男の痰壺

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ラストナイト・イン・ソーホー

★★★ 2021年12月12日(日) MOVIXあまがさき1

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監督エドガー・ライトと聞いてなんとなく予感がしたが、やはりこれは、なんだか世間で評判良いけど俺には然程に思えるという意味で鬼門の作品であった。「マリグナント」なんかもそう。コメディとシリアスジャンルを往還するアメリカ映画の前線の担い手としては、アダム・マッケイとかシェーン・ブラックあたりの作品の方が俺には性に合います。

 

【以下ネタバレです】

凡庸とまでは言わないが突出したものもない。最初は二重人格もんかと思ったが幻視もんだった。なら、主人公と60年代の彼女の相似性をシンメトリカルに強調する演出は、内実を伴わない単に観客を欺く為の仕掛けでしかない。

 

エドガー・ライトの頭の中には、60年代のポップスとかファッションとかをオシャレに復刻することにサイコパス展開を絡ませるという表層のテクスチャがあるだけで、本質的な心の闇に迫る気なんてないんだろう。

好きか嫌いかは別としてニコラス・ウィンディング・レフンの「ネオン・デーモン」あたりの彼岸の向こう側に踏み込んでしまうような戦慄はここには微塵もないんです。

 

そっちだとわかった途端に主人公は闇の枠外に置かれるので通常の善意の第3者が襲われるホラーと化する。前半で多重心的な仕掛けをこれでもかと繰り出したのは60年代ポップスとファッションに塗してやってみたかっただけ。もっと堕ちてみせろと思うのだ。(cinemascape)

 

 

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