男の痰壺

映画の感想中心です

大平原

★★★★ 2025年4月21日(月) プラネットプラス1

一筋縄でいかない女心を描いて含蓄に富む映画である。バーバラ・スタンウィックは鉄道機関士の娘で郵便局に勤める明るく前向きな女性。ロバート・プレストンは鉄道建設の妨害に雇われた博徒だがバーバラに岡惚れで猛アタック。バーバラも嫌な気はしてない。そんな2人の前に鉄道建設推進の為に雇われたジョエル・マクリーが現れバーバラ胸キュンだが、プレストンとの件がありどーしよかである。尚、マクリーとプレストンは南北戦争従軍の戦友であり旧知の仲であった。

 

【以下ネタバレです】

映画の後半でプレストン一派は鉄道工事従業者の給料をかっぱらう。マクリーが追ってバーバラの家で3人が対峙することになる。プレストンは給料袋を彼女の家に投げ込んでいたのだ。バーバラは岐路に立たされる。心情ではマクリーが好きだし、正義も彼の方にあるのだが、結局彼女はプレストンを庇う。それは彼女なりの信義の通し方なのだ。それまでの、どこか能天気な流れは一変し、映画は俄かに悲劇的色彩を帯びてくる。

 

3角関係を縦軸に、大陸横断鉄道の敷設にまつわるスペクタクルを横軸に、デミル演出は緩急ない交ぜ闊達そのものだが、どこか大味なテキトーさもある。序盤で知り合って間もないバーバラとマクリーが手押しトロッコで荒野を行く件がある。叙情性あふれる好シーンだった。

 

岐路に立たされたバーバラは自身の心情や世の正道に背いても女の信義を通すわけだが、おかげで映画はそれまでの能天気な流れを一変させ俄かに悲劇的色彩を帯びる。だが緩急綯い交ぜ闊達なデミル演出のそこはかとないテキトーさが彼女を赦し祝福する。

 

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