男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ああ~あこ】

愛のメモリー

★★★ 1980年10月3日(金) 毎日文化ホール デ・パルマタッチと言うのは、どうでもいいような部分でも偏執的なまでに情緒過多になるから、そこに面白味があり見てられるのであって、こういう真っ当に切ない物語で、輪をかけて情緒を垂れ流されまくると正直見てて…

アゲイン

★★★★ 2015年1月18日(日) MOVIXあまがさき7 巧緻な伏線のもと、催涙爆弾が2段階で仕掛けられた構成を今更取り立てて言うのもどうかと思う。寧ろ全篇を一貫するノーブルな真摯さこそ評価したい。中井貴一の、年齢相応の虚飾のない佇まいや言動。試合シーン…

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル

★★★★ 2018年5月12日(土) 梅田ブルク7シアター6 なんだか、本当に描くべき多くのことが欠落した映画にも見える。 のだが、演出の押し出しの良さがあって勢いで寄り切られた感じだ。 ワイドサイズのスクリーンにミディアムで正対された対象は一見、自信は…

愛の亡霊

★★★★★ 1979年2月10日(土) 伊丹ローズ劇場 大島が政治的・社会的メッセージを枠外に置いて狂気や煩悩からも遥かな地点に咲かせた人間の絶対善性。しかし、無垢であることはそうでないものを狂わせていく。人間の救い難い性を撮影所システムの残り香を駆使して…

赤い殺意

★★★ 1977年11月20日(日) 東梅田シネマ 単なる痴情話で終わらせまいとしてポジ『昆虫記』のネガと対置し日本論的な風土や因習を加味して物語的な強度は拡散した。暗鬱な東北の風土の中で描かれる図太く強かな女のバイタリティは春川ますみの木偶のような受動…

悪党に粛清を

★★★★ 2015年7月18日(土) 梅田ブルグ7シアター4 全篇を貫くジャンル愛とでも言うべき思い入れが濃厚で、それならこの何の芸もない継ぎ接ぎストーリーも強度と言い換えたくなる。愛する全てを失って尚の展開は、更なる虚無地獄に生きるらしいエヴァが物語…

あゝ野麦峠

★★★ 1979年7月15日(日) 伊丹グリーン劇場 女工哀史的な情緒がだだ漏れる被虐もあるが一方で優良工女の争いがしのぶVS美枝子の両極激突に表象されるのが骨太で女性讃歌へと接続される。製糸工場のセットは健闘だが美学的昇華には至らぬがストーリーテラー薩…

悪魔のような女

★★★ 2017年11月4日(土) 大阪ステーションシティシネマ8 言うなれば、一種のショッカーであり、こういうどんでん返しな決め手をもった映画が生き残るのは難しい。 かのヒッチの「サイコ」もそうなんだろうが、あの映画の場合も母親のミイラとかトニパキの…

アウトレイジ 最終章

★★★★ 2017年10月8日(日) MOVIXあまがさき11 前作「ビヨンド」の美点の1つであった沸点キワキワなテンションでの台詞の応酬。 それを中心で担ったのが西田と塩見だったと思う。 その2人が病み上がりでゼーゼーしながらやっとのことで言う台詞は味…

あこがれ

★★★★ 2017年9月18日(月) プラネットスタジオプラス1 あこがれのお姉さんが… 自転車で疾走しスカートがめくれ上がる。 テニスに興じてスコートがめくれ上がる。 と、まあ、少年の青いムラムラが炸裂するのだが、そこはそこ、何せトリュフォー先生ですから…

愛の渇き

★★★★ 2017年8月17日(木) シネヌーヴォ 「しとやかな獣」<「愛の渇き」<「家族ゲーム」<「テオレマ」 まあ、脈絡のない比較だが、そんなところか。 とにかく、蔵原繕惟の特集上映を見に行って拾いもんだと思った。 のっけから変態臭がむんむんしておりま…

赤ちょうちん

★★★ 1977年6月5日(日) 東梅田シネマ 1981年10月9日(金)~10日(土) 今津文化 引っ越すたびに状況は段々悪くなっていくのだが2人は自覚的でもない。一応のドラマトゥルギーを感じさせる中島丈博のシナリオと否応なく時代のシラケ感を表出してしまう藤田が…

赤ちゃん教育

★★★ 2017年5月20日(土) プラネットスタジオプラス1 確かに尻尾の先までアンコ詰まってます感はある。 でも、そのアンコがなんとなく干からびてパサパサなんですわ。 詰まってるのにパサパサってのはきついです。 恐竜のレア化石に豹ってのが、とんでもな…

悪太郎

★★★★ 2017年5月20日(土) シネヌーヴォ 「けんかえれじい」との類似による物足りなさは感じなかった。 多分、覚えていないからだろう。 不良ということだが、、彼の言ってることは正しい。 時代が正しくなかったということで、そのへん描き方は芯が通ってい…

悪魔の手毬唄

★★★★★ 1977年4月6日(水) 伊丹ローズ劇場 1977年6月13日(月) 伊丹ローズ劇場 1982年12月21日(火) 新世界座 囁き声で語られる伝承・噂などの毀誉褒貶が地方村落体の本質を衝き恩讐の果ての事件を語るに絶妙。キーマン方庵のフィーチャーこそ肝でアバンタイトル…

アイアムアヒーロー

★★★★ 2016年4月23日(土) TOHOシネマズ梅田2 『WWZ』との類似を感じる序盤だが細部の小ネタが豊穣で2番煎じ感を払拭。死肉の山を踏みつけて腐った肉汁が染み出るような臨界まで迫った描写はカースタントの特筆すべき出来ともども溜飲だ。ギャグと真の…

青い珊瑚礁

★★★ 1980年12月21日(日) 伊丹ローズ劇場 何のヒネリもない物語を奇を衒わない平板な演出で押し切っている。毒もそっけもないにせよ絵葉書みたいな南海の風光に魅せられて飽きない。割り切ったアルメンドロスの仕事ぶりも好ましく海中撮影、わけても蛸が蟹を…

アウトロー

★★★ 1976年12月7日(日) 伊丹グリーン劇場 60年代末にペキンパーにより一旦葬り去られたジャンルをペンとブルックスが復権を試み敗退した翌年に徒花の如く製作されたイーストウッド初期監督作中の最良作。十分な片隅感を横溢させながら引かれ者の小唄的ヘタ…