男の痰壺

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上海特急

★★★ 2025年5月26日(月) プラネットプラス1

「モロッコ」や「間諜X27」とか見てれば、この映画がディートリッヒにメロメロなスタンバーグ映画の到達した結晶として見れたのかもしれませんが、あいにく未見の俺には勝手にせーやの大してオモロくもない映画でしかなかったです。

 

1930年代、国共内戦下の中国、北京発上海行き特急の車内での一夜の顛末。偶然乗り合わせたイギリス軍人クライヴ・ブルックと上海リリーことディートリッヒは嘗ていい仲だったこともあり焼けぼっくいに火がつきそうだが、互いの矜持もありなかなかそうならない。

一方、列車には中国人娼婦アンナ・メイ・ウォンと得体の知れないアーサー・オーランドが乗り合わせ、この4人が物語を起動させてゆく。

とまあ、改めて梗概を書いてると何だか面白そうにも思えてくるんですけど、正直体調が悪く半分くらい寝てました。告白しちゃいます。

 

ディートリッヒの矜持はブルックを救う為にオーランドの女になることを選択させる。アンナ・メイの矜持は因縁のあるオーランドを殺させる。ブルックの矜持は救ってくれたディートリッヒに恋心を隠して通り一遍の感謝だけで済ませようとする。とまあ、男と女の生き様の矜持が錯綜するクライマックスであります。特に逡巡するディートリッヒを正面から捉えたリー・ガームスの陰影あるショットは篇中の白眉だろう。

 

それでも最後は「やっぱ好っきゃねーん」とブルック、ディートリッヒの元に戻ってメデタシメデタシとなる。

 

焼け木杭に火がつきそでつかないのが女の矜持ゆえだとすれば、身を賭して男を護るのも又矜持。アンナ・メイの矜持が分け入り錯綜するクライマックス。逡巡するディートリッヒを正面から捉えたリー・ガームスの陰影あるショットは篇中の白眉だ。

 

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