男の痰壺

映画の感想中心です

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

寒椿

★★★★ 2013年11月16日(土) トビタ東映 大映の伝統を汲む美術の内藤昭が今回効いた。陽暉楼のセット美術など大したもので、愚直なだけの降旗と大味な体育会系木村ペアも気合乗りが覗える。南野の乳出しもコマーシャルな意味付けに留まらず流転の悲哀を演出す…

エレファント・マン

★★★★ 1981年7月16日(木) 南街文化 エレファントマンの呵責無き造形や怪奇趣味満載な演出の為に名優達の演じる高潔な人物群が感情移入の埒外に置かれた。リンチの悪意在る設計により観客は試され続ける。俺ならどうするか…と。美術も白黒撮影も極みと言ってい…

遠雷

★★★★ 2019年9月7日(土) シネヌーヴォ 都市近郊でトマト栽培を生業とする若者の話なのだが、このビニールハウス内での作業がドキュメンタルに突き詰めて描かれるわけではないのが物足りない。 であるから、本気かどうかもわからない農業への思いってのが、…

ルームメイト

★★★ 2013年11月12日(火) 梅田ブルク7シアター7 生活臭ゼロの浮世ばなれ感が80年代角川映画を彷彿とさせ悪くなく、さすれば、これは当代のミューズを擁した正調アイドル映画に見えてくる。言うたら緩くて二番煎じ的なのだが、それでも終局の病院シーン…

グッバイガール

★★★ 1979年1月28日(日) 伊丹グリーン劇場 1981年2月23日(月) 梅田ロキシー メイスンとカミングス母娘にまつわる話は素晴らしいし愛おしいとも思える。両者の演技はキュートそのものだ。だが一方でドレイファスの奇矯なキャラクターが何とも鬱陶しい。作り込…

SHADOW 影武者

★★★★ 2019年9月6日(金) 大阪ステーションシティシネマ10 俺は、チャン・イーモウの熱心な鑑賞者ではない。 のだが、初期のころの「菊豆」、「紅夢」を見て、このおっさん形式主義に拘泥して早晩行き詰るわと思っていたら、「あの子を探して」でいきなり…

十兵衛暗殺剣

★★★ 2013年11月16日(土) トビタ東映 十兵衛は序盤けっこうリアルに弱腰だし、実践経験無き剣が道場剣法と謗られるのも正論。そういう生煮え展開故に終盤の逆転にカタルシスは無い。闇夜の大友の8人斬りの非情。湖賊女頭目の懊悩とエロティシズム。見どこ…

スローなブギにしてくれ

★★ 1981年7月6日(月) 梅田コマシルバー 男と女と女と男とがくっついたり離れたりを何だかはっきりしないままダラダラ続けてしんどいだけ。アメ車や米軍ハウスといった文化に余り関心無いらしい藤田敏八の苦し紛れのモラトリアム中年への偏向が益々映画を訳分…

ライオン・キング

★★★ 2019年9月2日(月) 大阪ステーションシティシネマ2 アニメ版は未見です。 であるから、どんな話なのか知らずに見たのだが、手塚治虫の「ジャングル大帝」との類似がとやかく言われたことは何となく覚えている。 しかし、これは、やっぱ違うものだと思…

ランナウェイ 逃亡者

★★★★ 2013年10月27日(日) MOVIXあまがさき1 所詮はハリウッド流に閉じる展開なのだが、それでも棄てた者と棄てざる者の過ごした膨大な年月の質量が否応なく滲み出る。そういった時代を同時代として生きた者達が共振するリアリティ。敢えて前面に出た…

歌麿 夢と知りせば

★★★ 1981年9月13日(日) 新世界東宝敷島 曲者揃いの役者の面構えの選択に於ける一貫した趣味性も凝りまくりの照明と撮影も実相寺演出は完全な統一感を保っているのだが、エロスの追求という明確な主題を提示してしまっては底の浅さが露見する。爛熟文化の光と…

劇場版 おっさんずラブ LOVE or DEAD

★★★ 2019年9月1日(日) MOVIXあまがさき2 はっきり言って1000%見る気がない映画だった。 TVドラマも見ていない。 女房が又ぞろ「天気の子」が見たいとか言い出して、ゴネてたら、この映画でもいいということでやむなく行った次第です。 けっこ…

俺達に墓はない

たち★★★ 2013年11月16日(土) トビタ東映 『遊戯』シリーズ系譜上のパターン演技を踏襲する優作のアドリブ的ヘタウマ演技のために、べらぼうなテキトー設定も釈然とさせる映画王国のマジックなのだが、どうも、その王国から志賀勝が浮いている。真面目すぎ…

ある結婚の風景

★★★ 1981年7月9日(木) 三番街シネマ2 所詮ダイジェストだと思うが、巧緻を極めた技巧には興味を失ったベルイマンが剥き出しで生な男と女の葛藤のみをひたすらに描くようになったのは懺悔でも自己賛でもなく歳を経て現れた冷めた人間愛とも言うべきものらし…