★★★ 2025年6月12日(木) 大阪ステーションシティシネマ11

「学校の怪談」に準えてる評を読んで関心を持ち、監督が中村義洋なのを知って見ようと思った。しかし、「残穢 住んではいけない部屋」で調子を落とした前歴が偶々との杞憂を吹き飛ばすジャンル不適合を曝け出す結果と相なった次第であります。
怪異の表現が「残穢」でもそうだったが、本作でも凡庸であり、現在も山ほど作られるJホラー群も大した高みに達せないなかで、一際10年周回遅れの体たらくを晒している。
「学校の怪談」が小学校というキッズムービーの仮構を纏える分、裏技が効く体裁であったのに比べて、本作は女子高。まさにホラージャンルのベーシックグラウンドとでも言うべき敷居の高さである。
物語は、その女子高が嘗ての災厄により地縛霊の一大集積場と化してることが前半を牽引するのだが、途中からその災厄とは無縁のパーソナルな霊の話に置き換えられてしまう。地縛霊とパーソナル守護霊の間に何の因果もなければ対立要件もない。どーでもいいと思って見てたけど、こんなブツ切りの並置では本物の感動には至りませんわな。
「シックス・センス」他諸々の映画でさんざ試みられた「世界の見え方の転倒」ですけど、どうしたって後出しジャンケンの今更感は拭えません。
中村義洋の怪異表現のセンス無さが再び露呈される。展開の流れがソーシャル地縛霊からパーソナル守護霊の話にすり替わるが両者に間に何の因果もなければ対立要件もない。単なるブツ切り並置。してやったりの世界の見え方転倒も10番煎じの感は免れない。