男の痰壺

映画の感想中心です

映画1973

赤い影

★★★ 2022年4月25日(月) シネヌーヴォ イタリア資本下のジャーロ風味を感じるという点でダリオ・アルジェントを、音楽ピノ・ドナジオからデ・パルマをと、影響されたんじゃないかと思って調べてみると「サスペリア」や「キャリー」より前の作品なんですね、…

㊙女郎責め地獄

★★★ 2003年5月14日(水) 東梅田日活 生きた鯉を相手にイッて見せる根性には感動はしたが、中川梨絵の台詞棒読みな大根ぶりは矢張り致命的に思う。盲目少女に対する思いと揺れ惑う脱出願望とのリンクが未整理でラストがはじけない。凝った美術や撮影、インサー…

都会のアリス

★★★★ 1993年12月19日(日) ACTシネマテーク 物語に依存しない純粋映画と言いたいが、イエラ=アリスに依存してることからは逃れられない。青臭いフォルムへの傾斜は贖罪されたかに見えてもヴェンダースが其処から真に解放されたいわけでもなさそう。その迷…

四畳半襖の裏張り

★★★ 2004年1月22日(木) 東梅田日活劇場 宮下と江角の密室でのからみは圧倒的ではあるが、一方で粟津の挿話が全然面白くない。大正の世相をスチールで挿入した近代史観へのアプローチは上滑りで何の感慨も覚えなかった。絵沢にどやされてピーヒョロと自己研鑽…

昼下りの情事 古都曼陀羅

★★★ 2004年1月22日(木) 東梅田日活劇場 主人公が現状から逃れたいのか諦念から受容しているのかが今いち伝わらない上に、悪も被虐も中途半端でダラけるなか小沼的耽美ギミックのみを中途半端に挿入されてもシラけるだけだ。京都の風情や情緒も鋭利に切り取ら…

男はつらいよ 寅次郎忘れな草

★★★ 1992年8月16日(日) トビタ東映 当て書きされたらしいリリーって役は浅丘ルリ子あってのものって事をつくづく感じるのも事実だが、お嬢さんの蓮っ葉芸的な無理感がなくもない。夜汽車の窓から見える遠い家の灯りに寄る辺ない1人旅の孤独が際だつ。その連…

遠い雷鳴

★★★ 1992年11月14日(土) キリンプラザ大阪 牧歌的光景の中で貧窮に陥っていく人々を淡々と描くことで完結しているので『遠い雷鳴』というタイトルから想起される史観で紐解く反戦メッセージが伝わって来ない。過酷な現実の中に一抹の希望を見出すより怒りこ…

喜劇 ここから始まる物語

★★ 2007年6月9日(土) 日劇会館 題材は悪くないが、二重構造にした意味が殆ど無いので冗長な展開にイライラさせられる。植木も宍戸も自己模倣の斜陽感が漂い見てていたたまれない。最悪なのは安易な自己再生。松竹イズムと気障なニューシネマ映像は負の相乗…

修羅雪姫

★★★ 2007年11月17日(土) トビタ東映 即席培養された「怨み」は過剰なまでの激烈さで消化されなければ矮小化する一方だから仕方ないのだろう。昭和の暗部の残酷見世物小屋の如き「ブッタ斬り」ショーが一種マゾヒスティックな悲哀をもたらすのが唯一の見所…

男はつらいよ 私の寅さん

★★★ 1990年4月7日(土) 日劇シネマ 岸恵子にお芸術家を振った段階で山田洋次は2度負けている。ステレオタイプな馴れ合いのキャスティングであることと、寅と織りなすドラマが端から透けている点でだ。何となくふられるんじゃなくて、はっきりと拒否されると…

女囚さそり 701号怨み節

★★★ 2009年8月23日(土) 日劇会館 全共闘崩れというリアルワールドと遭遇した虚構世界のヒロイン、ナミは必要以上に黙するしか処する術がないようだ。それはそれで面白くもあるが、矢張り終盤、女子刑務所内に舞台が移るとホッとする。「さそり」とは良くも…

ポルノ時代劇 忘八武士道

★★ 2009年8月23日(土) 日劇会館 丹波が何に絶望し虚無的になったのかが明かされぬままに「忘八」という畜生道に墜ちていくのは、穿った見方をするならポルノで女の裸がありゃあよかろうという一種嘗めきったかの如き輝男の達観かも知れぬが、見てる方は正…

戒厳令

★★ 1988年7月24日(日) 吹田映劇 絞りを水準に押さえた長谷川元吉のモノクロ映像は驚くほどシャープで最高到達点だと思うが、歴史(二・二六)や思想(ファシズム)からさえ隔たったところで吉田が描こうとしたものは余りに高踏的であり既存の映画文脈から遊…

ミツバチのささやき

★★★★ 1986年4月6日(日) 大毎地下劇場 1994年6月26日(日) つかしんホール 怖じることなくあらゆる対象を凝視するアナの大きな黒い瞳。その瞳にスクリーン越しに吸引される観客の視線というメタ構造の一方で映画内でスクリーンの『フランケンシュタイン』を晒…

北国の帝王

★★★ 2012年5月5日(土) プラネットスタジオプラス1 走行中や停車中の列車の脇や屋根上をボーグナインがひたすら行ったり来たりする。そこに直線運動の映画的ダイナミズムがあると言えばあるし画としても魅力的。ただ、頂上決戦的な男の確執のドラマが淡白…

やさぐれ姐御伝 総括リンチ

★★★ 2020年8月23日(日) 新世界東映 シネスケで評価が異様に高いので、相当に振り切れたものを期待してたのだが、そうでもなかった。「不良姐御伝 猪の鹿お蝶」なる映画のシリーズ2作目だそう。 女侠映画のエロバージョン的な制作意図なんだろうが、それで…

ロング・グッドバイ

★★★ 1982年7月16日(金) 毎日文化ホール チャンドラーとアルトマンの喰い合わせが問題。雰囲気身上の足し算の結果ミステリーとしてのロジックは消失。何がどうなってるのかの人間関係がさっぱり。撮影がズームと移動を使いまくりで微妙なニュアンスを形成し棄…

女囚さそり けもの部屋

★★★ 2012年8月25日(土) トビタ東映 冒頭の地下鉄シーンは良い。だが、その後街中を腕ぶら下げて走る梶は、さそりじゃなくて女の子になっちゃってるのだよ。伊藤演出の本気度の低下は著しい。その後も何に抗うのか不明の物語が綿々と続き白ける。李の怪演も…

オクラホマ巨人

★★★ 2020年2月11日(火) プラネットスタジオプラス1 なんだか意味不明の邦題である。「オクラホマの石油」ってんじゃダメなのはわかるが、なんで巨人?しかも助詞がないから固有名詞みたいで、これじゃ怪物の名前みたいやん。 ってなことも考え、配給会社…

戦争と人間 完結篇

★★★ 1981年8月7日(金) 日劇会館 三部作の中では一応見所が多い。ノモンハン事件の再現は必要だったのだろうし、当時の日活が成し得る最大限のスケールであったのだろうにしても、つまらない。終末へ向かっての激動の中、夏純子扮する中国人少女の生命力が一…

ジャッカルの日

★★★★ 2013年11月19日(火) 大阪ステーションシティシネマ11 ジンネマン演出はけっこう粗いのだがテンポだけはやたら良く、感情を排した即物的描写の連鎖が気持ち良い。こういうのを力技と言う。テロルのヒロイズムに言及するわけでもないのだが、この徹底…

赤い鳥逃げた?

★★★ 2019年7月7日(日) シネヌーヴォ 原田芳雄と桃井かおりと藤田敏八。 といえば、70年代を代表するアイコンで、この3人の組み合わせってのが、ありそであまりないんじゃなかろか。 のであるが、藤田敏八の映画に、あまり感じ入ったこともないので期待…

朝やけの詩

★★★ 1980年6月11日(水) 毎日ホール 大自然の無邪気賛歌風な小っ恥ずかしさを割り引いても半ドキュメンタルに開拓村の日常を描写した前半に限れば全く素晴らしい。しかし、仲代・佐分利が薩夫チック演技をし始め欣也の東映調が噛み合わない後半で一気に空中分…

フレンジー

★★★★★ 2018年12月22日(土) プラネットスタジオプラスワン 良い意味で枯れたのだと思う。 それまで、グレース・ケリーだティッピー・ヘドレンだと尖がったパツキン・クールビューティを常用してた。 それが、今作では主要女性キャストは、お世辞にも美人と…

映画に愛をこめて アメリカの夜

★★★★★ 1978年4月2日(日) SABホール 入れ子「パメラ」は茶番であるが、役者が役者を監督が監督を演じるメタ批評性が映画にダイナミズムを与える。絶頂期トリュフォーが才能の余禄で撮ったようなもんだが映画の神は皮肉にも降臨。自画自賛話を聞かされ気持…

マシンガン・パニック

★★ 1977年6月19日(日) 伊丹グリーン劇場 地道な聞き込み捜査を描いた映画で冒頭のシーンが派手な見せ場とは言え「マシンガン」は兎も角「パニック」はないだろう。売らんが為の無茶な邦題が罷り通る時代が懐かしい。内容は覚えていないが今見れば通好みの渋…