男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【かは~かん】

純子引退記念映画 関東緋桜一家

★★★ 2003年8月21日(木) トビタ東映 「引退記念映画」と銘打つからには頭からケツまで純子べったりであるべきなのに、いつしか比重は健さんと鶴田の毎度の渡世の義理の世界へ。恩人マキノを立てた為『緋牡丹博徒』で花道を飾れなかったのが気の毒だが復帰した…

プラスティック・ナイトメア 仮面の情事

★★★ 1992年2月11日(火) パルシネマしんこうえん 題材からすればジョン・ヒューストンのような乾きが欲しいところなのに、大仰なヒッチコックもどきで迫ってしまったのが違うと思うし上手くもない。グレタ・スカッキも美人なのだがオーラがあるとは言えず屋台…

カンフーハッスル

★★★★ 2005年4月13日(水) CINEMAしんげき1 目を惹かれたのは縦横に移動する長回し内での過剰なまでの天こ盛りの創意。真にリスペクトするものには誤魔化しは無礼と言わんばかりのシンチーの引きのスタンスが図らずも親爺リスペクトに連鎖した。とは言…

株式会社 ザ・カンパニー

★★★★ 1992年11月14日(土) キリンプラザ大阪 モノクロームの折り目正しい画面から昭和30年代の日本映画にあったようなモラリズムが感じ取れる。得るものがあれば失われるものもあるというメッセージは真っ当すぎるにしても、突き放すがごときラストの余韻が…

カポーティ

★★★★ 2007年1月20日(土) 新世界国際劇場 主人公が取材を通して犯人と同期していく様は、台詞で語られているほどには掘り下げられているとも見えないのだが、カンザスの片田舎の時代の空気を表出したカメラと緻密な演出、そしてホフマンの計算され尽くした…

頑張れ!グムスン

★★★ 2007年4月12日(土) 新世界国際劇場 1晩中、赤ん坊をおぶって走らされ続けるペ・ドゥナにかなり感動した。コンセプトは明快で肉付け次第では傑作に成り得ただろう。コメディリリーフはドゥナ1人に負わせて他は極マジで行ってくれりゃ良かったのに。そ…

カンウォンドの恋

★★★★★ 2021年9月20日(月) シネヌーヴォ ✳︎今回の上映「作家主義ホン・サンス」では「カンウォンドのチカラ」のタイトルで上映されましたが、ここではオリジナルと思われるタイトルを採りました。 原題はチカラの方らしいので、なんやろパワースポット的な…

咬みつきたい

★★★ 1991年10月6日(日) ホクテンザ1 半チクな題材で、主役の3人にキレが無く、ホラーとしてもコメディとしても見所は無いが、家族を残して死んだ男の悲哀のようなものがそこはかとなく出ていて捨て難い。全ては『社葬』に続いて緒形と組んだ吉田日出子に負…

カンフー・マスター!

★★★★ 1991年10月19日(土) 毎日文化ホール 抑制の効いた逆ロリータであるにしても、一種清々しいまでのこのさばけ方は生半可ではない。それがヴァルダやバーキンの生き方をこそ投影している点で通常の物語よりリアリティは一段の高みに達している。身内総出演…

昭和残俠伝 唐獅子牡丹

★★★ 1990年4月15日(日) 日劇会館 冒頭の斬殺シーンが表象するように佐伯の描く侠道は殺伐としているしファナティック且つホモセクシュアルな臭いが多分にある。侠客の本質はこっちに近いのであろうが好みで言うと根明なマキノの方が安心。三田佳子の暗トーン…

カラヴァッジオ

★★ 1990年9月30日(日) 毎日文化ホール デレク・ジャーマンは商業主義的妥協の中での前衛を取り違えているか、ハッタリズムやケレンとは無縁の純真なおぼっちゃまかだ。剣呑でいかがわしい空気は充満しているが、映画的に須く負に機能してしまう哀しさ。他を…

新・監禁逃亡

★★★ 2009年3月28日(土) トビタ東映 完全な2セットものの作劇に貧乏臭さと同時に郷愁にも似た感慨も覚えた。今更何かを問うわけでもない割り切りと、だが一応は物語を全うするという律儀ぶりが悪くない。ただ、2人の女優が可もなく不可もない案配ではある…

カムイ外伝

★★★★ 2009年9月22日(火) 梅田ブルク7シアター6 被虐者VS加虐者という構図ではなく同恨相食む無常に収斂させた白土イズムを押さえた脚本。殺陣も打撃と関節技を取り入れ納得性があり魅せられた。CGは『ワタリ』的原色配置は買うが「飛翔」の描写の細…

カントリー

★★★★ 1986年2月15日(土) 大毎地下劇場 労働を描き声高に抑圧に抗することを描くと左がかる。『怒りの葡萄』から『プレイス・イン・ザ・ハート』に至るまで巧みにそれを回避し得たのは抑制でありこの映画にもそれがある。ラングのピークを形成する作品であり…

カポネ大いに泣く

★★ 1985年2月16日(土) 観光会館地下劇場 オフビートな安っぽさを狙うには実は戦略的周到さが要件なのに露骨に安さが画面を牛耳ってしまった。監督がアホしても熟練のスタッフが支えた日活時代をまんまシステム崩壊後の80年代にリピートしようとしても通じ…

COME&GO カム・アンド・ゴー

★★★★ 2021年3月12日(金) シネリーブル梅田3 大阪キタを舞台に9ヶ国の人たちが織りなす群像劇ってことで、まあ、これはリム・カーワイにしか撮れない題材だよなと思う。 もしかしたら、日本人のクリエイターでも取材を重ねてこういう企画は立てられるのか…

ガンズ・アキンボ

★★★★ 2021年2月27日(土) TOHOシネマズ梅田8 自慢じゃないけど「ハリー・ポッター」を1本も見てない。シリーズ終焉後にダニエル・ラドクリフが己が生きる術をこういう方向に見出したことに特に感慨もないが、それでも嘗ては2の線でメガシリーズを牽…

川の底からこんにちは

★★★★ 2010年7月29日(木) 梅田ガーデンシネマ1 自虐的モラトリアム女が開き直って一念発起し自己再生するベタな規定路線上の物語は余り説得力もないのだが、日常的におっさんとオバハンがまぐわう土俗環境の今村が降臨したかの如き描写の魅力と徹底的なダ…

カンパニー・マン

★★ 2010年9月11日(土) トビタシネマ 冒頭から30分は幾何学的構図も決まり物語世界への期待も持続する。しかし、2転3転する展開に感じ始めた既視感は、やがてウンザリ感へと転ずる。カタルシスも悪寒も感じない終盤の帰結。気障な凡庸。(cinemascape) k…

ガープの世界

★★★★ 1984年12月9日(日) 大毎地下劇場 リブもジェンダーもロイ・ヒルにとっては関心事ではない。空に舞う無垢なる赤ちゃんの笑顔の如くに自然体で生きることは難しく偏向した思想はそういう個人の生き様を圧殺する。それを怒りや皮肉でなく優しさで被う視線…

伽倻子のために

★★★★ 1984年12月23日(日) 三越劇場 在日であることのアイデンティティは寧ろ物語の方便としてのみ機能してると見るべきで、特化して描かれるのは社会から孤絶した静謐な世界での恋人同士の時間の絶対的至福。北海道という地勢が生む清涼感と水道管検査人を始…

神々と男たち

★★★ 2011年4月9日(土) 梅田ガーデンシネマ2 「神々と」と言う割には高次な命題ではなく、曳かれ者の小唄的に矮小な世界観にしか立脚していない。それでも、「白鳥」の余りにと言うしかない自己陶酔なセンチメンタリズムの強引な押し付けには若干捻じ伏せ…

ガントレット

★★★ 1982年3月12日(金) シネマ温劇 撮ることへの意識過剰なき衒い無さは芸がないこと紙一重であり、数多あるB級アクションの領域に留まる。ファーストシーンのジャジーなムードが最高。前段と終盤に用意された弾幕過剰が作家性というより自棄のやん八的本能…

蒲田行進曲

★★★★★ 1982年10月10日(日) 伊丹ローズ劇場 被虐と嗜虐を往還する展開の不条理は一応「映画王国」の特異現象として言い訳されてるが、そこから純愛を抽出する作為は本来泥臭い。しかし幸か不幸か、そういうことに斟酌しない深作怒涛のハイテンションが胡散臭…

カリフォルニア・ドールス

★★★★★ 2013年2月11日(月) 第七藝術劇場 北米のド田舎をポンコツ車で流れ行く寂寥感が堪らない。凶暴と好色といかがわしい優しさを併せ持つフォークのキャラはニューシネマ経由の正統アメリカンガイの末裔。溜めた幾何かの屈託を吐き出すラストバトルは時間…

神々の深き欲望

★★ 1981年2月15日(日) SABホール 徹底した取材を通して叙情を浮かび上がらせることに長けた今村が壮大な叙事詩を紡ごうとして破綻した。そういう意味で『ええじゃないか』と双璧かも知れない。一種の日本人論なのだろうが主題もつまらないし、姫田無き…

カルメン故郷に歸る

★★ 1981年1月31日(土) SABホール 歴史に残ることが確定された日本初総天然色映画の祝祭的記念碑に敢えてストリッパーを主人公にしたことに偽善的な臭いを感じる。だから、彼女たちがバカ陽気にお人好しぶりを発揮すればするほど、あざとく思え嫌悪感が…

華麗なる相続人

★★ 1981年4月5日(日) ビック映劇 この何の芸当もないオードリーの復帰第2作を止める者は誰もいなかったのだろうか。薹が立った爺婆スタッフ・キャストに囲まれ安住するだけの彼女に年相応の枯淡も色香もない。無惨なだけで、つくづく『ロビンとマリアン』…

華麗なるギャッツビー

★★★★ 2013年6月29日(土) MOVIXあまがさき7 逐一絵面で説明したがるラーマンに語らずに語るの極意なぞ言っても無駄なのであって、原作文を得意げに画面に貼る恥知らずにはキッチュの本質をさえ窺わせる。ともかく画面を虚構で充実させる努力は大した…

乾いた湖

★★ 1981年6月19日(金) 今津文化 テロリストの誕生を語るのに社会的敗者を対比させるのが青臭い。しかも寺山はファッションとしてのテロルに憧れるだけで、それをヒトラー崇拝等の形骸でしか表現し得ない。そして否応なく彼の本質が敗者の側にあることを露…