男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【こ】

コンシェンス 裏切りの炎

★★★ 2013年6月8日(土) トビタシネマ 主役2人の確執は大して劇的緊密があるわけでもなく、寧ろカイチーやパオチャンたち双方の脇キャラの切実なドラマが泣ける。だが、何と言ってもダンテ・ラムの過剰が炸裂するクライマックス。炎と水と火薬と血と赤ん坊…

子どものころ戦争があった

★★★ 1981年2月24日(火) 伊丹ローズ劇場 慎ましやかで良い映画だとは思うが、こういう金髪碧眼の美少女の悲話を多くのエピソードの中から選択した時点で既に売らんかなの姿勢が透けてる気もするし、可哀想というだけではなく現在に繋がる指針をこそ呈示する…

幸福の設計

★★★★ 2020年1月12日(日) シネリーブル梅田4 ジャック・ベッケルは「穴」は良作、「モンパルナスの灯」は普通くらいの評価しかもっておらず、先日見た「怪盗ルパン」が凡作だったのでどうもなあとも感じていたが、この3作は後期のものであり、ヌーベルバ…

殺しのドレス

★★★★★ 1981年5月2日(土) 阪急シネマ 3面記事的えげつなさは幼稚で洗練されてないが、一方で無邪気なまでの技巧オンパレードで恥も外聞も無く押しまくる。『サイコ』に対するオマージュとしても高度な達成。精神的な成熟レベルの幼児性といい天才的な技巧…

国家が破産する日

★★★ 2019年12月8日(日) シネマート心斎橋2 1997年の韓国の通貨危機を描いたものということだが、当時、日本もバブル崩壊の長引く余波がより深刻化した時期で、俺のいた会社もつぶれて、正直、お隣さんの国でこういうことが起こっていたことさえ知らな…

殺さない彼と死なない彼女

★★★★★ 2019年11月27日(水) 梅田ブルク7シアター5 女子向け映画が隆盛を極めている感があって、正直、食指動くわけないし、おじさんが1人で見に行くってのは敷居が高いんですが、それでも映画を見るにジャンル横断主義を掲げる俺やないかと自らを鼓舞し…

工作  黒金星と呼ばれた男

★★★★ 2019年10月5日(土) 新世界国際劇場 日韓関係の変容と、朝鮮半島の今を読み解くのに凄く勉強になる映画だと思う。 親北の政権が覇権を握ってる今、それでも北が韓国に冷たいのは、なるほどこういうことかとわかったような気がする。 スパイ映画といっ…

荒野の誓い

★★★★ 2019年9月13日(金) 梅田ブルク7シアター2 物語を転がす便が甘いとは思う。 先住民を蛇蝎のごとくに憎み殺しまくってきた男と亭主と幼い娘3人を先住民になぶり殺しにされた女。 彼らは老いたシャイアン族の族長を故郷の居留地へ送り届ける旅路に帯…

恋するリベラーチェ

★★★ 2013年11月6日(水) MOVIXあまがさき11 デイモンのナイスなイカガワシさも、ダグラスのきみまろ的オバン殺しパフォーマンスの圧倒に消し飛ぶ開巻20分だが、何が繰り広げられるのかの期待は徐々に萎み始める。普通やん…ってこと。バックステー…

恋の渦

★★★★★ 2013年10月26日(土) シネリーブル梅田1 限定空間でのエクストリーム下衆同士の駆け引きと騙し合いの応酬が飽くことなくリニューアル版『しとやかな獣』めき、入念な下準備とデジタルを利したマルチカメラの使用で短期日で一気に仕上げた凝縮は新世…

五人の賞金稼ぎ

★★★ 2013年11月16日(土) 新世界東映 『七人の侍』ごっこのカス映画と切って棄ててもいいのだが、若山の品性無きヒューマニズムや大木のイジケた居住まいや真山の謙虚なエロスが中心に据わり何とか最低線をキープした。しかし、この惨状で大見得を切るラス…

COLD WAR あの歌、2つの心

★★★★ 2019年7月6日(土) テアトル梅田2 男と女の腐れ縁を描いたもので、正直それ以上でも以下でもない気がしないでもない。 何年もにわたる、ついたり離れたりの変遷。 そこに2人の商売柄、いろんな歌曲が挿入される。 って「ラ・ラ・ランド」をちょっと…

コンフィデンスマンJP

★★★ 2019年6月5日(水) TOHOシネマズ梅田2 TVシリーズ未見です。 なので、見る気もなかったのだが、「キングダム」で良かった長澤まさみ見たさで見ました。 まあ、詐欺師集団が大物をカモる。 っていやあ、「スティング」、みたいなもんで、この映画…

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

★★ 2019年6月3日(月) 大阪ステーションシティシネマ1 なんやねんと思った。 何がって、ラドンである。 キングギドラに歯がたたないとわかったら、手のひら返して軍門に下りモスラに襲い掛かりやがんの。 それで、ギドラがゴジラに負かされると頭を垂れて…

地上より永遠に

★★★ 1981年10月6日(火) 毎日文化ホール 反骨野郎クリフトと権謀術数のランカスター…本来は対立項であるべき2人が並列配置されるため盛り上がりきれずにスカされる。特にランカスター扮する男は或る意味時代を先取りしたキャラだっただけに残念だ。(cinemasc…

幸福なラザロ

★★★★★ 2019年5月6日(月) シネリーブル梅田2 アリーチェ・ロルヴァケルの前作の「夏をゆく人々」の感想を見返してみると、シネフィル的と書いてある。 エリセ、タヴィアーニ、アンゲロプロス、アントニオーニの名前を挙げてる。 で、今作だが、前段はオル…

幸福

★★★★★ 1981年10月16日(金) 伊丹ローズ劇場 淡々とした日常の中の幼い我が子達との或いは職場の先輩後輩同僚との一見醒めた関係の下の熱量を描いて秀逸。『犬神』以降の崑第2ブーム作品中のピーク。銀残しの淡彩はくぐもった都会の日常の些細な美ををアング…

BACK STREET GIRLS ゴクドルズ

★★★ 2019年2月16日(土) 梅田ブルク7シアター4 惹句に「壮絶に、チン○が消える」とあるんだが、生ぬるいと思った。 東映ピンキーバイオレンスに例える評も見たが、この映画、あきらかにばったもんに近い。 俺は地下アイドルってのに興味はないし、もっと…

恋や恋なすな恋

★★★ 2019年2月24日(日) 新世界東映 なんというか、一種のとんでも映画に近い気がする。 かっちりした剛速球投手のイメージがある内田トム御大だが、これは変化球連投のサブマリンみたい。 のっけから富士が噴火して天地が鳴動する。 って京でその噂が伝聞…

恋する女たち

★★★★ 1980年6月4日(水) 毎日文化ホール 後のアイヴォリー作品に通底する英文学の気品と芳香。やり放題未満のラッセル演出の頃合がこの時期最も好ましい。破綻するしかない2人とそうでない2人。その運命的詠嘆のアイロニーが醸し出されず終盤は物語世界に追…

絞殺

★★★ 2014年8月5日(火) シネヌーヴォ 母親に対する父親と少女に対する義父という清清しいまでの2段重ねエディコン祭りで、こういう枠組みで事の解明を図る新藤は理数系なんだと思う。3文演劇のようなご近所芝居は前衛の1歩手前とも見え愛らしい。尚現在…

GODZILLA ゴジラ

★★★★★ 2014年8月6日(水) TOHOシネマズ梅田7 守護神的役回りに「ガメラ」との近似を見るに吝かではないが、しかし、このゴジラの憎悪表現のハイボルテージの熱量が、本来対置するのも恥かしいミクロ世界の絆の連鎖に伝導し不可逆の化学反応を起こす。…

これからの人生

★★★ 1980年7月9日(水) 大毎地下劇場 アラブとユダヤの相克という欧州での通底認識がないと感慨も遠いのかも知れない。米オスカー受賞は多分に政治色を帯びているのだろう。しかし、それをシニョレというオブラートで包んで巧妙に埋没させている。良い映画だ…

小間使

★★★ 2018年9月8日(土) プラネットスタジオプラスワン ルビッチの遺作らしいが、世界は狭い。 小ネタが振られるが、正直おもしろくない。 まあ、これは個人のアンテナの問題で、俺はこの時期の例えばキャプラなんかも性に合わないのです。 旧弊を重んじる社…

ゴーン・ガール

★★★★★ 2014年12月14日(日) MOVIXあまがさき9 想定の範囲を遥か凌駕した転がりを見せる傑作脚本に対し徹底した即物描写に終始するフィンチャーの枯淡と言えなくもない境地は悪くない。だが、映画史に刻印されるファムファタールをスッピンと決めメイ…

五番町夕霧楼

★★ 1980年11月5日(水) 伊丹ローズ劇場 初作でさえも金閣寺放火のモチーフが余分に思えたのに、本作では更に、それをクローズアップした為に主人公の哀感を切々と謳い上げるには程遠くなってしまった。この頃の松坂はまだケバいし、ポップが身上の山根の柄で…

小人の饗宴

★★★ 1980年11月1日(土) 関西学院大学第4別館309号室 虐げられし者は、実は簡単に虐げる者になる。傷ついた駱駝や鶏への嘲笑は我々の日常に潜む本質への痛烈なアンチテーゼと解釈したい。ヘルツォークは全く呵責無い現実認識を観る者に突きつけるだろう。…

心と体と

★★★★ 2018年5月12日(土) シネリーブル梅田2 中学生が夢想しそうな物語が、本当にそういう夢想の帰結に向かう。 なんじゃそりゃ…と一瞬思った。 だって、こんなん男にとって(女にとっても?)美味しすぎる話やんか。 最強の共通関心事で他者介入の余地な…

孤狼の血

★★★★ 2018年5月13日(日) MOVIXあまがさき5 「仁義なき戦い」への言及が見られたので予断があった。 のだが、所詮これは、やっぱり警察小説なのであった。 暴力団同士の抗争はあるが、ど真ん中にそれがあるわけではない。 であるから、終盤までは物足…

恋人よ帰れ!わが胸に

★★★★ 1980年9月27日(土) 毎日文化ホール 訴訟を巡るドタバタもシュールなパロディを織り交ぜ冴えてはいるが、女房に逃げられたジャック・レモンの独壇場とも言える切ないまでの哀感と侘びしさ。マッソーとのやりとりは巷間言われる凸凹コンビではなく高度な…