男の痰壺

映画の感想中心です

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ローマでアモーレ

★★★ 2013年6月13日(木) 大阪ステーションシティシネマ9 若手2人の恋話はボールドウィンを語り部として登場させることで得意の分析話術から寓意性が喪失し凡庸。アレンとベニーニが担う2つの超現実的小話もペネロペ絡みの艶笑譚も総じてモッサリし噛み合…

おとうと

★★★ 1981年2月21日(土) SABホール 暗黒波動が渦巻く家庭でも健気な姉弟はかく生きたという視点は無い。両者は乖離し相克を見ずドラマトゥルギー無きなか崑の歪な変質趣味と宮川の強固な偏執審美のみが際だつ。甘ったれた「おとうと」にも最後まで共感で…

ロマンスドール

★★★★ 2020年1月25日(土) 梅田ブルク7シアター2 現在の日本映画の監督で、新作が公開されえば、多少むりしてでも必ず見に行くってのが何人かいるような気がする。 タナダユキもその1人で、作品を全部見てるわけではないが、★4か★5しかつけたことがない…

リアル 完全なる首長竜の日

★★★ 2013年6月16日(日) MOVIXあまがさき4 ハッタリが転じて何かしら形而上的なムードを醸すならともかく、馬脚を現しジュブナイルな怪異譚に矮小化する様は、まるで『回路』の焼き直しのようだし、終盤にヤンチャし放題なのも同じ。首長竜の動きはオ…

ツィゴイネルワイゼン

★★★★★ 1981年2月23日(月) 三番街シネマ2 清順の内在に根差したらしき処から降って涌いたかの如くに確固たる認識で高等遊民を描いた昭和モダニズム世界が現出した点。それが、その技法上の破綻した個性と融合し模倣を許さぬ幽幻に到達した点。孤高の男の追…

テリー・ギリアムのドン・キホーテ

★★★ 2020年1月25日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 実現しなかった幻の企画ってのは得てして実現しなくって良かったってのが相場であって、しかも30年の時を経て、作り手がヨイヨイになって実現しました…なーんて愈々怪しいのであります。 「ロスト…

トータル・リコール

★★★ 2013年5月13日(月) 新世界国際劇場 取り憑かれたように画面内に情報を氾濫させ、緩みを恐れ性急な展開に汲汲とし余裕も無い。マーケット論理の奴隷と堕したとまでは言わぬとも御苦労さんなこったと思う。民衆不在のレジスタンス映画ってのも精神を見誤…

青春グラフィティ スニーカーぶる~す

★★★ 1981年2月25日(水) 伊丹グリーン劇場 たのきんは掛け値無くバカだったと思うが、バカも使いようであって陽のマッチに陰の俊ちゃんと絶妙な役柄とのマッチングの良さ。バカにしたもんでもない勢いは観客席を埋めた若い女の子たちの熱気にシンクロする。…

キャッツ

★★★★★ 2020年1月25日(土) 梅田ブルク7シアター7 舞台は未見だし、楽曲も「メモリー」は耳にしたことがあるが他は知らない。 当然にストーリーもどんなもんかは知らなかった。コアな舞台ファンからしたら門外漢であります。 前評判は散々であったし、実際…

イノセント・ガーデン

★★★★★ 2013年6月13日(木)TOHOシネマズ梅田4 垢抜けぬミアが本性を現し血の因果律の頚木を断ち切り乗り越える。何か新たなサーガの序章であるかのような奥行きが俄かに立ち昇る終盤に射られた。チャヌク演出には乾いた西洋的合理と淡い幻燈のような東…

心中天網島

★★ 1981年3月1日(日) SABホール 脚本・撮影・美術・音楽と成る程、時代の先鋭を感じさせる前衛的スタッフワークは素晴らしいのだろうが、何だかこれみよがしな感じがする。そんなのばかりが前面に出て心中に至るパッションが後方に霞むのであれば本末転…

ラストレター

★★★★★ 2020年1月21日(火) TOHOシネマズ梅田2 キャスティングを見たときに、守りに入ってるやんと思った。 松たか子と福山雅治ってのは無難だし、ましてや神木とすずに至っては食傷の感がある。庵野は遊びだろうしミポリンとトヨエツの「Love Letter」…

東京だよおっかさん

1月某土曜日の午後2時ごろ。東京は西馬込の駅前から少しのところにあるジョナサンで俺は女房と2人でコーヒーを飲んでいた。正直疲れていたし、外は雨で寒い中をずいぶん歩かされた俺たちは横の席にいた中国人カップルが麺をすすりながら何やら言い合いし…

箱入り息子の恋

★★★★ 2013年6月26日(日) MOVIXあまがさき3 手を握ったときの嬉しそうな仕草ひとつで男は変われるし何でもできる。閉塞状況を打破したい願望が渦巻く今このシンプルな提言を噛み締めたい。市井演出は時間軸の把握に余りに無頓着な一方、アングル使い…

ガキ帝国

★★★★★ 1981年3月10日(火) ニューOS劇場 1981年6月28日(日) 伊丹ローズ劇場 少なくとも、この映画にはマイナーなゴッタ煮的混沌の地平から何かを覆そうという気概が厳然として存在していた。西梅の地下街をそぞろ歩く横移動の臨場感もTVから流れる「ザ…

幸福の設計

★★★★ 2020年1月12日(日) シネリーブル梅田4 ジャック・ベッケルは「穴」は良作、「モンパルナスの灯」は普通くらいの評価しかもっておらず、先日見た「怪盗ルパン」が凡作だったのでどうもなあとも感じていたが、この3作は後期のものであり、ヌーベルバ…

アイランド

★★★★ 2013年6月24日(月) トビタシネマ 新味無き題材をベイが如何に料理するか期待もしてないが、体力勝負に出たあたり涙ぐましくさえあった。半端ない中盤の展開。高層ビルの縦方向の落下チェイスが高速道の横方向の弩級の破壊ショーに繋がる緩みの無さ。…

街の灯

★★★★ 1981年3月13日(金) 梅田コマゴールド ベタベタな情に流されそうに見えて、やるべきとこでは意外なほどにスラプスティックしている。その醒めたバランス感覚こそがベタを押し通させるのだ。でなけりゃ半素人相手に何十回もリテイクを出せるだろうか。…

フォード vs フェラーリ

★★★★ 2019年1月13日(月) 大阪ステーションシティシネマ2 当初のマイケル・マンからジェームズ・マンゴールドに監督が交代したそうな。 どっちも傑作を撮ってることは撮ってるけど、ここんとこはロクなもんがない監督ってことに俺の中ではなっていて、でも…

オブリビオン

★★★ 2013年6月13日(木) TOHOシネマズ梅田3 まあ、一応ビジュアルは良しとしても、フリーマン以下の面々が物語的に機能せずで寧ろ妻への想いの純度を薄め切なさを拡散。で、彼らがいないとしても、このネタは余りに近年で多く語られハードルが高い。そ…

流されて…

★★★★ 1981年3月16日(月) 梅田コマシルバー システムに順応していても環境変われば瞬く間に適応するポジティヴな本能。見事に図式的ストーリーだが、笑っちまうくらいの明け透けが堪らない。安いズーム使いの醸す大らかな余裕とシニカルで饒舌な批評観。こ…

ある女優の不在

★★★★ 2020年1月12日(日) シネリーブル梅田2 女優に送りつけられてきた、女優志望の若い女性の自殺画像をめぐって話が始まるが、いかにもなサスペンサブルな展開は志向してはいない。 でも、中盤までは、それがモノホンなのか或いはフェイクかの疑問が映画…

スプリング・ブレイカーズ

★★ 2013年6月24日(月) 梅田ブルク7シアター1 ヤリマンのズベ公たちがSEXバケーションの為にダイナー強盗…とまあ、掴みはエクスプロイテーション映画の王道に準拠するが、まーったくその後が転がらない。転がらないどころか女々しくシミッたれている。…

アシャンティ

★★ 1981年3月21日(土) トビタシネマ 顔見せ程度にちょっと出ては消えていくロートルスター達が緩すぎる。ユスティノフは全然怖くないしホールデンは柄じゃない。一方で砂漠で光るアラブの男ベディは嘗てのシャリフをも髣髴とさせ光る。冷えた好食材は親爺…

カツベン!

★★★★ 2020年1月7日(火) 梅田ブルク7シアター4 あんまり評判は芳しくないみたいで、確かに何か新機軸を打ち出したかというと無いというしかない。コメディという分野で「ファンシイダンス」や「シコふんじゃった」みたいなソリッドな切れ味を叩きつけてく…

嘆きのピエタ

★★★★ 2013年6月24日(月) 梅田ガーデンシネマ2 醒めた憎しみを滾らす子と母の予断を許さぬ展開が、近代化が崩壊し行く世相を背景に錯綜と混沌のスパイラルを形成するかに見えた前半。しかし、「愛」を肯定する胡散臭さで一気にトーンダウンする。それが理…

華麗なる相続人

★★ 1981年4月5日(日) ビック映劇 この何の芸当もないオードリーの復帰第2作を止める者は誰もいなかったのだろうか。薹が立った爺婆スタッフ・キャストに囲まれ安住するだけの彼女に年相応の枯淡も色香もない。無惨なだけで、つくづく『ロビンとマリアン』…

大列車作戦

★★★★★ 2020年1月5日(日) プラネットスタジオプラス1 子供のころにTV放映で見た記憶があるが、まったく忘れていた。不安もあったが、見始めてすぐにそんなもんは一掃される。傑作であった。 のっけからフランケンハイマー得意の縦構図がビシバシ決まる。…

華麗なるギャッツビー

★★★★ 2013年6月29日(土) MOVIXあまがさき7 逐一絵面で説明したがるラーマンに語らずに語るの極意なぞ言っても無駄なのであって、原作文を得意げに画面に貼る恥知らずにはキッチュの本質をさえ窺わせる。ともかく画面を虚構で充実させる努力は大した…

Keiko

★★★ 1981年4月11日(土) 梅田コマシルバー 主体性のないニッポン普遍的OLのコンテンポラリーライフ。流される主人公は劇的修飾を加えられ『トパーズ』や『リップ・ヴァン・ウィンクル』へと連なる。生態記録のように作為を廃したアドリブ的臨場感は生々し…