★★★★★ 2021年4月19日(月) 大阪ステーションシティシネマ8
7年間コツコツとほぼ独力で作ったストップモーションアニメという謳い文句に殊更の驚嘆はない。好きなことを趣味でやり続ける人はゴマンといるわけで、俺だって20年間映画の感想をネットに書き続けてるが、それは、楽しいからやってるわけで、ビジネスとして成立させるという制約とは無縁だから成立するのだ。
であるから、今後、外部の資本が入って制約下で作り続けるときに、どう折り合いをつけるかが問われていくことになるんでしょう。
世界観は目新しくもない。義体のおかげで肉体が腐り果てても脳だけで生きさらばえる未来も、村上龍の「白いクジラ」で褥瘡まみれの臭酸な未来図として描かれた本腰からみれば緩い。
地下世界でのあれこれにしても、「バイオハザード」の影響が随所に見受けられる。
それでも、これを評価したくなるのは、全体を遍く覆うユーモアと抜けた間合いが気持ち悪さを緩衝する絶妙の兼ね合いだと思う。
なかでも3バカ兄弟には、終始もっていかれた。
コンテの立て方もオーソドックスをモノにしてる手堅さの上に独自のアイデアを重ねる。この監督は実写のジャンルムービーでも相当やれるんじゃなかろうか。いや、むしろそっちが見たいとさえ思わせます。
目新しくもない世界観の中で『バイオハザード』的な意匠もチラつくがコンテの立て方の良さもあり抜けた間合いが全篇貫かれてエグさを緩衝。受け身の主人公の周りで魅力的サブキャラ群が入れ替わりにシーンを牽引していく。3バカ兄弟には終始持っていかれた。(cinemascape)