男の痰壺

映画の感想中心です

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

NINIFUNI

★★★★ 2012年3月9日(金) シネリーブル梅田1 前半は精緻と言うには遠いし、後半の導入で全てが解ってしまう単線構造ではあるが、にしても、開発を放棄されたかのような幹線沿いと小汚い海辺での荒涼こそが「今」を訴求する。「絆」とか糞甘い言説が持て囃さ…

燃える勇者

★★ 1982年1月5日(火) トーエイ伊丹 列車を使った活劇を軸にマジに本格アクションを志向する気概は買いたいが、余りにアホな設定に説得力ある筈も無く、肝心のアクション自体も今いちのふやけ具合。カッティングのリズムが悪くギクシャク感がある。遊び代無い…

新たな夜明け

「30秒もかかりません」 オペ前日、麻酔科の医師に落ちるのにかかる時間を聞いて半信半疑であった。 俺は疑り深いのだ。催眠術とか絶対かからない自信がある。でも、それが今回かえって不安。麻酔かからんかったらどうなるねん。 声も出せず身体も動かせな…

おもひでのしずく (2010年12月11日 (土))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 村上コンプレックス 1980年。俺が通っていた大学の正門前の喫茶店で映画のロケが行われた。前年「ヒポクラテスたち」がキネ旬ベストテンで3位となり、「10年以上映画を撮ってなかった清順(ツ…

アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!

★★★ 2012年1月21日(土) 新世界国際劇場 掴みからして完璧にサイコーだし、主人公2人のキャラに絡んだボケ・ツッコミ設定は総じてギャグも高度である。特にエヴァ登場時のマークのリアクションは納得もの。ただ、どうにも肝心の事件絡みが弾けないのだな。…

エクスカリバー

★★★★ 1982年2月5日(金) 伊丹ローズ劇場 紙芝居で講談を語られるが如く流れていく伝説総集編。エモーションは必然的に薄味になるのだが、カッティングがもたらす速度感が飽きさせない。夜間の馬の吐息の白さや陽光下の甲冑武具のメタリックな光沢。そういうビ…

オペ前夜

ああ、とうとうそのときが目前に迫ってるんやなあ、意識を失い切り刻まれるがままの俎板の鯉となる俺。仮面の改造人間にされた本郷猛もこんな気持ちやったんやろか。改造されるんややわーって…アホか俺。 ああ、全身麻酔ちゃんと効かんかったらどないしよう…

おもひでのしずく (2010年11月26日 (金))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 慣れ親しみの末路 ティアラちゃんキュ~ 最近、とみに思うのです。慣れ親しむことは尊きかな…と。 かのキューブリックの迷作「時計じかけのオレンジ」。ウルトラバイオレンスボーイのアレックス君が官…

メランコリア

★★★★ 2012年2月25日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 1部は悪意と諧謔が混在するブニュエル由来アルトマン経由のパーティ映画として圧倒的な密度だが、その多様な悲喜交々が放棄され鬱病人間こそが終末に対峙し得るという2部のテーゼは余りに単線で…

奇跡

★★★ 1982年1月23日(土) SABホール オプティミストのベルイマン的なものを想像していただけに真っ先に手法に対する疑念を感じ終始それを拭うことは叶わなかった。執拗なまでの移動を組み合わせたパンニングの多用は強固な意志を欠落させ曖昧な空気を提示す…

フェアウェル

★★★★★ 2020年10月9日(金) 大阪ステーションシティシネマ10 現代社会において一族が集う機会は結婚式と葬式くらいなもんになっており、場合によっては何十年も会ってない親族が顔を合わせる。 数日間一緒にいて、その後散り散りに別れ滅多なことでは再び…

おもひでのしずく (2010年11月6日 (土))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 露呈されたデラックスに見えるが脆弱な本質 所詮はロクなもんじゃなかった民主党だとは思うけどさ。ロクなもんじゃなかったからこそ戦後の日本が覆い隠して、見て見ぬふりしてきた多くの問題が露呈し…

おとなのけんか

★★★★★ 2012年3月17日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 融和と反目を繰り返す4人の順列組み合わせの果てしない錯綜が、中盤以降、アルコールが触媒となり一気に暴走し始めるあたりがポランスキーの面目躍如。それを牽引するジョディの青筋芸と拮抗する…

陽炎座

★★ 1982年2月20日(土) 梅田コマゴールド 『ツィゴイネルワイゼン』が10年以上寝かせた特上のワインだとすれば、こいつは即席のカストリ酒だ。ペラい役者が織りなす清順歌舞伎というより紙芝居。余裕の無い優作は木偶の坊にしか見えなく、陽炎座の部分も冗…

追悼 筒美京平

あらためてフィルモグラフィを眺めるに、趣味的に聴き込んだ曲はないけど、主に80年代の風景と一体となって、強烈に郷愁を煽られます。まさに、俺のような年代にとっては、彼の曲は常にどこかで流れていた時代のアイコンだ。 10曲選んでみましたが、思い…

おもひでのしずく (2010年10月27日 (水))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 読書二題 ●絶望の果てにしか希望は存在しない 川上未映子の「乳と卵」を読んだのだが、で、少し前に、西加奈子の「通天閣」を読んだときにも思ったのだが、最近の関西出の女たちが描く世界は、なんで…

すいばれ一家 男になりたい

★★★ 2012年1月21日(土) 日劇会館 元祖チャラ男とでも言うべき山城のモテモテぶりも今一納得いかぬ鈍重で冴えぬことが味とは言え、女親分宮園と並んで物語りも締まりない。文太と遠藤が担う任侠マターで一安心の体たらくなら生パンまで持ち出された小百合に…

ガントレット

★★★ 1982年3月12日(金) シネマ温劇 撮ることへの意識過剰なき衒い無さは芸がないこと紙一重であり、数多あるB級アクションの領域に留まる。ファーストシーンのジャジーなムードが最高。前段と終盤に用意された弾幕過剰が作家性というより自棄のやん八的本能…

ダダ下がるマインド

ああ、胸が痛い…たぶん再び心筋梗塞になっとるんちゃうか。 1週間ほど前にそう思ったが、3月に予防的なカテーテルで入院したばかりの手前、なにしとるんと非難されそうで心が折れる。でも、日々痛みは治まらないのでつらい。 手首の動脈と静脈がつながって…

おもひでのしずく (2010年10月26日 (火))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 和顔愛語 「なんなん、ネイル…言うん、それ」「あ、はい」「最近、けっこう流行ってるみたいやん」「ええ、けっこうやってますね」「高いんちゃうん」「いや、これ、めっちゃ安かったんです」「ほんま…

昼下がり、ローマの恋

★★★ 2012年3月17日(土) 梅田ガーデンシネマ1 3話のおじんが若い女子に惚れられると言う理想郷設定が、デ・ニーロの屈託で台無し。「見て私」的乙女チックな所作は正直気持ち悪い。2話が最高で最後まで崩壊のカタストロフが持続。爆笑ボルテージも振り切…

桃尻同級生 まちぶせ

★★★★ 1982年1月24日(日) ダイニチ伊丹 しんねりむっつり型ロマンポルノの対極的コンセプトの下西岡琢也が『ガキ帝国』以来の里帰り大阪話ではじけまくる好脚本でロマンポルノのマキノ(?)こと小原演出も乗りに乗った好篇。面白すぎ。そして、森村陽子ちゃ…

やっちまいな!

学術会議が行革の対象になるそう。 ざまーみさらせ、ハッハッハのはだぜ。 いい機会じゃないすか、6人のセンセー方はじめ、政府のやり方気に入らないセンセーはみーんなケツまくって脱会すりゃあよござんす。 10年間も全く建設的な提言してこずにさ、毎年…

おもひでのしずく (2010年10月8日 (金))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 切ない想い 1ヶ月ほど前のことになる。俺は長居陸上競技場に居た。大阪市内の中学生の陸上部の大会があって、俺の息子も選手に選ばれて出るらしかった。正直、そんなもん見たくもなかったのだが、見…

浪花の恋の物語

★★★★ 2012年3月24日(土) 新世界東映 戯作者の近松を顛末ウォッチャーとして置いた脚本に大して効果を見出せないので、『近松物語』や『曽根崎心中』の劇的純度には劣ると感じてしまう。ただ、劇場や郭のオープンセットの贅には惚れ惚れし、それを支配する…

針の眼

★★★ 1982年1月16日(土) 新世界国際劇場 物語を語るに性急律儀なので2転3転する心理描写を味わい切ることが出来ない。大体にスパイものとして地味だし役者も玄人好みなのであれば情欲映画であるか位に心理葛藤に踏み込んでほしい。離島での生活の侘しさがも…

鵞鳥湖の夜

★★★★ 2020年9月27日(日) シネリーブル梅田1 この監督の前作「薄氷の殺人」は、どうにも表層的な感じがして好きになれなかった。これも相変わらず気障ったらしいポーズが鼻につく部分がある。 のであるが、中国アンダーグランドに於けるグループ間の抗争を…

おもひでのしずく (2010年9月28日 (火))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 1億のカシラになる覚悟とは 煙草を目の敵にする愚者どもが世界を滅ぼそうとしている。これは、かの徳川綱吉の生類憐れみの令に匹敵する偏狭な価値観であり、禁酒法と並ぶ後世の物笑いのタネとなるで…

ポエトリー アグネスの詩

★★★★★ 2012年3月17日(土) テアトル梅田1 人生の終盤を迎えての不幸の釣瓶打ちを従容と受け入れているかの如き主人公が、しかし、忸怩たる想いを胸に辿り着いた最果てに少女と時空を超えて同期する、その達観。ふやけた老人天国の今に問う真の生き様の鮮烈…

リオ・ブラボー

★★★ 1982年1月29日(金) 毎日文化ホール ブレナンにリードされる大らかなユーモアの味は確かに捨てがたいが、ほのぼのサイドに振れ過ぎて世に言うほど連携プレーの醍醐味は感じない。何より2時間15分は長すぎる。クライマックスのどうしようもない弛緩ぶり…