男の痰壺

映画の感想中心です

2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密

★★★ 2015年3月18日(水) TOHOシネマズ梅田7 エニグマ解読の軌跡は幾何学図形やレトロCPの形象の珍奇さで誤魔化され結局決め手はそんなことかいという落胆。文系男子が理系題材を調理したってこの程度かと思う。終盤、大局的非情と性嗜好の露見が錯綜する…

おしゃれ泥棒

★★★ 1980年8月1日(金) 毎日文化ホール 2001年3月2日(月) 動物園前シネフェスタ2 ピークアウトした妖精とマッチョレスな性格俳優では御伽噺は成立しない。ワイラーは鍵やブーメランで冗長なネバリを見せるがベッケルやメルヴィルになろう筈もなく、全篇緩み…

探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点

★★★★ 2018年5月19日(土) 新世界東映 意外なほどに揺らがない信念が貫かれている。 橋本一の演出もダサ図太くていいのだが、やはり古沢脚本がダサ真っ当で芯があるのだ。 これは明らかに「砂の器」へのオマージュなのだろう。 それを、チャカさないのが良い…

イン・トゥ・ザ・ウッズ

★★★★★ 2015年4月4日(土) 梅田ブルグ7シアター5 可愛くも綺麗でもない御伽噺の人物挿話がパロディックに連関する前半が絶妙の端折り具合で、又王道ミュージカルな楽曲の冴えが70年代的芳香なのだが、一転、テロルの連鎖に晒された今に如何に向き合うか…

脱走山脈

★★★★ 1980年10月11日(土) 毎日文化ホール 平和な時代に象連れてアルプス歩いたってどってこと無い。大戦下に敵味方と美女と象の4人と1匹がのどかな山越えをするから刹那的な開放感が極まる。レイの音楽も寄与した。そして、美味しい所を持っていくマイケル…

私はあなたのニグロではない

★★★★ 2018年5月19日(土) テアトル梅田1 アメリカに於ける黒人差別史において、殊更に新たな括目されるべき何かが呈示された訳ではない。 冒頭、原作者であるジェームズ・ボールドウィンが言われたこと。 「何をそんなに悲観的になる?随分と良くなったじ…

陥し穴と振り子

★★★ 2015年3月28日(土) シネヌーヴォ 設定に関して驚きは無いものの、拷問機械の子供じみた悪魔チックデザインの御愛嬌を舐めてるうち執拗に反復運動を繰り返し迫り来るそれが平衡感覚を麻痺させる。平常心は次第に蝕まれ判断力は夢幻の彼方に葬られる。そ…

地震列島

★★ 1980年9月3日(水) 伊丹ローズ劇場 米『大地震』の三角関係に対抗する為、四角関係にしたのかは知らないが勝野も永島も唐変木で色気が無く、かと言って『日本沈没』の男達のような刹那な狂気もない。救い難くダルい。特撮も完全な使い廻し。しばたはつみの…

第二の母

★★★ 2018年5月19日(土) プラネットスタジオプラスワン 1936年制作は、2・26事件の年。 簡易保険局と日活の提携作品で国策映画とされているが、そういうプロパガンダ色はうかがえない。 姉・弟物語であって、常道パターンである。 親のいないらしい…

誰よりも狙われた男

★★★ 2015年4月4日(土) 新世界国際劇場 鳶に油揚げ浚われたー的乃至はフン!バカな男ネ的感情は0,5秒互いの顔をよぎるが何も無かったかの如く前向く諜報活動の非情。畳み掛けるラストとよろめきつつ消え行くホフマンの余韻が全て。油揚げの心情なぞ斟酌し…

北陸代理戦争

★★★ 1980年9月27日(土) 毎日ホール やたらテンポが良く飽きはしないものの、北陸の田舎やくざの寂寥感がうら寂しさを横溢させ、ルーチーンが退廃へと突き抜けることもないままジャンルの末期感が漂う。山守が分化したような西村・ハナ2枚が定型演技で緊張感…

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

★★★★★ 2018年5月12日(土) 梅田ブルク7シアター5 何十年も映画を見続けていると、いわゆる天才子役ってのに食傷気味である。 だから、ブルックリン・キンバリー・プリンスって長ったらしい名前の女の子も、もちろん巧いし可愛い。 のだが、だから?…って…

ソロモンの偽証 後篇・裁判

★★★★★ 2015年4月17日(金) 梅田ブルグ7シアター7 屈曲し逸脱し行く展開を力技とも言える藤野の正論で引き戻す確信ぶりにドーパミンが年甲斐もなく溢れ出した。これは91年以降の喪われた20年が経済の停滞のみならず多くの掛け替え無い人心の有り様を磨…

トム・ホーン

★★ 1980年12月9日(火) 伊丹ローズ劇場 ズームの使い方がてんでなってないウィヤード演出の凡庸さが、ただでさえ暗く侘びしく見せ場に乏しい展開を倍加させていく。何より、こういう日暮れの物語はマックイーンには全然似合わない。残るのは花道を飾れなかっ…

もっともあぶない刑事

★★ 2018年5月19日(土) 新世界東映 「あぶない刑事」って俺には鬼門のように思えてTVシリーズも全く見てなかった。 今回、別の映画の併映でみる羽目になったが、案の定まったくダメっす。 バディもんの刑事もんっていっぱいあると思うが、なんでこの2人って…

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

★★★★ 2015年4月12日(月) MOVIXあまがさき11 娘や共演者や元妻や批評家など多くの他者とのベルイマン的確執が精巧な長回しに強いられたハイテンションアクトで叩き付けられる快感は大気圏で燃え尽きる物体の終末感と相乗され来るべきカタストロフへと弥増…

震える舌

★★★ 1980年11月24日(月) 伊丹グリーン劇場 この題材に対して、このコンセプトを発想したという点で敬意は表する。闘病譚を通した家族愛への遡及が常道であろうに、心理描写を多用したホラーのように撮るというのは、ちょっと思いつくものではない。でも、惜…

団栗と椎の實

★★★ 2018年5月19日(土) プラネットスタジオプラスワン 名匠、清水宏の短篇であります。 団栗とは田舎の腕白な子供。 椎の實とは都会のひ弱な子供のこと。 どういう事情か知りませんが1人の都会の子供が田舎のおじさんに貰われっ子。 当時は子供を1人あげ…

ヒデキの死

西城秀樹の死は、曰く言い難い衝撃をボディブローのように俺に与えている。 もちろん同時代人として、10代のころTVで慣れ親しんだ人という意味も大きい。 しかし、脳梗塞からの復帰ってのが、ある意味で俺にとってのマイルストーンだったからだ。 多くの有…

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札

★★★ 2015年4月4日(土) 新世界国際劇場 嫁の覇権物語として反対勢力の定番・姑の不在によるドラマ力の弱さやヒッチ・カラス・オナシスが顔見せ的役回りしか担わない消化不良やドゴールとの確執に収斂させる伏線の欠如など多くの緩さを呑んで尚好ましい作品…

大いなる幻影

★★★ 1979年3月11日(日) SABホール 敵味方が同じ貴族であることをもって、お互いを理解し合うというのが如何にも太平楽であり、あんまり琴線には響かなかった。ただ、脱走後に庶民であるギャバンが一時の平穏を得る山間部の描写は輝いている。(cinemascape)…

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル

★★★★ 2018年5月12日(土) 梅田ブルク7シアター6 なんだか、本当に描くべき多くのことが欠落した映画にも見える。 のだが、演出の押し出しの良さがあって勢いで寄り切られた感じだ。 ワイドサイズのスクリーンにミディアムで正対された対象は一見、自信は…

地下室の怪

★★★ 2015年3月28日(土) シネヌーヴォ 泰山鳴動ポテト1個ってな感じで、所詮他人の夢話なんてそんなもんだと思う。前段の爺さん婆さんの悪魔チック所業と後段の漫画チックな怪異は地続きな感じがせず離反しまくりで見事にバラバラ。だが、意外に肝の据った…

男はつらいよ 噂の寅次郎

★★ 1978年12月28日(木) ダイニチ伊丹 シリーズには間違いなくバイオリズムがあって、不調期に奇を衒ったものを連発して みたものの益々病状が悪化し、ヤバイと思ってオーソドックスに回帰したもののルー ティーンワークにしかならなかったという冴えない作品…

心と体と

★★★★ 2018年5月12日(土) シネリーブル梅田2 中学生が夢想しそうな物語が、本当にそういう夢想の帰結に向かう。 なんじゃそりゃ…と一瞬思った。 だって、こんなん男にとって(女にとっても?)美味しすぎる話やんか。 最強の共通関心事で他者介入の余地な…

マジック・イン・ムーンライト

★★★★★ 2015年4月17日(金) MOVIXあまがさき9 最早新しいことは何一つ無いのだがアレンシニカルサイドを抽出したかのようなファースが目玉お化けエマの眼力の下の純情に融解される。そのキャラ強度こそ肝。天文台の雨宿りはラブコメ常套でも品位と節度が好…

エデンの東

★★★ 1979年4月6日(金) ビック映劇 ディーンの演技が定型を破る破壊力を持ってたことは想像に難くないが描かれる青年の鬱屈と孤独は甘えん坊のそれにしか見えないので共感できない。画面造形もシネスコを意識した仰角の何ショットかは鋭いが全体には凡庸。(ci…

孤狼の血

★★★★ 2018年5月13日(日) MOVIXあまがさき5 「仁義なき戦い」への言及が見られたので予断があった。 のだが、所詮これは、やっぱり警察小説なのであった。 暴力団同士の抗争はあるが、ど真ん中にそれがあるわけではない。 であるから、終盤までは物足…

寄生獣 完結篇

★★★ 2015年5月10日(日) MOVIXあまがさき7 3段重ねのクライマックスが用意されるのだが、尺関係で概ね駆け足的描写不足なので何がしかの訴求力は深津絡みにしか無い。寧ろ、そこだけがこの完結編の美点かもしれない。前編にあったアクション編集の醍醐味…

わるいやつら

★★ 1980年11月24日(月) 伊丹グリーン劇場 料亭の女将や材木問屋の若後家という60年代的キャラは同時代性が画面を横溢してこそのもので80年代アイテムとミスマッチで嘘臭い。いづれにせよ女優たちのアクの強さこそが勝負の作で、こうも面子が薄味では時代…