男の痰壺

映画の感想中心です

THE FIRST SLAM DUNK

★★★★★ 2024年8月15日(木) 大阪ステーションシティシネマ

自慢やないけど「スラムダンク」の「す」の字も知らない男でございます。漫画を読んだこともなけりゃアニメを見たこともない。であるから2年前の公開時にも端から見る気もなかったし感心ナッシングでした。

たまたま、最近この映画について同年代の方が書いてるのを見まして、彼女曰く「日本のアニメ界の歴史を覆すくらいの力量があった」ふーんと思ってた矢先に復活上映とやらで映画館でやってるのを知り、そこまで言うなら見てみよやないかーと何様な高所からの関心領域外。

でも、結果見て良かったです。描かれる試合の熱さ・厚さはケタ違いに予想を超えていた。

 

昔のスポーツ漫画って、個人の技量が如何に並外れてるかを描くことに専心してたわけですが、で勿論スラムダンクにもその要素はあるんだが、球技をしてて1番熱くなるのはチームとしての阿吽の意思疎通が形成されて敵を出し抜き得点に結びついたときだ。スペースに対する認識・意志が共有されないとボール出しても誰もいないところを転がっていくだけだし、スペースを作るのに相手を引きつける為だけに走るのも厭わない。このチームとしての一体感。

ダンクやスリーポイントやドリブルといった個人技だけじゃなく、このゲーム形成のキモを描き切れてるとこが秀でてるんだと思う。普段はお互い嫌い合ってるチームメイトも試合では互いを信頼して託す・託される。決まればガッチリ握手して、そのあと顔を背けてフン!まあ、中高とサッカー部やった俺やからわかるのかもしれませんがね。

 

原作の井上雄彦が監督もやってると聞いて、よしゃーいいのにとか思ってたけど、拘りがビシビシ伝わってくる仕事だった。調べてみると、この方「バカボンド」の人やったんですなあ、今更やけど。「バカボンド」は一時期読んでてコミックスも何冊か待ってた記憶がある。当時、大友克洋に匹敵する画力だと思ってました。そりゃー監督やって当然の方でございます。

 

おそらく風景や観客席など実写を加工しているみたいだが、そういった中に漫画のキャラを置くに際してキャラをリアルに寄せる方途を取っている。それが正解かどうかは微妙。

 

インターハイでの最強高との40分の試合の合間に2年の宮城リョータの生い立ち話と各キャラの挿話が差し挟まれる。流れを寸断しかねない構成だが強度は揺るがなかった。門外漢の俺でさえそうなのだから、ファンにとってはたまらんでしょね。大ヒットも頷ける出来でした。

 

kenironkun.hatenablog.com