男の痰壺

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ディック・ロングはなぜ死んだのか?

★★★★ 2020年8月9日(月) シネリーブル梅田2

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ディック・ロングは人の名前であると同時にデカチ◯野郎の隠語だそうな。日本で言ったら一物長太郎みたいな感じでしょうか。

 

地方都市での犯罪(?)にからんで、登場人物たちのドジの連鎖が描かれる。コーエン兄弟の映画に近いテイストです。

しかし、この映画は、文字通り「なぜ死んだのか」の1点に全ては集約されるだけという、言わば単細胞なバカ話にすぎない。それを十二分に弁えつつ、そ知らぬ素振りで曰くありげなギミックをこらしまくる。

ちょっと変とか異常なことをそういう風に描かない。ついたウソはつき通す。きったシラはきり通す。そんな映画だ。

 

事件であるから警察が捜査を始めるが、警察署長は杖ついたバーさんであるし、捜査担当はまん丸に肥えた婦警。変かなあとも思うし、そういうのもあるかもの微妙な均衡。

 

顛末が一段落したあとの、新たに続いていく日常の中で、つき通されたウソやきり通されたシラは、改めて我々が囚われる価値観を優しく戒めているように思えてくる。キーパーソンは婦警だった。

 

お題1つの下ネタジョークを尤もらしい顔してシラ切り通すのだが、にしてもドジがスパイラルに相乗する畳み掛けと不穏なハッタリが味わい深い。不均衡は取り巻く世界の違和により価値観の転倒をもたらす。少女の眼差しとまん丸婦警の素の日常が標となるのだ。(cinemascape)

 

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