「いやまあ、おったまげた」
「えっ」
「びっくらこいたのこんこんちきよ」
「どうした?」
「ヘソで茶を沸かすったあ、このことだったのねときたもんだ」
「だから、なんなんです」
「園児に手出して性犯罪で捕まった保育士って2年で仕事復帰できるって知ってた?」
「いやあ」
「それがさ、短すぎるってんで2年を10年に法改正を厚労省が検討ってんだけどさ、違わね」
「そりゃそうだ、そもそもに復帰なしだよね」
「だろ、復帰すりゃあ又ぞろやっちまうに決まってんだからさ」
「親はたまったもんじゃないよね」
「…」
「…」
「お前さあ、子ども見て興奮する?」
「しませんよ、なんですか藪から棒に」
「いやな、ちょっと考えちまってさ」
「なんです、へんなこと言いっこなしですよ」
「今多様化の時代じゃん」
「えっ」
「だからさ、これってLGBTとかさ、そういうのと根っこ一緒くねえ?」
「何言い出すんだ」
「だってさ、10年前なら同性愛も幼児性愛も同じ変態カテゴリーだろ」
「ちょっと、声でかい、そんなの誰かに聞かれたら社会生命終わりだよ」
「ま、幼児性愛は外道だわな、そりゃそうだ。じゃSM愛好者は?獣姦愛好者は?」
「獣姦って」
「スカトロ愛好者は?屍姦愛好者は?」
「やめてくださいよ、気持ち悪くなってきた」
「…」
「…」
「そういうことだよ」
「何が」
「無差別に人殺す奴らが増えてるよな」
「えっ、いきなりで、話の筋道ぜんぜん見えませんけど」
「わからねえか」
「はい、さっぱりでさあ」
「人に優しい時代ってのは、今まで堰き止められてた悪意の奔流も開放しちまうってことよ」
「…」
「おい、ハチ公」
「へい」
「俺らも開放しに行くか」
「はあ、一応ガッテンだ」
そして、町に1件だけあるソープランド「花いちもんめ」で開放した彼らはオミクロンに感染したのである。