男の痰壺

映画の感想中心です

ソロモンの偽証 後篇・裁判

★★★★★ 2015年4月17日(金) 梅田ブルグ7シアター7
イメージ 1
屈曲し逸脱し行く展開を力技とも言える藤野の正論で引き戻す確信ぶりにドーパミンが年甲斐もなく溢れ出した。これは91年以降の喪われた20年が経済の停滞のみならず多くの掛け替え無い人心の有り様を磨り減らしたことへの詠嘆だ。自戒せねばと思った。(cinemascape)

誰よりも狙われた男

★★★ 2015年4月4日(土) 新世界国際劇場

鳶に油揚げ浚われたー的乃至はフン!バカな男ネ的感情は0,5秒互いの顔をよぎるが何も無かったかの如く前向く諜報活動の非情。畳み掛けるラストとよろめきつつ消え行くホフマンの余韻が全て。油揚げの心情なぞ斟酌しない世界が突き詰められたかは疑問。(cinemascape)

北陸代理戦争

★★★ 1980年9月27日(土)  毎日ホール
北陸代理戦争 - Movies on Google Play
やたらテンポが良く飽きはしないものの、北陸の田舎やくざの寂寥感がうら寂しさを横溢させ、ルーチーンが退廃へと突き抜けることもないままジャンルの末期感が漂う。山守が分化したような西村・ハナ2枚が定型演技で緊張感を阻害するのも弱かった。(cinemascape)

トム・ホーン

★★ 1980年12月9日(火)  伊丹ローズ劇場
イメージ 1
ズームの使い方がてんでなってないウィヤード演出の凡庸さが、ただでさえ暗く侘びしく見せ場に乏しい展開を倍加させていく。何より、こういう日暮れの物語はマックイーンには全然似合わない。残るのは花道を飾れなかった遣り切れなさだけ。(cinemascape)

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

★★★★★ 2018年5月12日(土) 梅田ブルク7シアター5

何十年も映画を見続けていると、いわゆる天才子役ってのに食傷気味である。
だから、ブルックリン・キンバリー・プリンスって長ったらしい名前の女の子も、もちろん巧いし可愛い。
のだが、だから?…ってな感じなのだ。
 
この映画の肝は、母親役ブリア・ヴィネイト。
リトアニア出身、米国在住、21歳。まったくの新人。
それと、ウィレム・デフォーである。
 
2人の演った役は、表面上、おためごかしの善意とは無縁。
だが、心根では、自分の娘を、或いはシステムから落ちこぼれた弱者を激しく思いやる。
デフォーが巧いのは当然だが、ヴィネイトの怠惰ではすっぱな風情だが、間違いなく娘を愛している。
そういう確信に近い説得性を導きだされて答えているのが驚きだ。
 
これは、社会システムの暴走した歪が多くの弱者を産み出し蹂躙する。
そういう問題点を明らかにできた点に於いて、昨年の「わたしは、ダニエル・ブレイク」に拮抗する。
 
ごく普通のテーマパークの風景が、これほどの衝撃を産み出す。
それほどまでに我々は、この置き去りにされた世界に没入していたということだ。
 
錬金システムの暴走が産み出した格差をどうこう言う意図など映画は更々ない。怠惰だが子供どもへの愛はある。功利主義に追従するが弱者への思いやりは忘れてない。そういう人間の感情起源への希望。だがメルヘンチックな飛翔は怜悧な現実の前で奈落に落ちる。(cinemascape)

もっともあぶない刑事

★★ 2018年5月19日(土) 新世界東映
イメージ 1
「あぶない刑事」って俺には鬼門のように思えてTVシリーズも全く見てなかった。
今回、別の映画の併映でみる羽目になったが、案の定まったくダメっす。
バディもんの刑事もんっていっぱいあると思うが、なんでこの2人ってこれほどまでにつまらないんだ?
トミーとマツ」の方が全然おもろかったような…。
一説では「あぶない刑事」シリーズでは本作が最高作との説も…マジか?。
 
80年代のバブルの泡沫にどっぷり浸かったシリーズだったと思う。
多分、それが俺にとっての鬼門たる由縁だろう。
 
『あぶ刑事』初見だがバブリッシュ白痴感が横溢し俺にとって紛れもない鬼門。バディ刑事部門で、こんなド素人芸が成立した時代の残滓だ。「トミー&マツ」の軽味とフットワークさえ切なく恋しい。どうでもいい筋書きではあるが真梨邑ケイだけ一応努力賞。(cinemascape)

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

★★★★ 2015年4月12日(月) MOVIXあまがさき11
イメージ 1
娘や共演者や元妻や批評家など多くの他者とのベルイマン的確執が精巧な長回しに強いられたハイテンションアクトで叩き付けられる快感は大気圏で燃え尽きる物体の終末感と相乗され来るべきカタストロフへと弥増すのだが結局終盤は理に落ち世界は収縮した。(cinemascape)