★★★★★ 2020年10月20日（火） ＭＯＶＩＸあまがさき２
高校生の自主映画製作の話を縦軸に、鬼である女子高生の青春の悶々が横軸として絡む。いうなれば真面にとりあうのもバカバカしい話ってことなのだが。
河内長野のご当地ムービーってことで、まあ言うなればディープ大阪の最深部のソウルが全篇を覆いつくす。それによってバカをバカ言うやつがカバやねんみたいな、やったもん勝ちのアホ丸出しの勢いが現出する。
主役の井頭愛海ちゃんであるが、おそろしくエッジが効いてない演技で、大丈夫かいなと思わせるのだが、そのことに本人は全く無自覚であると思われる。すごい才能である。そのヘタウマ演技が全篇を覆い、鬼一族がどうたらのほとんど真剣には興味が持てない話を粉飾してしまう。
惜しむらくは、高校生たちが挑んだ‘「連鎖劇」なるものが、どこにでもあるような舞台パフォーマンスと映像のミックスでしかない点だが、それが、吉村大阪府知事まで登場する現実に行われたご当地企画であるというドキュメンタルな枠組みの中で一定の納得性を付与されている。
いずれにせよ、これは自壊しかねない要素が満載の壮大なごった煮企画であったと思われるのだが、よく踏ん張ってまとめ上げてくれたと思います。敢えて★５としました。
鬼一族のレゾンデートルと青春の悶々、或いは自主制作映画の戦略の不可解。分裂不可避のゴッタ煮がディープ大阪最深部のソウル＝アホ言う奴がカバやねんのやったもん勝ち勢いの中でクロスオーバーする。自壊しかねぬシャバさもドキュメンタリズムが補完した。(cinemascape)
