男の痰壺

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熱砂の秘密

★★★★ 2017年12月16日(土) プラネットスタジオプラス1
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ビリー・ワイルダーの初期作だが、ほとんど言及されていない作品と思う。
でも、すごく良い出来だった。
 
何といっても脚本が秀でており、全く緩まない。
ルビッチ直系の共闘者チャールズ・ブラケットとの共同脚本。
なんでも「グランド・ホテル」の』焼き直しらしいが未見。
 
第2次大戦下の砂漠の中のホテル1ヶ所での人の出入りによる戯曲めいた作品なのだが、虚実のない交ぜ方が秀でている。
ロンメルという実在人物を物語に介入させるのだが、これを似ても似つかないエリッヒ・フォン・シュトロハイムが演じてすごいカリスマだ。
名優の役者力を感じる。
 
ラストのパラソル傘に胸が少し熱くなった。
大戦下に散った儚くも美しい命に仮託したワイルダーの思い。
それが、後年の「シャーロック・ホームズの冒険」に継承されたのが感じられたから。
 
大戦秘話のような説話チック体裁がワイルダー独壇場だし出入りのサスペンスも冴えわたる。シュトロハイムのカリスマも実在人物の介入を迷彩した。小道具使いも良く、特に日傘は後年の『SHの冒険』のラストに直結する哀惜のロマンティシズムだ。(cinemascape)