男の痰壺

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マルタの鷹

★★★★ 2021年2月28日(日) プラネットプラスワン

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長らく脇役専門だったボギーの主演昇格第2作であり脚本家ジョン・ヒューストンの監督昇格第1作ということで、そういうことだから、おそらく低予算だったのだろう。ほとんど室内で展開するし、その室内も探偵事務所とホテルの部屋やロビーくらいです。

それだけに、演出の力量が試されるわけだが、主役の探偵の一貫したキャラクタリゼーションが確立されて揺るぎない。ハードボイルドの始祖というだけのことはあると思いました。

 

定番のファムファタールの登場から始まるのであるが、扮するメアリー・アスターが俺の頭の中ではどっちかというと貞淑イメージなのでピンときません。まあ、当時は私生活のスキャンダルが報じられてたみたいでそういう印象だったんでしょうか。やってることは阿漕だがあんまりそんな風に見えない。

だが、それが為にラスト、ポギーが彼女を切って棄てるハードボイルドが際立つのだから、それで良かったのかもしれない。

 

とにかく、このポギーの探偵、俺たちの稼業は仲間が殺られたら黙ってるわけにゃいかないんだぜとかニヒルに決めてるくせに、その仲間の女房ときっちり浮気してる。思わずスギちゃんが降臨してハードボイルドだろ〜と言ってしまいそう。

その浮気相手の女房に対しても態度は冷徹で、フェミニズムの時代に生きる俺ら男どもにとっては遠く石器時代への憧憬に近いものを覚えるのだ。

まあ、そのうちハードボイルドは女性蔑視とか言い出す奴が現れて「マルタの鷹」も幻の映画になっちまうかもね。

 

垂れ目のファムファタールメアリー・アスターを斬って棄てるハードさがたまらない。鷹の彫像をめぐる彼是はさしたる面白味もないが3人の男たちのバラけたキャラ立ちもグリーンストリートの重みが楔となり際立つ。限定舞台の制約を吹き飛ばす男騒ぎ。(cinemascape)