男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【う】

ウォーム・ボディーズ

★★ 2013年12月21日(土) 新世界国際劇場 初期設定にこれ程違和感を覚えたことは無く、「ゾンビ映画」なるものに些かの愛着も持たぬ俺でさえも、これはジャンルの新たなステージの開拓などではなく終焉をもたらす冒涜に思える。腐りズルムケる表現を回避し、…

うず潮

★★★ 1981年9月9日(水) 毎日文化ホール フランス映画なのにハイスピードな展開は寧ろ50年代ハリウッド製コメディを連想させる。姦しい低層娘と浮世離れた富裕男の他愛無い無人島ごっこ&ラブアフェアを世紀を代表する男優と女優がミスマッチを承知で肩の…

ウィアーリトルゾンビーズ

★★★★★ 2019年6月19日(水) TOHOソネマズ梅田5 冒頭から、親が死んだって悲しくない…なんてほざくガキが出てくる。 そいつが又、ゲームばっかしてる小僧で、けったくそ悪い。 親が死んでも悲しくないってのはいい。 でも、そいつがゲームボーイみたいな…

ウルフ・オブ・ウォールストリート

★★★★★ 2014年2月15日(土) 梅田ブルク7シアター7 金儲けの手段は皆知ってるがやらないのであって、やる奴らを描いて剛速球をド真ん中に投げ込んだ。リテールから引き受けに至る錬金メカニズムを十全の胡散臭さで描き切りドラッグとSEXで虚実の境界を混…

WOOD JOB 神去なあなあ日常

★★★★ 2014年5月17日(土) TOHOシネマズ梅田7 居場所探しの映画として異文化との邂逅を描き越境する覚悟に共振する点に於いて『ダンス・ウィズ・ウルブズ』と通底する。長澤・伊藤の役所を知る快演は想定内としても優香の抽斗が奥行きをもたらす。しい…

ヴェラクルス

★★★★★ 2019年1月26日(土) プラネットスタジオプラスワン メキシコ、アーネスト・ボーグナイン、ガトリング銃とくれば否が応でも「ワイルドバンチ」を連想する。 そういう意味で、これは源流とまではいわなくても少なからず触発を与えた作品ではなかろうか…

ウォーロード 男たちの誓い

★★★★ 2014年7月4日(金) トビタシネマ 信義則を貫くことと怜悧な現実主義とが待ったなしの極限状態で相克するドラマは納得性があるし荘厳だ。しかも、所詮は戦乱下に権力者達の道具として朽ちるしかないというシニカルな詠嘆が全篇を覆う。あと夢幻のような…

家へ帰ろう

★★★★ 2019年1月5日(土) シネリーブル梅田1 冒頭、民族臭の濃い室内のダンスシーンにまず魅せられる。 「屋根の上のバイオリン弾き」がちょっと思い浮かんだりしたが、このタイトルバックは次のシーンには連関しない。 アルゼンチンに住む老人が、子供たち…

雨月物語

★★★★★ 1980年6月18日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 1991年11月16日(土) 高槻松竹 田中よりは案外に水戸光子が切ないのだが、やはり真に圧倒的なのは京マチ子と宮川一夫であり、両者が3年前の『羅生門』とリンクする形で戦前戦後の巨匠を同期させたこと…

浮草

★★★★★ 2018年10月28日(日) シネヌーヴォ 聞きしに勝る傑作である。 舞台袖から良人の愛人である杉村春子を見る京マチ子の眼光。 もともと目力の女優ではあるが、凄みがそんじょそこらではないのだ。 ワンショットにかける気合の熱量が、やっぱ小津はケタ違…

海を感じる時

★★ 2014年10月6日(月) テアトル梅田1 私は如何にして愛されてもいない男に体を与え続けたか…という言い訳を酔った席で延々聞かされてるようなもんで、そんなもんは所詮は解るわけなく解りたくもないのだ。荒井は『アデル』を擬えるが狂気の淵にさえも行か…

うたかたの戀

★★★★ 2018年7月8日(日) プラネットスタジオプラスワン オーストリア皇太子の心中事件をモデルにした映画は本作品を含めて3作あるらしい。 まあ、悲恋ものであり、成さぬ恋の果ての情死という意味で「ロミオとジュリエット」みたい。 しかし、現代の感覚か…

ウィンストン・チャ-チル  ヒトラーから世界を救った男

★★★★ 2018年4月14日(土) 大阪ステーションシティシネマ9 チャーチルの歴史的評価を知らないので、ここに描かれたことは話半分くらいにとの抑制が働く。 だいたい、この大戦の当時の趨勢から見て、彼の判断が正しかったのか疑問だろう。 たまたま、米国の…

ヴァレリアン 千の惑星の救世主

★★★★ 2018年4月7日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 俺はリュック・ベッソンの「愛」に対する価値基準には余りに能天気で全く同意するわけではない。 しかし、彼の子供脳による宇宙人のイメージには目を見開かされる。 例えば「スター・ウォーズ」に出…

海街 diary

★★★★★ 2015年6月24日(水) TOHOシネマズ梅田9 姉妹間だけではなく他者との関係性の変容を「空気」だけに最大限の演出を注ぎ込んで緩やかに慈しむかのように描いた工芸品。3度の葬儀と法事が編年のメリハリを付与する構成が高度に小説的だ。想定外の4人の…

修羅雪姫 怨み恋歌

★★★ 1980年12月23日(火) 新世界座 内容的に1作目と比して何が違うわけでもないが、鈴木達夫のカメラが素晴らしい美術と相まって寺山的猥雑さを醸し出し、役者のコラボも一線級の面構えを揃えて「男騒ぎ」な華々しき重厚。正直この映画には勿体ない位。(cinem…

嘘を愛する女

★★★★ 2018年1月21日(日) MOVIXあまがさき6 何年間も一緒に暮らした男が、実はどこの誰とも知れぬ野郎だったという話。 失踪者の数が年間数万人に達する日本でキャッチーな題材である。 俺だって、いつそうなるかわかったもんじゃないと思ってるし、…

嘘八百

★★★★ 2018年1月14日(日) TOHOシネマズ梅田3 終盤の結婚式場でのドタバタの中でエレベーターでの鉢合わせがある。 そのとき、瞬間的にこういうシーン見たことあるとの既視感が去来した。 見終わったあとも何の映画やったかとずーっと考えていて、ふと…

海にかかる霧

★★★ 2015年8月11日(火) 新世界国際劇場 序盤の荒んだ状況描写や船内の美術など重厚である。ただ前半の衝撃的展開を過ぎてしまうと、後はありがちな展開を消費するだけ。顛末を中盤以降に置き加速的に狂気の蔓延を描いた方が良かった。過度に情緒的である必…

動くな、死ね、甦れ!

★★★★★ 2017年11月18日 シネヌーヴォ 前半に関しても美点は多い。 イースト菌騒動による学校周りの泥濘の絶望。 スケートを買った直後の夜の池の孤独。 母の醒めた色気と子供に対する思い入れの真面さ。 だが、そういう一寸良いレベルから後半に映画は逸脱し…

美しい夏キリシマ

★★★★ 2015年8月22日(土) シネヌーヴォ 地方のコミューンのエロスとタナトスの混在を描いて『祭りの準備』姉妹篇の趣があるが、男が不足する世界で枯れた原田が色気を抑え基軸となり世界をこちら側に繋ぎとめている。総じて女優陣も素晴らしいが、それ以…

ウィンチェスター銃’73

★★★★ 2015年12月20日(日) プラネットスタジオプラス1 鳥瞰で捉えられた商人の惨殺死体やデュリエに嬲り殺される優男などけっこうに血なま臭いプロットも混じえつつも説話的な語り口故に牧歌的。冒頭の射撃大会の件などは童話世界のよう。西部劇の体裁を借…

ヴィンセントが教えてくれたこと

★★★★ 2016年2月27日(土) パルシネマ 演技力もルックスも個性も無く何故人気があるのか。THEビル・マーレイショー。彼の一挙手一投足を堪能する。人生の終盤を迎えた時にその自覚も反省も感慨も無いまま永続するスローライフ。少年によりピックアップさ…

美しい星

★★★ 2017年6月10日(土) TOHOシネマズなんば12 各人の覚醒(?)を並行的に描く前半は素晴らしい。 吉田大八演出は「桐島」でもそうだったが、複数挿話の捌きに秀でている。 どの挿話も手を抜いた感じは一切ない。 しかし、前半で振られたトンデモネタは…

ヴィジット

★★★★ 2016年3月12日(土) 新世界国際 シャマランよお前もかのPOVだが、さすが作劇の妙は腐っても鯛で痛いところ突いてくる。庇護されるべきもの→汚く忌むべきもの→恐れるべきものという2重のモラリズムの転倒が為される様は悪意の真骨頂であろう。超常…

ウンベルトD

★★★★★ 2016年5月5日(木) プラネットスタジオプラス1 矜持だけは残存するが最早生き抜く術を失した老人に対するデ・シーカのサディスティック視線は冷めた世間の衣を借り十重二十重に炸裂する。それでも愛犬依存な能天気ぶりがブラック。しかし少女の心折…

海よりもまだ深く

★★★★ 2016年5月24日(火) 梅田ブルグ7シアター3 母息子とか嫁姑といった家族間の感情の機微や軋轢を細緻リアリズムを折に触れ挿入し描くという点に於いて最早名人芸の域に達している。ただ名人芸すぎて観る側のハードルも上がっちまうのだ。本当の痛さや…