男の痰壺

映画の感想中心です

IT “それ”が見えたら、終わり。

★★★ 2017年12月4日(月) MOVIXあまがさき10
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原作は、ずいぶん昔に読んでいるのだが、ほとんど記憶になかった。
ただ、冒頭の弟が失踪する場面はなんとなく覚えている。
キングお得意の細密な環境描写が冴えまくっていたような気がする。
で、この映画の見どころも、冒頭が筆頭のような気がするのだ。
 
結局、何が物足りなく思えるのかって考えるに。
【以下ネタバレ】
弟はピエロに襲われるのであるが、けっこうに残虐な殺され方をする。
腕を食いちぎられ這って逃げようとするところを下水溝に引きずり込まれる。
あたりは血の海。
で、これに匹敵するゴア描写は以後…ないのであった。
 
最後はピエロは少年たちにボコ殴りにされて哀れ退散となってしまうのだ。
…弱い…あまりに弱すぎる。
これじゃあ、バランス欠きますなあ。
 
演出は堅牢で良い。
期待できる新人だと思う。
 
はじき出された者たちのグループに少女が加わる。
そこが、「スタンド・バイ・ミー」のような少年だけの話よりも甘酸っぱい。
中盤の湖でのシーンは我々おじさんにはたまらないものがあります。
 
導入の弟失踪の苛烈さや不良の父殺しにしてもジュブナイルな映画に留めない覚悟はあるし、一方で少年期の連帯感やトキメキも十二分に感じられるのだが、町の地底を縦横に徘徊する「それ」は肝心要でヘタレてしまう。そのアンバランスを凌駕する何かが欲しい。(cinemascape)