男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【あは~あん】

★★★★★ 2019年10月5日(土) プラネットスタジオプラス1 その昔、俺が少年のころ、今は亡き淀川長治がラジオで映画を語る番組があって、たまに聞いていたのだが、そこで、この映画のことを随分と熱く語っていた記憶がある。 まあ、内容は忘れたが、タイトル…

ある結婚の風景

★★★ 1981年7月9日(木) 三番街シネマ2 所詮ダイジェストだと思うが、巧緻を極めた技巧には興味を失ったベルイマンが剥き出しで生な男と女の葛藤のみをひたすらに描くようになったのは懺悔でも自己賛でもなく歳を経て現れた冷めた人間愛とも言うべきものらし…

アマンダと僕

★★★★ 2019年7月29日(木) シネリーブル梅田3 アマンダが如何にもな子役めいた可愛いさないのがまず良い。 こどもってのは、大人からみたら何考えてるのかわかんないところがあるし、ときに聞き分けなく自我をモーレツに押し通そうとするもんだ。 であるか…

アモーレの鐘

★ 1981年10月16日(金) 伊丹ローズ劇場 信州の美しい風景さえあれば物語はどうでもいいとでも思ったのだろうか。芸が無いとか、そういう次元を超越したこの虚無感は言いようによっては凄いとも言える。それを唐変木マネキンめいた2人の主人公が助長する様は…

アルキメデスの大戦

★★★★ 2019年7月28日(日) MOVIXあまがさき9 全然見る気もなかった映画なのだが良かった。 めったにないのだが、女房が「天気の子」みたいとか言い出して、すでに見てるとはとてもじゃないが言い出せず、やむなく出かけたのだが、「君の名は」もまった…

アメリカン・ハッスル

★★★★ 2014年2月15日(土) TOHOシネマズ梅田4 締り無いダラな本だが、そのダラさまでもが寄与する70年代の空気。ラッセル前2作の面子総出のコラボはハイテンションな演技合戦のお祭り気分が横溢し御代登場でサビをも効かせる。付いては離れて又付く…

嵐が丘

★★★ 1981年9月5日(土) ニューOS劇場 オベロンに若々しく透明な情熱が足りなくオリビエには粗野な反逆のエナジーが足りない。39年のハリウッドではやむを得ないにしても、おっさんとおばはんでは根本的に成立しない。つまらないダイジェストの域を出るも…

アベンジャーズ エンドゲーム

★★★ 2019年4月28日(日) MOVIXあまがさき3 【ネタバレです】 前篇である「インフィニティ・ウォー」のときも感じていたのだが。 そもそもに、サノスのやろうとしていることは間違っていないのでは? っていう点がどうも糞づまりのようにひっかかるの…

ある過去の行方

★★★★★ 2014年4月26日(土) シネリーブル梅田3 観る者をすかし続ける作劇の又か感は正直ある。が、こういう世知辛い人間関係の軋轢を描いてこうまで達観したアイロニーに至るのは洞察力の賜物で、正直やっぱひれ伏すしかない。適宜なカメラの長焦点使い。ジ…

アリータ バトル・エンジェル

★★★★ 2019年3月5日(火) 大阪ステーションシティシネマ12 日本の漫画「銃夢」ってのが原作だそうで、この映画の製作ニューズを見たとき、そんなん映画化するんやったら、大友克洋の「童夢」映画化しろよって思ったのを覚えている。 物語はありきたりで、…

アレンジメント 愛の旋律

★★★ 1980年5月28日(水) 毎日文化ホール 『8 1/2』的自己探求と言えば聞こえは良いが単なる不倫の自己釈明と思えなくもない。どっちにせよカザンの想いは1人よがりで普遍化されているとは思えずニューシネマ勃興期に登場した出遅れのフェリーニもどきの感が…

アリー スター誕生

★★★★ 2018年12月22日(土) 大阪ステーションシティシネマ1 4度目の映画化だそうな。 少年時代に2作目のジュディ・ガーランド主演のものはTV放映で見た記憶があるが、ほとんど忘れた。 であるから、この新作が、どう改編されたかは知る由もない。 レディ…

アルジェの戦い

★★★ 1980年9月14日(日) SABホール 散発する局地的テロが仏軍の本格介入により全面戦争に至る。カスバ市街が爆破されヘリが空中を舞い数千人規模のモブシーンが展開されるのは凄いとしてもドラマチックじゃないのでしんどい。ドキュメントフィルムの壮大な…

映画に愛をこめて アメリカの夜

★★★★★ 1978年4月2日(日) SABホール 入れ子「パメラ」は茶番であるが、役者が役者を監督が監督を演じるメタ批評性が映画にダイナミズムを与える。絶頂期トリュフォーが才能の余禄で撮ったようなもんだが映画の神は皮肉にも降臨。自画自賛話を聞かされ気持…

アメリカン・スナイパー

★★★ 2015年2月24日(火) 大阪ステーションシティシネマ1 イーストウッド版『グリーンベレー』とまでは言わぬが矢張り9・11を起点とした報復論理で捉えた戦争は自国民の犠牲という帰結への詠嘆では事足りぬ。砦からの脱出ばりのクライマックスも陳腐。イ…

アルカトラズからの脱出

★★★ 1980年11月16日(日) 伊丹グリーン劇場 ベッケルやブレッソンが試みたジャンルを凡庸に復刻しただけの域を出ない。折角の『ダーティ・ハリー』コンビの復活作なれば空間移動を旨とするものこそ見たかった。退屈こそしないものの、とりたててどうと言うも…

アベンジャーズ インフィニティ・ウォー

★★★★ 2018年4月27日(金) 大阪ステーションシティシネマ2 【ネタバレです】 どうも予想外というかある意味裏切られた。 予告編で新規加入組があることは知っていたが、まあ顔見せ程度なんだろうと思っていた。 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」 「…

あん

★★★★ 2015年5月31日(日) 梅田ブルク7シアター2 ドン詰まりの男と行き場ない女子高生のゆっくり死んでゆく如き日常をそれでも慈しむかのようなカメラ使いが良い。そして再生リアクターとしての樹木の苛烈な一生も呑んで溜める佇まい。水野の使い捨ても許…

アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン

★★★ 2015年7月5日(日) MOVIXあまがさき6 利己主義集団が共闘関係を確立するまでに軋轢のドラマがあった前作に対し、攻防軸が一方向になったうえ陳腐な「愛」への言及が安く甘い。2名の新規加入は結局既存キャラを押しのけ拡散希釈させただけ。敵ウルトロ…

暗殺のオペラ

★★★★ 1980年12月27日(土) 三越劇場 サスペンスフルに謎が解明されるわけでもないが、ストラーロによる緩やかな移動と匂い立つ緑萌えるイタリアの田舎町の環境描写が、じわじわ絡め取られるかのような白昼の夢幻とでも言うべき雰囲気を醸し出している。そして…

アラン・ドロンの ゾロ

★★★★ 1976年1月5日(月) 伊丹グリーン劇場 暗黒街の貴公子又は根暗なナルシストのイメージがドゥッチョ・テッサリの誰憚らぬマカロニパワーで覆る。馬鹿陽気で屈折感がなく只管に楽しい。クライマックスの対決を筆頭に殺陣もケレン満載で期待以上に素晴しさ。…

雨のアムステルダム

★★★ 2017年8月17日(木) シネヌーヴォ 良くも悪くもショーケンが世界を牛耳っている。 アムステルダム駐在の商社マンっつっても、三流商社のバッタもんを売りさばいてる感じがいい。 大阪本社からの電話にインスタントラーメン鍋喰いしながら胡散臭い大阪弁…

アンジェリカの微笑み

★★★★ 2016年1月9日(土) シネリーブル梅田4 怪異譚表現に於いてスラブ的・サイレント的な味わいという以上のもは大して無いのだが、農夫のあっさん集団への偏執や朝食時の婦人客の強固な目力や各種ノイズの底深い剣呑さとかがオリヴェイラ自身の意図や思惑…

ありがとう、トニ・エルドマン

★★★★ 2017年7月17日(月) シネリーブル梅田1 働く女性の否応ない孤独や等身大の周辺事情を描いているが、背伸びも嘘八百もない。 経営コンサルというエグゼクティブな職種を描いてかっこもつけない。 かと言って、批判めいたこともやらない。 父親が奇矯な…

ある決闘 セントヘレナの掟

★★★★ 2017年6月10日(土) 梅田ブルク7シアター3 「地獄の黙示録」に準える向きも多いみたいだが、確かに、このウディ・ハレルソンは一筋縄ではいかないキャラ付。 大上段に邪教の導師的に鷹揚とも言える裁量を見せるが、しかし基本、私欲が行動原理に思え…

あやしい彼女

★★★★ 2016年4月3日(日)大阪ステーションシティシネマ2 所詮は小娘のお婆ちゃん芸と高を括った観客を一気にかっさらうモールでの母息子とのやり取り。演出は映画以前でコクも何もない凡庸さなのだが、仕掛けられた催涙爆弾が峻烈でそれを茶番に終わらせな…

アメリカン・グラフィティ

★★★★ 1977年7月24日(日) 元映 夜通し光り煌めくローカルタウンはルーカス流『ラスト・ショー』への返歌だったのだろうか。最後の馬鹿騒ぎに繰り出す4人の幼馴染みは実は全くつるまない。わけてもドレイファスの孤独で切ない彷徨はこの映画の肝であった。(ci…

ある戦慄

★★★ 2017年5月6日(土) プラネットスタジオプラス1 ことが始まる前にご丁寧に登場人物たちを紹介し、件の車両に順次乗り込む。 そして、ことは起こった…。 実に正しく律儀に正統派パニック映画の筆法だ。 確かに戦慄を描いたものであるが、凶事に遭って崩…

実録 阿部定

★★★ 1980年10月1日(水) 毎日ホール 出るものが半透明になっても絞り尽くされるという或る意味で地獄を、『コリーダ』がまだしも持っていた時間空間的な延伸感が低予算の為ほとんど無い為に映画として高純度に濃縮されたとも言えるのだろうが矢張りしんどい。…

ANTIPORNO アンチポルノ

★★★ 2017年3月11日(土) シネリーブル梅田3 男が全く出てこないという意味で「リアル鬼ごっこ」と同質の園子温の妄想垂れ流し世界。 こんなんロマンポルノちゃうやん、絡みもないし…だからアンチってか? っていうか、企画段階ではねろよと言いたい。 極…