★★★★★ 2024年8月5日(月) 大阪ステーションシティシネマ12
ヤン・テ・ボンの「ツイスター」は中身がスカスカだとあんまり評判良くなかった覚えがあるが俺は好きだった。「スピード」なんかより絶対的なフォルムの統一感に於いて上におくことも吝かでなかったのである。
リー・アイザック・チョンが「ミナリ」を撮ったあと米国版実写「君の名は。」の監督として名が上がったとき、ドラマ部分はいいとしてビッグバジェットのカタストロフを熟せるのかと思ったけど、今回必要充分の仕事をしてるし、なんと言っても男女の恋愛発生の機微を丁寧に押さえて良い仕事をしたと思う。
正直、竜巻の何某に目新しいトピックもないし、展開も前作と殆ど同じです。ただ、竜巻と対峙するストームチェイサーの構図に特化した前作に比して、今回はその竜巻によって被害を受ける町と人々を出来得ることは限られているにせよ助けなくてはの意志が明確に打ち出されている。映画のフォルムの絶対性が損なわれ凡化しかねない選択だが普遍化の強度が加わった。この20数年の間に世界は多くの天災に見舞われ、そこで懸命に救助や手助けを行う人々の存在がフィーチャーされてきたわけで、その時代性を意識し取り込んだシュアな改変だと思います。
デイジー・エドガー=ジョーンズ、初見ですがええなー、今年見たなかでは「猿の惑星 キングダム」のフレイヤ・アーランとともに今後見ていきたい人です。
男と女の生きる縁が一致し進むか退くかの判断も共振する、となれば恋に落ちるは必然で男としては押して押しまくるしかないという幸福の定石。竜巻描写は必要十分に留め災厄に見舞われる町の救済に重きを置くのも時代に則してる。ヒロインデイジーも十全。(cinemascape)