男の痰壺

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浜の朝日の嘘つきどもと

★★★ 2021年10月7日(木) テアトル梅田2

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土台、無理筋やろ思った。

 

冒頭、福島のひなびた町に女性がやって来る。

閉館予定の映画館を訪れ館主に経営を立て直しに来たと言う。名前を聞かれ咄嗟に目に止まった券売所を見てモギリコ(茂木莉子)。「用心棒」三十郎かよと安易さに萎える。

 

女性は何者で何故その映画館を立て直そうとしてるのか。まあ、そういう謎が興味を一応は牽引する。

現在と、過去挿話がカットバックされながら映画は進行します。

で、結論から言うと動機付けが弱い。

【以下ネタバレです】

映画が好きとか、恩師が何度か行っていた映画館だからとかあるんですが、何がなんでもその映画館を再建・維持させたいというパッションを喚起するには弱いんですわ。

恩師の死という必殺技を繰り出しても尚です。

 

その映画館を買い取って新たに温泉ランドにしたいという開発業者が出てくるんですが、まあ物語的には悪役だけど、任侠映画地上げ屋みたいなステレオタイプにする愚はさすがにタナダユキはしない。リハビリ施設&温泉ランドの方が雇用も産むし福祉にも役立つ。その現実認識をラストでは高畑充希にも述懐させる。

正しい認識かもしれないが物語的にはスッキリしない。

 

とここまで書いてきて、ネットの情報から本作がテレビドラマのスピンオフ企画もんだと知りました。タイトルの違和感やラストの竹原ピストルの半端さは、ドラマの前日譚だったってことで解消されるんでしょう。

が、そんなん知ってたら見んかったわ。

 

個々のエピソードは善人ばっかりが中庸に親和して程よく気持ちいい。ほんとに辛いことやほんとに苦しいことは考えても仕方ないとばかりに。

 

行く道・拠り所をなくした自分に行き場を指南してくれた恩師の為と言うほどには当該映画館との関係が希薄で無理筋。土台好事家の溜り場と本気の地域振興が均衡する訳なく生煮えの映画愛とか語るに落ちる。タナダも本気ではなく心地良い語りに徹している。(cinemascape)

 

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