男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【かは~かん】

カンパニー・マン

★★ 2010年9月11日(土) トビタシネマ 冒頭から30分は幾何学的構図も決まり物語世界への期待も持続する。しかし、2転3転する展開に感じ始めた既視感は、やがてウンザリ感へと転ずる。カタルシスも悪寒も感じない終盤の帰結。気障な凡庸。(cinemascape)

ガープの世界

★★★★ 1984年12月9日(日) 大毎地下劇場 リブもジェンダーもロイ・ヒルにとっては関心事ではない。空に舞う無垢なる赤ちゃんの笑顔の如くに自然体で生きることは難しく偏向した思想はそういう個人の生き様を圧殺する。それを怒りや皮肉でなく優しさで被う視線…

伽倻子のために

★★★★ 1984年12月23日(日) 三越劇場 在日であることのアイデンティティは寧ろ物語の方便としてのみ機能してると見るべきで、特化して描かれるのは社会から孤絶した静謐な世界での恋人同士の時間の絶対的至福。北海道という地勢が生む清涼感と水道管検査人を始…

神々と男たち

★★★ 2011年4月9日(土) 梅田ガーデンシネマ2 「神々と」と言う割には高次な命題ではなく、曳かれ者の小唄的に矮小な世界観にしか立脚していない。それでも、「白鳥」の余りにと言うしかない自己陶酔なセンチメンタリズムの強引な押し付けには若干捻じ伏せ…

ガントレット

★★★ 1982年3月12日(金) シネマ温劇 撮ることへの意識過剰なき衒い無さは芸がないこと紙一重であり、数多あるB級アクションの領域に留まる。ファーストシーンのジャジーなムードが最高。前段と終盤に用意された弾幕過剰が作家性というより自棄のやん八的本能…

蒲田行進曲

★★★★★ 1982年10月10日(日) 伊丹ローズ劇場 被虐と嗜虐を往還する展開の不条理は一応「映画王国」の特異現象として言い訳されてるが、そこから純愛を抽出する作為は本来泥臭い。しかし幸か不幸か、そういうことに斟酌しない深作怒涛のハイテンションが胡散臭…

カリフォルニア・ドールス

★★★★★ 2013年2月11日(月) 第七藝術劇場 北米のド田舎をポンコツ車で流れ行く寂寥感が堪らない。凶暴と好色といかがわしい優しさを併せ持つフォークのキャラはニューシネマ経由の正統アメリカンガイの末裔。溜めた幾何かの屈託を吐き出すラストバトルは時間…

神々の深き欲望

★★ 1981年2月15日(日) SABホール 徹底した取材を通して叙情を浮かび上がらせることに長けた今村が壮大な叙事詩を紡ごうとして破綻した。そういう意味で『ええじゃないか』と双璧かも知れない。一種の日本人論なのだろうが主題もつまらないし、姫田無き…

カルメン故郷に歸る

★★ 1981年1月31日(土) SABホール 歴史に残ることが確定された日本初総天然色映画の祝祭的記念碑に敢えてストリッパーを主人公にしたことに偽善的な臭いを感じる。だから、彼女たちがバカ陽気にお人好しぶりを発揮すればするほど、あざとく思え嫌悪感が…

華麗なる相続人

★★ 1981年4月5日(日) ビック映劇 この何の芸当もないオードリーの復帰第2作を止める者は誰もいなかったのだろうか。薹が立った爺婆スタッフ・キャストに囲まれ安住するだけの彼女に年相応の枯淡も色香もない。無惨なだけで、つくづく『ロビンとマリアン』…

華麗なるギャッツビー

★★★★ 2013年6月29日(土) MOVIXあまがさき7 逐一絵面で説明したがるラーマンに語らずに語るの極意なぞ言っても無駄なのであって、原作文を得意げに画面に貼る恥知らずにはキッチュの本質をさえ窺わせる。ともかく画面を虚構で充実させる努力は大した…

乾いた湖

★★ 1981年6月19日(金) 今津文化 テロリストの誕生を語るのに社会的敗者を対比させるのが青臭い。しかも寺山はファッションとしてのテロルに憧れるだけで、それをヒトラー崇拝等の形骸でしか表現し得ない。そして否応なく彼の本質が敗者の側にあることを露…

寒椿

★★★★ 2013年11月16日(土) トビタ東映 大映の伝統を汲む美術の内藤昭が今回効いた。陽暉楼のセット美術など大したもので、愚直なだけの降旗と大味な体育会系木村ペアも気合乗りが覗える。南野の乳出しもコマーシャルな意味付けに留まらず流転の悲哀を演出す…

仮面 ペルソナ

★★★★★ 1980年3月5日(水) 毎日文化ホール 神の不在という命題から解き放たれベルイマンは「女」を描くことに、のたうつ様な快楽で臨んでいる。アンデルセンからウルマンへ過渡する冷徹がニクヴィストのトリッキーでシャープなアイデアで最尖鋭化する。『沈黙…

華麗なる賭け

★★ 2014年7月14日(月) トビタシネマ 柄じゃないの一言で済ませたいが、加えて過剰なナル汁に咽せ返りそうだ。犯罪ゲームを巡る暴き合いや騙し合いはロクにないくせにしたり顔のラストは最早どうにでもしてくれ状態。唯一チェスシーンのダナウェイの指使い…

渇き。

★★★★ 2014年7月14日(月) 大阪ステーションシティシネマ10 善悪・正邪はともかくとして登場人物皆ロジックが一貫してるのだが、一貫しすぎて物語が単線的にしか転がらないのがつまらなく、ましてやあの帰結はないやろ思うのだが、そこを補うべく投入され…

彼が愛したケーキ職人

★★★★★ 2018年12月16日(日) テアトル梅田2 これは、cinemascape のある方の評点をみて見に行ったが、本当に傑作であった。 今でも、俺の脳裏に異郷のアパートの部屋で孤独に打ち震える、がたいのデカい男の姿がよみがえるのだ。 【以下ネタバレです】 この…

監視者たち

★★★ 2014年9月6日(土) シネマート心斎橋2 オリジナルより犯行グループの描写が熾烈になり温さは解消されたのだが、それでも所詮は手出し御法度の監視専門班というダイナミズムを封殺された設定が枷と感じられる。上司(ギョング)・部下(ヒョジュ)コン…

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

★★★ 2014年9月14日(日) MOVIXあまがさき10 1人カラオケしつつのオーブ奪取の掴みが良く、面子が揃うまでは流れも快適だが、揃ってからは毎度の悪の枢軸VS連合軍的定番戦争の善良サイドの尖兵と化して新味も失せる。惑星ザンダー上空の陽光下の…

華麗なる一族

★★★★ 1981年7月31日(金) 湊川温泉劇場 大時代な紙芝居たることを自己認識しつつも軽重数多の役者陣を自在に操って紡ぎ上げた文字通りのピカレスク。山本の作劇は闊達そのもで、冷静に考えたら馬鹿らしいと思うだろう隙を時代認識の先鋭さで覆い一瞬たりとも…

紙の月

★★★★ 2014年11月16日(日) MOVIXあまがさき6 境界を踏み越えてしまう女心が十全に描かれぬのは良しとしても、どうにもりえの疲弊が出すぎて痛々しい。だから単なるバカ女に見えてしまう。一方、相変わらず演出はキザで随所で小粋な画をみせるのは一応…

カメラを止めるな!

★★★★ 2018年8月18日(土) TOHOシネマズ梅田1 知人が書いていたが、確かにこの300万足らずの製作費のインディーズ映画が、大阪は最1等地の旗艦館であるTOHOシネマズ梅田のスクリーン1(席数737)に掛かってることは事件だろう。 興業レベル…

紙屋悦子の青春

★★★★★ 2015年8月22日(土) シネヌーヴォ 何十年に及ぶ日々を、あの数か月の彼奴があの人が残したものを心の中で反芻しながら生きてきたのだということを、永遠かとも思える無為な病院屋上の時間が反映画的故にこそ表すのだという黒木の達観と確信。その…

カプリコン・1

★★★★ 1978年5月5日(金) 伊丹グリーン劇場 未だ陰謀説も敷衍せぬ時代にこのアイデアがあれば前半はもって当たり前なのだが、後半になり展開がSF色を脱色されても全くダレないのが驚嘆。ローアングル主観カースタントや眼前ヘリ浮上の望遠近接効果。ハイアム…

南瓜とマヨネーズ

★★★★★ 2017年11月12日(日) MOVIXあまがさき4 何が良かったのかって言われて答えようがない。 どうしようもないダメ人間のダメ衝動にもとづいてのダメ行為の果てのダメ顛末。 【女】 才能があると思い込んだバンドマンに尽くし糟糠の妻よろしく風俗で…

カンタベリー物語

★★ 1978年4月9日(日) SABホール 徹底的に修正が施されたものを見て汚いと思ったが無修正版を見てもそう思いそうな気がする。それがリアルな中世だと言うなら結構だがパゾリーニの願望が多分に入り混じったそれは男色とスカトロの色彩が濃い。となれば艶め…

からみ合い

★★★★ 2017年7月17日(月) シネヌーヴォ 相続をめぐる女たちの確執と言えば、63年の大映映画「女系家族」が真っ先に思い浮かぶ。 京マチ子と若尾文子のがっぷり四つは「ザ・女」とでも言うべき粘度と吸引力の絡み合いであった。 比べて、今作は松竹映画。 …

がんばれ!ベアーズ

★★★ 1977年7月31日(日) 伊丹グリーン劇場 実際にそれなりの球を投げるテータムのクールなリアリズムが全般ゆるい作劇を辛うじて随所で引き締めるのだが、それがなけりゃどうということもない児童映画だ。ルーティーンどっぷりの役柄を新味なく演じるマッソー…

カンバセーション 盗聴

★★★ 2016年3月27日(日) プラネットスタジオプラス1 匿名性に固執する孤独キャラは良いのだがサックス吹いたり柄じゃない違和感。ポランスキー&ヒッチ風味で作風を一気に変えたコッポラだがアントニオーニに行き着く手前で息切れした。世界が卑小で冒頭…

カフェ・ソサエティ

★★★ 2017年5月6日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 ずーっと熱心なアレン信者であったわけではない。 多分、3本のスカヨハ時代から欠かさぬ感じになった。 現在、エマ・ストーンも2作登用してるが高打率だ。 これらの5本に共通するのは、一種の批評…