男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ああ~あこ】

悪魔の金

★★★★ 2020年7月19日(日) プラネットスタジオプラス1 悪意に魂を売った男の話は「ファウスト」はじめごまんとあるのだが、これがちょっと異質なのは、ダニエル・ウェブスターなる実在の政治家を物語に配したとこで、まあ言うなれば彼の英雄譚だ。 なんじゃ…

悪人伝

★★★ 2020年7月17日(金) 梅田ブルク7シアター3 「新感染 ファイナル・エクスプレス」で日本でも認知され、主演映画が続々公開の運びとなったマ・ドンソク様の新作でございます。 そして、今回はシリアルキラーとノワールのジャンルミックスという新たな地…

愛と喝采の日々

★★★ 1978年8月29日(火) 大毎地下劇場 バリシニコフとブラウンという若い2人のバレエシーンの本物の前にベテラン女優の肝心のドラマが霞んでしまう。凌駕できるような圧倒のドラマトゥルギーが不足してるから。岐路での選択への屈託が女同士のつかみ合い喧…

アウトレイジ ビヨンド

★★★★★ 2012年10月7日(日) MOVIXあまがさき11 今更な西田や中尾の起用が『代理戦争』の旭や梅宮級の触媒となり化学反応を及ぼした。余りな単線いてまえ構図を小日向の介入を随所に錯綜させ複層化した巧味と終局の詠嘆。強固な顔面羅列の言葉のどつき…

AKIRA

★★★ 2020年6月7日(日) TOHOシネマズ梅田9 80年代の連載当時、ヤンマガは読んでたし、あのどでかい単行本も買っていた。で、この映画化作品をなぜ当時スルーしたのかと思うに、大友の完成され尽くした漫画が、あるべき地平まで行き着いてしまってる…

愛と青春の旅だち

★★★ 2020年5月31日(日) 大阪ステーションシティシネマ2 玉の輿を狙って士官学校の若いのをたぶらかそうとする女の話で、私は違うのと言ったりするが結局はそういうことなのである。 80年代初頭の映画だが、70年代の終わりには「結婚しない女」や「ミ…

秋のソナタ

★★★★ 1982年9月26日(日) 三越劇場 透徹された表現主義は影を潜め自然主義的表現だからこその火花散る演技合戦に圧倒され、ショッキングなディテールも冴える。そして、カメラの前後の葛藤にも。対極の映画史を背負った2人のBergman。絶望の深淵からしか得ら…

悪の教典

★★★ 2012年11月11日(日) MOVIXあまがさき6 主人公の来歴なぞ必要もないものを寸語りするので純度が落ちる。故に一方的に「モンスター」に蹂躙されまくるだけのバカ絶対映画の地位さえ失った。でも、そんな地位に意味があるとも思えない。伊藤は確か…

アウトロー

★★★★ 2013年2月7日(木) MOVIXあまがさき6 ダサいカットバックに疑念を感じる冒頭だったが、やはりトムのキャラ把握の的確とカリスマは大したもんだと思わせる。一瞬の躊躇を挿み軽くコードを超える「やってもた」感が快感。久々のデュバルの闊達とウ…

愛、 アムール

★★★★ 2013年3月15日(金) シネリーブル梅田1 捻りも無い老老介護映画とも思えるのだが、それでも、感情を抑制し事の進行を淡々と凝視する精緻さには引き込まれる。鳩とトランティニャンの引き芝居の長廻しこそハネケの真骨頂。過酷な帰結のあとの黄泉への…

アイランド

★★★★ 2013年6月24日(月) トビタシネマ 新味無き題材をベイが如何に料理するか期待もしてないが、体力勝負に出たあたり涙ぐましくさえあった。半端ない中盤の展開。高層ビルの縦方向の落下チェイスが高速道の横方向の弩級の破壊ショーに繋がる緩みの無さ。…

アイリッシュマン

★★★ 2019年11月25日(月) シネマート心斎橋2 以前、スコセッシはフィルムへの拘りを語る作家だった。 はずであるが、そういう拘りの人なら、当然にスクリーン投影の映画館主義であってもいいはずなのに、NET配信映画になびいた。 かわりに、明後日の方…

秋津温泉

★★★★★ 2019年11月3日(日) シネヌーヴォ 長らく見たかった映画で、俺の直感は見るべしと発し続けていたが機会がなかなか無かったのだが、やっと見れた。 これは、傑作だと思う。 昨年、旧作の日本映画で今更のドギモを抜かれた小津の「浮草」に匹敵するポジ…

悪人志願

★ 1981年6月20日(土) 今津文化 1993年6月20日(日) サンポードアップルシアター 被嗜虐の果ての抵抗を描くに対立項として擁立された炎加世子が感情のない抽象概念の産物にしか見えないのが弱い。おかげで全てのドラマトゥルギーは形骸化しており見ててむず痒…

惡の華

★★★★ 2019年10月11日(金) TOHOシネマズ梅田7 原作未読です。 中二病を病んだ少年が、本物に出会って自虐感にとらわれ、自らも本物になろうと足掻く話ってことでいいのだろうか。 その本物ってのが、玉城ティナ演じる女子高生なのだが、見てる方として…

アイネクライネナハトムジーク

★★★ 2019年10月2日(火) TOHOシネマズ梅田10 見る気のない映画だったのだが、多部ちゃん主演ってことでムビチケを買っていた。 ところが、結婚するんだそうで、そんなことなら見んかったわ、金返せー。 とまあ、ええ歳こいたおっさんが何ほざいとんね…

悪女軍団

★★★ 1981年10月25日(日) ダイニチ伊丹 東映ピンキーバイオレンス的鈴木節を日活ロマンポルノの枠組みで再構築したおかげで、エロ枷が取れてサバケた開放感がありカラリと晴れ上がったかの如く爽快である。乗りに乗る3女優を前に小沼演出も耽美派の旗を降ろ…

愛と希望の街

★★★★ 1981年6月20日(土) 今津文化 1983年12月11日(日) 伊丹ローズ劇場 殊更に斬新な主張があるわけでもないのだが、それでも別格的な印象を受けるのは、作り手の強固な意志の存在が抜きんでているからだ。人間感情の曖昧なロジックではなく幾何学的論理性の…

悪の法則

★★★ 2013年11月23日(土) 大阪ステーションシティシネマ12 「起」を抜いた進行形の渦中にいきなり叩き込まれるのは良しとしても、板子一枚下の地獄をブラピの台詞で全語りするのは小説的に過ぎないか。糞尿の中で彷徨い続ける死体等如何にもな文学臭が美…

赤い鳥逃げた?

★★★ 2019年7月7日(日) シネヌーヴォ 原田芳雄と桃井かおりと藤田敏八。 といえば、70年代を代表するアイコンで、この3人の組み合わせってのが、ありそであまりないんじゃなかろか。 のであるが、藤田敏八の映画に、あまり感じ入ったこともないので期待…

嗚呼!おんなたち 猥歌

★★ 1981年10月25日(日) ダイニチ伊丹 森崎的猥雑な女性賛歌として語られるはずだったろう世界が、神代のスタンスが定まりきれずに、虚無と狂気と阿呆と律儀を往還する内田裕也に振り回されてついてくのが精一杯に見える。ギャグが上滑りして笑えない漫才を延…

愛の渦

★★★★ 2014年3月15日(土) テアトル梅田1 一応は醒めた社交性が支配する場に於いて乱交ではない相対の交合いが秩序を保たれつつ繰り広げられる点に於いてマニュアルに支配された今を撃っている。宴のあとの冷めた朝の空気が良い。その中で唯一何かを穿とう…

赤✕ピンク

★★★ 2014年4月17日(木) 梅田ブルク7シアター5 男の子と称される主人公がバリバリ女の子にしか見えぬのがヤボと思ってはいかんのだろう。これはタカラヅカのようなファンタジーなのだ。一方、多田あさみの腋汗がリアリズムを一身に背負い感動的。山口・榊…

悪夢ちゃん The 夢ovie

★★★★ 2014年5月14日(水) TOHOシネマズ梅田7 ユニークなのは悪夢ちゃんがリアクターとして機能し隠された景子の深層能力も加担せざるを得ない展開の故2人の関係は『羊たちの沈黙』変形バージョンに見えてくる点か。ベーシック景子なドSキャラは安定…

天使のはらわた 赤い教室

★★★ 1980年6月25日(水) 毎日ホール 1982年10月13日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 1点の曇りない非情世界であり救われない奈美はただ転げ堕ちる。水原ゆう紀が最初っから墜ちてしまってるムードを濃厚に漂わせて世界に沈殿しており被虐感さえも最早無い…

アウト&アウト

★★★ 2018年11月17日(土) TOHOシネマズ梅田4 俺は「レオン」という映画にちょっと気持ち悪さを感じている偏屈野郎なので、小さな女の子を引き取ってる強面探偵っていう設定は鬼門のはずなのだが、大丈夫だった。 女の子が小さすぎたのもあったし、その…

悪魔の棲む家

★★ 1980年7月16日(水) 伊丹グリーン劇場 さしたる刺激が無いことを承知しつつ、怠惰に流されるだけの仕事。ベストセラー原作でヒットが予測されてるに甘え使い古しの設定に依拠し斬新さの欠片もないスタッフやキャストの迎合のルーチンワーク。何よりあんま…

悪童日記

★★★★ 2014年10月7日(火) TOHOシネマズ梅田6 ナチ支配下の東欧で状況を見つめる双子の冷視線は否応なく『ブリキの太鼓』のトリックスター少年オスカルを連想させるが、言うほど弾ける訳でもない。真摯な作風は原作への遠慮の裏返しとも言え、それは映…

赫い髪の女

★★★ 1980年8月22日(金) 毎日ホール 過去になぞ興味無く未来なんてどうでもいい…と言うのは解る。性欲世界に埋没していきそうに見えて、しかし結構リアルな生活者であったりする。その匙加減の問題なのだと思うが生活臭のある台詞から、かえって作意が垣間見…

愛のメモリー

★★★ 1980年10月3日(金) 毎日文化ホール デ・パルマタッチと言うのは、どうでもいいような部分でも偏執的なまでに情緒過多になるから、そこに面白味があり見てられるのであって、こういう真っ当に切ない物語で、輪をかけて情緒を垂れ流されまくると正直見てて…