男の痰壺

映画の感想中心です

ペンギン・ハイウェイ

★★★ 2018年9月2日(日) MOVIXあまがさき1
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平穏な日常が異物の混入により変容する。
アニメに明るくない俺だが、かの「ビューティフル・ドリーマー」あたりを始祖として「サマー・ウォーズ」あたりを劣化した折り返しとして今日に至るこの世界では普遍の中二病テーゼだろう。
正直うんざりだし、主人公の少年の屁理屈こねるキャラが又輪をかける。
 
のだが、この少年、性欲には己に正直であるのが好感をもたらす。
で、その対象の歯医者のお姉さんを蒼井優が当ててるのだが、違和感ありまくりのところを強引に彼女の世界にもっていってしまうあたり凄まじい力業だと思う。
この関係性において、映画はずいぶん救われたように思うのだ。
 
言うたら、少年はひと夏の間に何かを喪うって話で、おじさんである俺は「おもいでの夏」とか想い出したりするのであった。
 
ペンギンがキャラとして立っていない。
物語がそういうことを希求してないのだから仕方ないのだが、あの呆けた無表情が何がしかもう少しフィーチャーされてたらとも思った。
犬ヶ島」の犬を言うのは無いものねだりだとしても。
 
平穏な日常が異物混入により変容し少年少女が大活躍して平穏を取り戻すというウンザリな中二病世界だが、おっぱいへの異様な拘りと蒼井優のリアリズムが世界に風穴を開ける。ひと夏の経験で少年は何かを永遠に喪うという鉄板テーゼが辛うじて刻印された。(cinemascape)