男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【い】

生きてるだけで、愛。

★★★★★ 2018年11月16日(金) 梅田ブルク7シアター4 大仰で重っくるしいタイトルであるから、多少眉に唾つけて見始めたのだが。 篇中、主人公が言われる。 「あなた、よく今まで生きてこれたわね」 まったくそのとおりであって、そういう意味でこのタイトル…

イーダ

★★★★ 2014年8月30日(土) テアトル梅田1 遺伝子が為せる伝統芸。ポーランド派復刻的な戦争後遺モノクロ峻厳美。敢えて言うならカワレロウィッチ的か。只アイデンティティ探求の果ての越境と新旧の交代・継承を題材としながら閉じたかのようなラストは疑問…

犬笛

★ 1978年4月2日(火) 伊丹ローズ劇場 平凡な男が娘を取り返す為にみせる凄まじい執念が泣かせる話なのに文太じゃ平凡な男でないから駄目なのだ。そしてキラ星のごとく出てくるチョイ役の面々の救いがたい1.5級感。リアリズムの欠片もない予定調和を中島貞…

偉人エーリッヒ博士

★★★ 2018年10月18日(土) プラネットスタジオプラスワン ドイツの細菌学者、パウル・エーリッヒの伝記映画です。 監督のウィリアム・ディターレは、この数年前に「ゾラの生涯」というエミール・ゾラの伝記映画でアカデミー作品賞を獲ってるので、伝記ならデ…

イコライザー2

★★★★ 2018年10月4日(金) 大阪ステーションシティシネマ12 ジャンルのエッセンスを寄せ集めた代物で新しいことは何もないとも言える。 前作でクロエ・モレッツが演じた役どころは、今回は黒人少年。 これを演じるのがアシュトン・サンダース。「ムーンラ…

1987、ある闘いの真実

★★★ 2018年9月27日(木) シネマート心斎橋1 ナ・ホンジンの2作(「チェイサー」「哀しき獣」)で主演をつとめたキム・ユンソクとハ・ジョンウの3度目の対峙作。 なんて見方は、本質からずれているのだろう。 それでも、この中盤でほとんど消える検事のジ…

イコライザー

★★★★ 2014年11月6日(木) 大阪ステーションシティシネマ11 全ての男どもが思い描く夢の最大公約数を具現化するに全く躊躇せず工芸品を愛しむように丹念に磨き上げられた世界。この微妙な過剰さの匙加減がフークワの特質だろう。終盤のそこまでいっちゃう…

愛しのアイリーン

★★★★ 2018年9月17日(月) 大阪ステーションシティシネマ5 原作未読…っちゅうか、ここ20年くらい漫画読んでません。 であるから、この展開の転がり方に驚いた。 吉田恵輔監督の「ヒメアノ~ル」の印象があって、狂気の予断があったのかもしれない。 確か…

インターステラー

★★★★ 2014年11月22日(土) 梅田ブルク7シアター7 尺を費やした親子の絆を水の惑星のエピソードでものの見事に断ち切る意外性は後段の未だ見ぬ地平への期待を弥増させるのだが、周回しての落し所はそこかという万人の安心ラインが失望だ。絵面は多少『オブ…

異邦人

★★★ 1980年9月14日(日) SABホール 一流の匠達が粋を尽くした器に盛られた純文学の贋作だが、終ぞこのムルソーからは真の実存主義的テーゼは見えてこない。原作を絵にしただけならまだしもだが後半の裁判シーンの冗長さが解説めいて自堕落。ただ暑かったか…

インクレディブル・ファミリー

★★★ 2018年8月4日(土) TOHOシネマズ梅田5 「ファインディング・ドリー」のときも感じたのだが、10数年を経ての続篇って何か胡散臭い。 儲かるもんなら何でもの映画産業に於いて、敢えて当時作らなかったのは、これは一発限りという矜持みたいなのが…

犬ヶ島

★★★★★ 2018年5月28日(月) TOHOシネマズ梅田4 「七人の侍」の主題曲を、俺は今までいい曲だと思ったことはあんまりなかった。 のであるが、やさぐれた捨てられ犬たちが愛犬を探しにきた少年のために一肌ぬぐってとき。 それが高らかに鳴り出して、胸が…

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密

★★★ 2015年3月18日(水) TOHOシネマズ梅田7 エニグマ解読の軌跡は幾何学図形やレトロCPの形象の珍奇さで誤魔化され結局決め手はそんなことかいという落胆。文系男子が理系題材を調理したってこの程度かと思う。終盤、大局的非情と性嗜好の露見が錯綜する…

イン・トゥ・ザ・ウッズ

★★★★★ 2015年4月4日(土) 梅田ブルグ7シアター5 可愛くも綺麗でもない御伽噺の人物挿話がパロディックに連関する前半が絶妙の端折り具合で、又王道ミュージカルな楽曲の冴えが70年代的芳香なのだが、一転、テロルの連鎖に晒された今に如何に向き合うか…

インヒアレント・ヴァイス

★★★ 2015年4月21日(火) シネリーブル梅田3 ウィルソン登壇辺りから流れを見失い気が付けば終盤だった。そういう迷宮世界の混沌に酩酊する物語だとしても、キャストの鮮度落ちの熟成が足りなく生腐りで旨み成分が出てない。天使のようなキャサリンちゃん再…

いぬやしき

★★★ 2018年5月1日(火) TOHOシネマズ梅田10 佐藤信介の映画は初期の「修羅雪姫」と直近の「アイアムアヒーロー」しか見ていない。 だが、そのアクション演出はシャープでキレがあると思っている。 で、本作であるが、悪いが物語の構築をてんで考えて…

怒りの葡萄

★★★★★ 1980年12月7日(日) SABホール 現実に貧乏な時代に作られたからこそのリアリティと現実に家族が固い絆で結ばれていた時代だからこその感銘が抜きん出ている40年代フォードの貧乏アメリカ3部作の初作にして最高作。トーランドの撮影も特筆もの。(c…

伊藤くん A to E

★★★★ 2018年1月19日(金) TOHOシネマズ梅田5 TVドラマがあったようだが、未見。 なので比較のしようもないが、予想外に良かった。 「伊藤くん」とタイトルに冠されているが、これは木村文乃扮するアラサー女の再生譚だ。 で「伊藤くん」は単なる狂言…

犬どろぼう完全計画

★★★ 2015年7月25日(土) シネマート心斎橋2 子供のチャチい計画を大人脳で斟酌せぬまま出されても仕方ない左程ポップでもなく諧謔も皆無な児童映画。ただ安易に太平楽な結末を迎えるのではなく現実を噛みしめたかのようなラストがいい。何よりイ・レちゃん…

IT “それ”が見えたら、終わり。

★★★ 2017年12月4日(月) MOVIXあまがさき10 原作は、ずいぶん昔に読んでいるのだが、ほとんど記憶になかった。 ただ、冒頭の弟が失踪する場面はなんとなく覚えている。 キングお得意の細密な環境描写が冴えまくっていたような気がする。 で、この映…

いぬむこいり

★★★ 2017年7月29日(土) 第七藝術劇場 この監督の「アジアの純真」って映画を何年か前に観たとき一種の覚悟のようなものを感じた。 平和な日本で安穏と暮らす緩んだ感覚を撃たれた気がした。 4時間、2,500円って普通なら俺は見に行かない。 「ハッピ…

★★ 1977年6月5日(日) 東梅田シネマ 失踪というアントニオーニモチーフは日本風土で内田私世界に還元され藤田のモラトリアム価値観を乗され意味不明の混濁に至る。ベビーフェイスの巨乳が襖一枚隔てて今の世界は情緒を廃され風船は萎む。ファーストシーンから…