★★★★ 2025年3月10日(月) 大阪ステーションシティシネマ7

ソダーバーグのホラー?と食い合わせを懸念するんですが、ホラーとしての変異のエッジは全く効いてません。せいぜい本とかがフワフワ飛んで場所を変えたりする程度。恐怖の事象を描くのではなく、「存在」と人との関わりを描くことが主題目だからです。
【以下ネタバレです】
1シチュエーション1カットの主観カメラ。それは「存在」=「霊魂」の視線であるらしい。ソダーバーグ自身がカメラを持って「わしゃー霊魂やぞー」と霊になりきり家の中をグルグルあっち行ったりこっち来たりしたのだそう(?)と勝手に想像するんですが、それくらいカメラの動きにドローンとかではない人の律動を感じます。何かの気配を感じて映ってる人がカメラ=霊魂=ソダーバーグをじーっと見つめたりする。その仮構とリアルが混濁した間合いはかなりドギマギする。
話としては、霊の話に家族間の淡い確執がからみ、更にシリアルキラーものとしての展開がある。どれも言うほどの事はない。
エンドクレジットで◯◯に捧げる、と何人かの名前が挙げられるけど、これはそれらの人々に対するソダーバーグなりの思いの表し方であり、そこに何ひとつ他意はないのだろう。その純粋な心持ちには打たれるものがある。
✳︎撮影者としてピーター・.アンドリュースの名がクレジットされているが、ソダーバーグの変名です。
1シチュエーション1カットの手持ち主観カメラ=霊魂の視線=ソダーバーグの思いの律動であり、その仮構とリアルが混濁した間合いにはかなりドギマギする。変異のエフェクトは確信的にショボいのだが、その手作り感こそが逝った人たちの存在への敬意。