映画1994
★★★★ 1995年12月2日(土) 徳山市市民館小ホール 謙虚な長女とおキャンな三女に比して割喰う次女をバブリッシュなキャリアOLに設定し父親の対立項として設定したのが巧みで、氷解の楔が「料理」であることも良い。アン・リーのこの頃の演出は不器用だが真摯…
★★★ 1994年3月12日(土) 三越劇場 同じ小6の子供でも半分大人の女の子なら何かを描きようがあっても、純正ガキの男の子3人組では相米も手のつけようがなかったのかと思わせる。いたって平凡な児童映画の趣き。三國も当たり前すぎで面白くも何ともない。化学…
★★★ 1994年3月20日(日) ホクテンザ1 呪いの銃を持った凡人の破滅譚として物語は予定調和の域を逸脱するものも無い。しかし、媚びたところも全く無いのが初期の北野イズムに通ずるものを感じる。明らかに低予算でそれを隠す術もないのだが、撮影の小松原茂の…
★★★ 1994年3月20日(日) ホクテンザ1 全編手持ちカメラと思しく照明もしてるのかしてないのか解らない暗さでお手軽もいいとこなのだが、悪夢から吹っ切れようとしていたのだろう。俺はそういう人間の真摯に足掻く所業を支持したい。成り切れなかった『地下鉄…
★★★ 2001年11月15日(木) トビタ東映 ゴクミとのシリーズではウジウジと見ている者を大概いらつかせた満男であったが、寅の老化を間近で感じつつ負って立つ気概でもでたのか結構いい。牧瀬理穂も良い役に恵まれ好調。一方、寅は可愛そうな位影薄くかたせとの…
★★★★ 1994年5月3日(火) テアトル梅田2 通常の善悪の2項対立ではなくスパイラルに絡み合いながら沈潜してゆく怒りと憎しみ。隔絶された世界での2人の男の対決。切り取られたショットの全てが夢幻の世界の出来事めいている。この物語はこういう風にしか語ら…
★★★★ 1994年5月7日(土) 天六ユウラク座 好きこそ物の上手なれでアメリカかぶれ原田の特質みたいなのがビデオ映画『タフ』連作で見出し獲得した一応の職人芸と最良の形でマッチングし違和感無くはまった。木村一八がアメリカの役者や風景の中で全く浮いて見え…
★★ 1994年6月26日(日) 高槻セントラル 無駄に前衛しちゃうよりマシかもと思うが実相寺が乱歩を撮ればこうなるという想定イメージ内に安住しており退屈極まりない。徒に小奇麗なのも萎える。この原作はエキス的に純過ぎて世界が完結しているのだ。擬えるだけ…
★ 1994年6月26日(日) 高槻セントラル 乱歩稀代の傑作幻想譚は凌雲閣という高所から遠眼鏡で遙か下方のからくり細工の押絵の美女を視るというマクロからミクロへの瞬時の空間飛躍がもたらす孤絶感こそが肝であるのに技量が無く、替わって安易な時制錯綜で茶を…
★★★★ 1994年7月10日(日) 天六ユウラク座 現代的病理を描くにあたり、余りにシンプルな構成が強度を付与している。心地良いまでに抑制された演技と描写。一方で活劇的オリジナリティもある。日常と非日常の境目は些細な切っ掛けで決壊する。そういう怖さをモ…
★★ 1994年7月10日(日) 天六ユウラク座 どう転がしてもロクな話になりそもない設定からしてシャレにもなりよがないカス話は仕方ないが、それにしてもプログラムピクチャーの枠組みに安住し切っている。下降曲線を自覚せぬ赤井の昼行燈では為す術もないにせよ…
★★ 1994年7月21日(木) テアトル梅田1 石井隆が好んで撮りそうなサイコなのだが、この手の題材に不可欠のケレンやハッタリが未だ廣木演出には欠ける上に、決定的なのは学芸会かと見紛うばかりの出演陣の演技の拙劣。嗜虐願望の掌話程度なワンアイデアを無理…
★★★ 1994年8月13日(土) テアトル梅田2 抑圧が産んだ統制の美しさを前に無秩序な精神は自由の素晴らしさを提示できていない。カウリスマキはイベントに乗っかてるだけ。LCの連中のおふざけが段々鼻について来るくらいのRA楽団の人たちの一生懸命さは感動…
★★ 1994年7月30日(土) シネマアルゴ梅田 同性愛も近親相姦的愛もヤクザの息子であるということも足に障害があるということも奇矯な設定であるという以上の何ものをも物語に付加しない。陸上競技をする者が清々しくある必要はさらさら無いが、だったら通り一…
★★ 1994年8月13日(土) テアトル梅田2 本当にヘタレてる連中がヘタレた話を撮るからしみじみ良かったのであって、一家を成してしまったあとに昔の杵柄でなんて思わぬ方がいい。あざとくならないのは流石だが、逆に変な方向に突き詰められてしまった。すべる…
★ 1994年7月24日(日) 新劇会館 ブロスナンもマドセンも憎かろうはずがない…ましてやキム姐をや。ドナルドソンも総じて本作以降の監督作は好きだ。しかし、人にはやって良いことと悪いことがある。こんなことする位なら『第三の男』や『市民ケーン』をリメイ…
★★ 1994年8月14日(日) 新世界国際劇場 ナルシズム臭ふんぷんたる男でも他者フィルターを通せば何某かの愛嬌を醸し出す。そこがセガール映画の魅力でもあるのだが、自分で監督しちまった自惚れ鏡では救われないぜセニョール。ただジョアン・チェンが結構いい…
★★ 1994年8月16日(火) 千日前弥生座 詩情にせよ活劇性にせよシニカルな視線ににせよ純朴な崇拝にせよ超絶な個性にせよ無為な虚空にせよ入込み処が絞り切れぬままに芸なく尺だけ延びたのがコスナーの慢心に見えてしまうところが質悪い。神話をリストラクトす…
★★★ 2002年5月18日(土) 梅田ガーデンシネマ2 今までも散々作られてきた「激動の歴史に翻弄される家族の大河ロマン」の枠組みを1歩も出ない。次々と語り口のスタイルを変えていく映像形式主義者チャン・イーモウらしからぬ平板な描写。とは言っても正直、子…
★★★ 1994年9月17日(土) 北野劇場 作品が持って産まれた本来の間尺に凄まじい贅肉を付与し屋上屋を架し何時しかそれも又ひとつの味わいかと思うわけもないのだが、シュワとカーティスのカップルの憎みきれない田舎臭さが好ましくもある。でも、やっぱくだらん…
★★★ 1994年9月4日(日) 新世界国際劇場 ワンアイデアの中級サスペンスも手堅い職人監督にスピノッティ級の撮影を掛け合わせると上出来のサスペンスになる。ストウは人形みたく趣味でないが幻視するキャラとして表情の硬さが寄与し哀切さを醸し出す。他の地味…
★★★★ 2002年6月4(火) ホクテンザ1 『ナニワ金融道』的経済ヤクザのコンゲームは今となっては陳腐だが、主役3人の生き方は正味真っ正直で迷いが無く気持ちいい。特に仁藤優子が素晴らしく役所との絡みでは長廻しに耐え多面的な女心の表出を演じ切って出色。…
★★★★ 1994年9月25日(日) 三番街シネマ2 擬人化された狸を突然にリアリズム狸として視点を切り替える手法がベタとは思うがファンタジーと現実を往還するに十全な効果をあげている。メッセージが直截すぎて生硬とは思うが斜に構えて傍観するよかマシだろう。…
★★★★★ 1994年10月16日(日) 梅田東映パラス 人の営為には煎じ詰めれば意味あることなんて何も無い。小癪な達観だが強烈なウィットが全てのシーンを被い工夫が効いていてダルに流すところが全く無い。まともなことは悉く避け脚本構成やキャスティングは全て1…
★★★★ 1994年11月27日(日) 池田映劇 『忠臣蔵』にせよ『四谷怪談』にせよ大概にして欲しいという何の新鮮味もない題材を合体させると言う臆面の無さが素晴らしいと言えば素晴らしい。深作にしか出来ぬ芸当。そのいったらんかいの混沌から佐藤浩市の何とも言え…
★★★ 1994年11月27日(日) 池田映劇 リストラが瀑布のように加速化したバブル崩壊初期に娯楽映画としての小気味良い虚構と現実の深刻なリアリズムは到底相容れるものではないのだがギリの線で一応の折り合いをつけた。ダメ社員といってもそこはそれ映画なので…
★★ 1994年11月20日(日) 梅田東映パラス 閉塞的日常を描くに何も起こらないという設定は在り来たり。それを高度に突き詰めていけば何かに到達するのかも知れないがそこまでの覚悟も無い。設定からしてあざとさが匂い立つ微温ワールドの独善は思い上がりと紙一…
★★★ 1994年12月3日(土) 北野劇場 技術屋が作った余白の無さが横溢する。見せ場を繋げてダレ場がないのでキャラはシナリオの上辺をなぞるだけで埋没し余韻は遠ざかる。画づらのアイデアは幾つかあっても編集のエモーションに乏しいので決定力がない。いっそ更…
★★★★★ 1994年12月23日(金) OS劇場 仕掛けで見せるのでなく功夫技のみを純粋に追求したジャッキー源流の集大成。脚本・演出ともに奇を衒ったとこは一切無く年齢ギリで臨んで彼が残した恒久遺産だと思う。酔拳の「酔」に拘りそれが自壊技であったことも押さ…
★★★ 2002年10月15日(火) 扇町ミュージアムスクエア マギー・チャン登場後のおセンチ節の素晴らしさに酔うにつけサモ・ハン振り付けの香港武侠王道殺陣は不要だったとつくづく思う。それが浮くのを嫌いコマ伸ばし処理しまくったのも安易。喰い合わせの悪さを…