「お〜かしくうって涙が出そう〜」
「またきたよ」
「あんどとろわ〜あんどとろわ〜」
「なんなんです?」
「これが笑わずにいられるかっての」
「はあ」
「世論調査見たか?ワクチンの接種遅れの原因は、国の準備不足77%.、自治体の準備不足25%、医師会の協力不足25%なんだってさ」
「そう言いたい気持ちもわかるよね」
「でもよ、一番の戦犯が抜けてるじゃん」
「マスメディアって言いたいんでしょ」
「まあ、それもあるけどな、でもよやっぱ一番ダメなのは国民じゃねえ?」
「ヤバいっすよ、そんなこと大きな声で言っちゃあ」
「世論調査の電話がかかってきてさあ、一番悪いのは私ども国民でございますてなこと答えた奴が皆無ってのも薄ら寒いぜ」
「そこまで言います?」
「最初の非常事態宣言のときさ、こんなに長引くなんて誰も思ってないあの頃によ、ワクチンなんて何時できるのか何年も先みたいに思ってて本気で考えてる奴なんかいなかったじゃん」
「そうっすかね」
「そうよ、仮に思った奴がいてもさ、規制の壁に二の足踏んじゃうわけじゃん」
「規制ねえ」
「1年前にさ、まだ海のもんとも山のもんともわからないファイザーやモデルナに買い付けを確約して手付けを払って治験協力も惜しまずなんでもやりまっせーって政府がやったらさ、日本の国民どう言うたやろね」
「…」
「でもよ、それやった国が先行取得できてるわけじゃん」
「…」
「後追いでさ、先行国の副反応とかさ見極めてからさ、おっとり刀でうちにも寄こせーってもさ、おととい来やがれだよ」
「そりゃそかもですね」
「そんななか、政府はようやってる方だぜ」
「リスクをとらず果実だけくれは通じませんわな」
「でも、日本って国はさ、そういう道選んできたわけじゃん」
「…」
「ワンツスリーあの三叉路でイチニサ〜ン軽く手を振りわたしたち…」
「これまでの俺たちに…」
「お別れなんですね〜」
2人はヒシと抱き合うのであった。