男の痰壺

映画の感想中心です

★★★★  2026年5月18日(月) シネヌーヴォ

山奥の温泉宿に長逗留してる人たち。その中で斎藤達雄扮する「先生」なる男が一際我を通す。団体客が来るたびに騒がしさにイラついて会う人毎から都度「なかなか賑やかですなぁ」「景気がいいですなぁ」「派手ですなぁ」と言われて更にイラつく。その程度しか思わんのか?アホってなもんで、この3段繰り返しのスベったギャグめいたやり取りがシラケる。斎藤達雄鬱陶しいの思いは高まるが、後の笠智衆の怪我をめぐるあれこれに於ける彼の「情緒的イリュージョン」という言葉で俄かに反転する。世の遍き男たちの持つ細やかな願望。それを言うに事欠いて「情緒的イリュージョン」やと。プッと吹き出さざるを得ません。いやー素ん晴らしい。

 

温泉地に於ける東京から来た訳あり女と逗留客との仄かなときめきを描いて、3年前の「按摩と女」と通底するが、こちらは井伏鱒二の原作があり「按摩と女」は清水のオリジナル。ってことは「按摩」が井伏原作からインスパイアされたのかもしれない。いやーだからどうしたって?どーもしませんけど、何か。

 

篇中、怪我してる笠の河渡りを田中が負ぶって助けるシーンがあるのだが、瘦せてるとはいえ長身の男性を小柄な田中が負ぶって細い木橋を渡る。ごまかし無しのガチでやってるみたいで田中が気の毒になった。清水の専制的演出の片鱗が窺える。

 

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