男の痰壺

映画の感想中心です

マローボーン家の掟

★★★★ 2019年4月16日(火) 梅田ブルク7シアター6
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[ネタバレです]
 
映画が超常ではなくなったことが明かされる後半に一気に世界は収縮される。
ところであるが、喪失と救いがたい哀惜の想いが投入されてボルテージは維持される。
これは、「シックス・センス」や「アザーズ」の感触に近い仕掛けと論法だ。
 
筆致も明確で揺るぎがない。
この監督デビュー作を見てセルヒオ・G・サンチェスの今後に俺は期待する。
 
ただねえ、あの女の子がこの男のどこに惹かれて、これほどの苦難を共有しようとするのか。
その点が描き足りない。
医師の問いは、そのまま観客の疑問として残るのだ。
 
視点の倒置による衝撃は既視感ありまくりだし超常の喪失は世界を収縮させるのだが、それでも喪失と救い難い哀惜の想いは鉄板。演出も全篇にわたって落ち着いた的確を維持し奇矯に走らないのが良い。ただ、無私の愛を奉ずるにはやはりこれでは言葉足らずだわ。(cinemascape)