男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ふは~ふん】

ブリング・ミー・ホーム 尋ね人

★★★★ 2020年9月27日(日) シネリーブル梅田2 子どもが失踪するというモチーフで思い出される映画にイ・チャンドンの「シークレット・サンシャイン」があるが、この映画で監督デビューしたキム・スンウは同作のスタッフだったらしい。拘りがあるモチーフな…

トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2

★★★★ 2013年1月6日(日) MOVIXあまがさき2 転生したベラの歓喜の世界変容を精緻に描く発端からして確信的で、俗世の煩悩から解き放たれしバンパイア人生ハレルヤなのであり、これまでのあれこれは最早どうでもいい。いてもうたれバトルの華やぎのウッ…

ブレイクアウト

★★★ 2012年6月23日(土) 梅田ブルク7シアター2 見飽きた導入展開が、やがて攻守共々剥き身で待った無しの限界状況を露呈するあたり、好みの作劇ではあるのだが、正直もう1手欲しかった。シュマッカー演出もディゾルブ誤用の多用が鬱陶しいモッサリ感。キ…

トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part1

★★★★ 2012年2月25日(土) 大阪ステーションシティシネマ1 全体の半分をひたすら男と女が乳繰り合うだけに費やすという豪奢な作りに、古来より映画が委ねられた本来の時間律を想う。そして、半ばよりの怒涛のような釣瓶打ち展開のダイナミズムと最高潮での…

ブラック アンド ブルー

★★★★ 2020年7月26日(日) MOVIXあまがさき3 冒頭、ジョギング中の黒人女性が、パトカーに止められいきなり羽交い締めにされる。 今年の5月に起こったジョージ・フロイド事件を連想させるのだが、この映画は2018年の作で事件を直に反映したもので…

ブラック・サンデー

★★★ 2012年9月15日(土) TOHOシネマズ梅田10 フランケンハイマーのパレスチナへの被い切れない肩入れが際どい情感を産む。ケラーが負う被虐はダーンのそれと相乗され切ないまでの刹那を発散。だが、終盤のアクションシークェンスは正直力量が足りず茶…

ブラック・ブレッド

★★★★ 2012年12月11日(火) 新世界国際劇場 『パンズ・ラビリンス』と通底するスペイン内戦下の非情。大人への幻滅は怨嗟に立ち代り少女は言う。村に火をつけて遠くへ逃げようと。少年はそれを拒み、しかし、緩やかに両親を棄てるのだ。哀しみを超えた果ての…

フランス軍中尉の女

★★★★★ 1982年12月13日(月) 新世界国際地下劇場 俳優が役に侵食されていくという新味なき題材も高度な手練により再構築され蘇る。英国の古典と現在を橋渡す両雄ライス・ピンターの初邂逅が到達したトリッキーな構成が全くもって痺れる。熟達フランシスの撮影…

ブリッツ

★★★★ 2013年1月8日(火) トビタシネマ それ程エッジが効いてるわけでもないし、構成や人物配置は完璧に『ダーティハリー』まんまなのであるが、良い塩梅に際どい境界線上を往来する人物群像が魅力的で飽きない。特にコンシダインのキャラに新味があり、終盤…

フライト

★★★★★ 2013年3月24日(日) MOVIXあまがさき8 社会的逸脱者が特定分野で秀でるという序盤のテーゼは心地よいまでに反転され映画は転がり続ける。複数のジャンル映画の様相を横断しつつ行き着いた50年代的モラリズム。そのド真ん中を射抜く確信に心を…

ブラス・ターゲット

★★★★ 1981年1月25日(日) 伊丹グリーン劇場 大戦秘話として目新しいものではないが、ハフ演出が一貫してカットを細分化してテンポが抜群に良い。燻銀とも言えるカサベテスを主軸に添え、途中から絡んでくる殺し屋フォン・シドーも又拮抗し得る渋さ。スイス…

プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命

★★★★★ 2013年6月1日(土) 梅田ブルク7シアター7 漂泊に終止符を打つのは新たな命であり、しかし、その命は否応なく宿命に支配される。この一見救われぬサーガを悲観や諦念で言うは易いのだが、映画は視線を逸らさず見つめ続ける。そうするしかないとでも…

ブラックホール

★★★ 1981年5月5日(火) 伊丹ローズ劇場 『2001年』と『SW』という2度のエポックを通過したSF映画史に突如「マッドサイエンティスト」や「ロボット」という50年代アイテムをシャレじゃなく大真面目に復刻されても困る。ディズニーの子供向き映画…

ブライトバーン 恐怖の拡散者

★★★ 2019年11月24日(日) MOVIXあまがさき9 どうもなあな出来だと思う。 【以下ネタバレです】 それまで人間として育てられた少年が、何かの契機で覚醒するのだが、そのことに対してのアイデンティティの確執はほとんどない。 スーパーマンの裏返しと…

フリーランサー NY捜査線

★★★★ 2013年5月13日(月) 新世界国際劇場 復讐譚的骨子は便宜に過ぎないと思えるほどにプロット毎の即物的叙事性が秀でている。その暗黒の海の底で獲物を窺うデ・ニーロの邪悪は流石の安定だが、白眉はウィテカー。善悪の境界は一元ではない。作り手はイヤ…

ブリキの太鼓

★★★★ 1981年5月22日(金) 三番街シネマ3 自ら成長を止めた割に傍観するだけのオスカルは或る意味歯痒く、歴史に翻弄される欧州地方小国家のメタファーだとしたら、この爛れた性関係ばかりを追った展開はかなりに悪意に充ちて自虐的。外連に充ちたナチスの…

プライベート・ベンジャミン

★★★ 1981年6月21日(日) 池田中央第二映劇 ゴールディによるゴールディの為の映画であるとしても、パープー娘が1皮剥けてキュートでファニーな伝統的アメリカンステロタイプのアイドルとしての成熟を遂げる。 その試金石であったろうが、ピークでもあった。…

ブラインドスポッティング

★★★★ 2019年9月7日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 ラップっていえば、なんだか韻を踏んだお経か呪文に聞こえて、てんで興味がわくもんでもなかったのだが、この映画で初めてラップとは何かを教えられた気がする。 ラップ勃興期を描いた「ストレイト…

フラッシュ・ゴードン

★★★ 1981年7月12日(日) 大劇名画座 筋肉馬鹿そのものの主人公と廉価なヒロインに汎アメリカーナな低能が迸るのだが、キッチュな自虐を礎にこれはこれでひとつの世界を全うしている。特に森林惑星の造形にはラウレンティスの意地が反映され見るべきものがある…

ブルージーンズメモリー

★★★ 1981年7月11日(土) 伊丹グリーン劇場 海洋ロマンティシズムは遠く過去のものと成り果てた4半世紀遅れのボンクラがたのきんの抜け作キャラとマッチして阿呆臭いなりに成立。ともかくテンポが良く開き直って見ればそれなりには面白い。主演の3人は1作目…

プロメテウス

★★★ 2013年12月21日(土) トビタシネマ スコット初デジタルのロングショットの精緻には随所で息を飲むがそれだけだ。ハードSF的な大風呂敷がある1点に向かって急速に綺麗に収束するのだが物語は閉じてしまった。こんな過去遺産への執着を晒してるようで…

ブルース・ブラザース

★★ 1981年8月31日(月) 新劇会館 いい子ちゃんぶってチョイ悪入れてみました的2重構造のあざとさが全篇を被い乗れない。何よりランディスの演出はカッティングが稚拙で破壊の狂騒を単発のブツ切れで繋ぐだけでは映画的エモーションが生じるわけもない。白痴…

ブルージャスミン

★★★★★ 2014年5月12日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 軽妙洒脱な語り口の彼方から隙間を縫って顔を見せる地獄と言うより妄執と我慾と欺瞞まみれの世界はこう語られるべきという信念さえ感じるアレンここ10年の集大成であり結実。アメリカが直面する…

フレンジー

★★★★★ 2018年12月22日(土) プラネットスタジオプラスワン 良い意味で枯れたのだと思う。 それまで、グレース・ケリーだティッピー・ヘドレンだと尖がったパツキン・クールビューティを常用してた。 それが、今作では主要女性キャストは、お世辞にも美人と…

プロビデンス

★★★ 1980年8月3日(日) SABホール 形而上的な物語ではないのに難解さを感じるのはレネの描法が例により睡魔を招く緩い移動多用な上に「神の摂理」と名指された館への歪な偏向趣味の為。トリッキーな構成だがハッタリを効かすケレンもない。寄せ集めめいた…

フライト・ゲーム

★★★★ 2014年10月1日(水) 梅田ブルク7シアター3 絶対的窮地を救うのは計算外に溢れ出た心の奥底の心情吐露で人を打つのはそういう虚飾のない本質である。鮮やか過ぎる状況の180度の転倒に素直に加担させられる間も無く機内に限定されてきたカメラアイ…

ブリット

★★★ 1980年7月18日(金) 毎日文化ホール 寡黙すぎるマックイーンからは怒りや執念よりもナルシズムが匂い立ってかなわん気がするし、残念ながらカーチェイスは風化してしまっている。しかし、フレイカー撮影の鋭角的なショットの連続はスタティックな怜悧さを…

BLEACH

★★★ 2018年8月11日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 先般、英BBCが選ぶBBCが選ぶ21世紀最高の100本ってのがあって、日本映画で唯一選ばれたのが「千と千尋の神隠し」(第4位)であったのだが、これを快挙とするか、たったの1本しか選ばれん…

フューリー

★★ 1980年10月3日(金) 毎日文化ホール 冒頭の誘拐劇からアーヴィング登場くらいまでがサスペンスフルで期待を抱かせるのだが、物語が2人のサイコキネストを往還し出すと全くの停滞感に見舞われる。そもそも元ネタ自体が超能力という題材に寄りかかりすぎな…

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

★★★★★ 2018年5月12日(土) 梅田ブルク7シアター5 何十年も映画を見続けていると、いわゆる天才子役ってのに食傷気味である。 だから、ブルックリン・キンバリー・プリンスって長ったらしい名前の女の子も、もちろん巧いし可愛い。 のだが、だから?…って…