロフへと弥増…

ハーツ・アンド・マインド ベトナム戦争の真実

★★★★ 2015年5月11日(月) シネリーブル梅田4 語り尽くされた戦争だが、それでもその発端部分はそれほど言及されている訳でもない。対戦の終結から10数年、戦勝の余韻冷めやらぬムードの一種の華やぎが記録されたフィルムこそ貴重かもしれない。過ちは幸…