★★★★ 2020年6月14日(日) MOVIXあまがあき2
全体的にダウナーな澱んだ空気が横溢してるので好悪わかれそうだ。
これは、ぜんぜん傑作でもないのに、ジャームッシュの総括的な役割を当てがわれてしまったトホホなジャンルムービー。
間延びしてるのが味とも言える会話の間。
縦や横への緩やかなカメラの移動。
などが初期作への回帰を思わせるし、トム・ウェイツやエスター・バリントといった顔ぶれも感慨深いもんがある。
マーレイとドライバーの楽屋落ち的なメタ会話やスウィントンの勿体つけた挙句のなんじゃそりゃな役回りなど、激しく救われない部分もあるが、それでも一貫した骨子はある。
それは、今の時代がどうしようもなく悪い方向へ向かってることへの深い諦念。
ジャンルムービーの新たな新機軸を模索しようとかの意欲はさらさらないのであって、ジャームッシュの絶望を表象するに必然的に選ばれたジャンルだったのではないかと思えるのだ。
アナログ回帰を謳った『パターソン』を換言した物質文明への絶望。ロクなことなりゃせんぜの詠嘆が醸すダウナー&オフビート基調は冴えない楽屋落ちで弥増され直角歩行ティルダへの期待は膝カックンで断ち切られる。懐かしい顔ぶれも交えた総括的お遊び。(cinemascape)