男の痰壺

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水面のあかり

★★★ 2017年10月1日(日) シネヌーヴォ
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最初にお断りしておくが、この映画の監督、渡辺シンは知人です。
なので、出来る限り身贔屓はしないようにと思いますが…何ぬかしとんじゃと思ったら、そういうこってご容赦を。
 
まず、タイトル、ポスター等の宣材、シノプシス含めパブルシティ面で、俺は「なんとかの科学」の映画と間違われないか危惧する。
少し前に街中に張り出されて見かけた「天使になんとかファイン」と同じ種類の映画に見える。
特に、退行催眠で桃山時代の少女の生まれ変わり云々…ってのが、いかにも怪しい。
 
監督自身が仰ってるが、これは、先の東北の大震災を間近で見聞きしてインスパイアされた映画だ。
彼は関西人だから、そこに当然、阪神大震災の記憶も重ねざるを得ない。
数多の拭い難い喪失感を抱えながら生きていかねばならない多くの人へ寄せる共感こそが主題なのだ。
 
父親を幼いころ震災で亡くした女性記者と妻と娘を亡くした男性の思いがシンクロする。
この男性を演じた津田寛治が凄く良い。
正直、良い人も演れるんや津田寛治…と驚いた。
この2人のシンクロに桃山時代が絡むが、加藤千果ちゃん演じる女性記者にしか関与しない。
津田は置き去りなので、物語構図として三角形は成立しないのだ。
2人の出会う方便として桃山時代があるようにさえ思える。
なら、いっそ要らんかんたんちゃうと思えてしまうのだ。
そこが、どうにも弱いし、バジェット的にも無理がある。
 
でも、そういう点を除いても、あえて良い映画だと言いたい。
チャラいところは一切ない。
限りなく真摯な思いだけが奥ゆかしく流れていく。
 
まるで、外国人が撮った日本映画のような日常からの隔絶感が全篇を支配する。
みたいにね…って褒めすぎか。