男の痰壺

映画の感想中心です

8年越しの花嫁

★★★ 2018年1月11日(木) 大阪ステーションシティシネマ
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こういう難病ものってのが好きではないし、実話ベースってのも気が重い。
よっぽど好きな女優でも出てればと思うが、土屋太鳳にはあんまり食指がわかないのだ。
なんで見に行ったのかようわからんのだが…。
 
最近、歳のせいか涙腺がゆるいので、泣くかと思ったが泣けない。
【以下ネタバレ】
それは、一見ハッピーな終焉を迎えるこの物語のどこかに小骨のようにひっかかる何かがあるからだ。
 
要は8年待って、彼女が全部思い出したわけじゃないからよ。
結局、彼女は思い出さないのだ。
スマホの動画の中の、記憶にない彼とのあれやこれやを見て無理やりに納得しただけだ。
まあ、それでも又、一から2人の歴史を刻んでいけばいいのだとは思うが…。
すっきりせんです。
 
しかし、これはモデルとなった実在人物がいるんだから、あんまり言ってはいけませんなあ…。
実在に彼の心中を思えば、軽々しく言う筋合いでもありません。
 
親世代のキャスティングが良い。
特に薬師丸ひろ子の母親役ってのは鉄板だと思う。
いったん、別れろと言って強引に突き放した彼氏が、それでも翌日やむにやまれず病室にやって来る。
それを見て嗚咽する彼女。
抑えきれぬ感情がダダ漏れする。
 
「奇跡の実話」って副題が宣材にはあるが、実際の画面上にはない。
何が真のタイトルなのかって考えるとき、こういう、最近の傾向には疑問を覚える。
 
涙腺が緩んだのは放逐した男が翌日も病室にやって来たときの薬師丸の演技。感情を抑えきれず嗚咽する母に胸が痛む。小骨が喉に引っ掛かったような帰結なのだが、実話ならしゃあないというヒネた思いは太鳳の満面の笑顔で済し崩しに納得させられる。(cinemascape)