男の痰壺

映画の感想中心です

We Live in Time この時を生きて

★★★ 2025年6月12日(木) TOHOシネマズ梅田5

フローレンス・ピューの熱演ばっかが取り上げられてる映画ですけど、その熱演にどこか醒めた感情しか湧かない俺。納得できる熱演の根拠に欠けると言うか、やたら盛りすぎで、新進オーナーシェフであることはともかく、後半に唐突に出てくる子どものとき将来を嘱望されたアイススケーターだった、ってのは要りますかね。

 

癌で余命幾許もないことを知る。残された時間を抗癌剤治療で苦しみながら多少延ばすよりも、シャバにいて最後の充実した時間にしたい。と、納得できる考えだし、そういう題材の作品もたくさんあったような気がする。

しかし、本作は①出会い②出産③現在という3つの時制をシャッフルして語られるし、それぞれの時制内でもトピックは時間軸に沿っていないみたい。で、尚且つトピックは盛りだくさん。

であるから、先述の残された時間を充実させて終わりたい、という切実な思いは他のエピソードと等位にしかならない。そこが何となく違う気がする。配分も叙法も違うんじゃなかろか。

 

出産シーンの過剰、剃髪シーンの似非リアル、といったあざとさをギリの線で回避するが際どいと思う。ただ、料理コンクールからスケートリンクに至るたたみ込みは良かった。人生からの退場をあのように描く。アイススケート牽強付会も、これならしゃーないかと。

まあ、色々言いましたけど、ピュー頑張ったネと、そういうことで。

 

現在形の切実な思いが2つの過去時制をシャッフルすることで焦点がボケる。死ぬ時に思う人生のトピックは華やかさや苛烈さとは縁がなくてもパーソナルな何かだと思うから。総体的に盛り過ぎでピュー頑張り過ぎ。ただ、ラストは終焉を表象して余韻が深い。

 

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