★★★★ 2026年4月21日(火) テアトル梅田1

長久允のオリジナルシナリオらしいが、こういう攻めた題材を取り上げる気概は良。「トー横キッズを取り上げたい」が企画の発端であったにしても、展開のベースになるモチーフは三島の「金閣寺」乃至はそれを映画化した市川の「炎上」に拠ると思われる。主人公を吃音としたのはもとより、強固な反宗教性、権力者の俗物性、剥がれる理想郷の化けの皮、火炎による浄化なんかが通底するからだ。
それが2世信者の境遇の理不尽と、トー横でさえ天国に思える不幸と、ドラッグと売春を通じて搾取する大人といった現在形のリアルを照らし出す。
長久の描法は徒に陰惨を強調しない。ともすればシニカルで冷笑的な諦念に充ちている。しかし、その底には怒りがあるのは間違いない。
森七菜の単独初主演だそうだが、この役よー受けたな、と思います。彼女は20代女優の中で胆力を感じさせる点で清原果耶と双璧だと思ってるのだが、受け身一辺倒のこの役はその胆力を前面に押し出すことは出来ない。代わりに深く沈降した情念として静かな炎を灯しているようだ。難易度の高い役をクリアしたと思う。