男の痰壺

映画の感想中心です

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ダイアモンドは傷つかない

★★ 1982年5月16日(土) トーエイ伊丹 勝手な思い込みで勝手に大人になったつもりの女子大生の妄想世界に何の共感を得られる筈も無く、藤田の思いを仮託されたと思しき中年男山崎努も安寧の世界へと埋没するだけ。アホらしい。田村正毅のフィルターワークのみ…

想像コロナ

「なんやねん、想像妊娠ならぬ想像コロナやったんかい、ふざけんなよな」 「ギャハハ、ほんまですわ、味覚障害があるとかもっともらしいことぬかしくさってからに人騒がせもええとこですわ」 「この1週間、陽性やったらあーだこーだで大騒ぎさせられて、腹…

おもひでのしずく (2009年9月18日 (金))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 民主政権始動に際して ●できもの数年前のことだが、お尻の中に、できものができた。最初は、少々痛いくらいだったが、しまいには歩行の1歩ごとに、脳内に衝撃波が襲う。辛抱堪らんと、とうとう医者に…

アクシデント

★★★ 2012年5月26日(土) 新世界国際劇場 彼らの仕事の徒に複雑化した阿呆らしさが映画的趣向だと認めるものの、やっぱ阿呆らしい。その阿呆らしさが肝心の疑心暗鬼劇を矮小化させてしまい、主人公がピエロに見える。ただ、4人の人物設定の背景世界をも垣間…

西鶴一代女

★★★ 1982年5月29日(土) 新世界東宝敷島 墜ちゆく女の人生の幾つかの局面を櫛団子方式でつなぐ脚本は目まぐるしい展開力で飽きはこないのだが大局的な奔流は零れ落ちる。栄華の時期は華が欠け悲嘆の時代は徒に自虐的な田中絹代の演技。明確なポリシー欠く演出…

もち

★★★★ 2020年8月7日(金) テアトル梅田2 過疎の村で中学校が翌年から廃校になる。 これは、その学校に通う中学3年生の女の子が主人公の話。 って言われて見たい人がどんだけいるのか疑問であります。テレビのドキュメンタリーとかで、見慣れた手垢のついた…

おもひでのしずく (2009年8月17日 (月))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 憂鬱な未来へ向けて ~「下流志向」を読んで~ 「下流志向」という本を読んだ。とりあえず、自分の少年時代(1970年代)に比べて今はどうだこうだと言うのだけはやめようと思った。 ただ、分析と…

11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち

★★★ 2012年6月16日(土) テアトル梅田2 稀代の道化か清心な殉教者かと問われたら、若松のスタンスは前者に近い筈だが、そうならば徹底的に笑いのめしてやるのが霊魂に報いる道であろう。遠慮は不要だった。東大や市ヶ谷での井浦新のリアルにダメな口跡が出…

野のユリ

★★★★ 1982年6月17日(木) 毎日文化ホール 性悪話を得意とするジェームズ・ポーが、青年のエゴイズムを適宜微妙に織り込むことによって、歯の浮くような性善話から巧みに逃れている。又、敢えてのモノクロ画面が端正で品があるのも良い。ただ、余りにこぢんま…

制約が産む自由、自由がもたらす視野狭窄

ツイッターを見るともなく見ててイイネした。 ・深夜テレビで偶然見た知らない映画。 ・映画館で2本立ての目当てじゃない方。 こういった出会いで知らなかった、関心のなかった映画を見て新たな発見をする。最近、こういうことが、めっきり少なくなった。 …

おもひでのしずく (2009年8月16日 (日))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 心地よき戯言 日本は、新たな経済成長モデルを模索せねばならない…そうだ。で、内需だと言う。「高齢化社会」・「食料自給率」・「環境問題」が3題話のように唱えられる。「介護」や「医療」や「農業…

ファウスト

★★★★ 2012年6月14日(木) 梅田ガーデンシネマ2 高利貸しの性器やその妻の衣装や助手の人工生命等、彼岸との境界を融解するミクロなギミックは刺激的ではあるが、鳥瞰的視座はCG含め大味。ただ、聖処女の金色の毛に被れた恥丘の美しさは紛れも無い真実で…

夫婦善哉

★★★★ 1982年7月8日(木) 新世界東宝敷島 1990年11月4日(日) 日劇シネマ 2000年9月9日(土) 高槻セントラル 微速度での崩落が際どくも真の地獄へと至らぬのは、何とでもなるやろという開き直りがあるからなのだが、それを主役2人の演技が裏打つ。特に中途半端…

ディック・ロングはなぜ死んだのか?

★★★★ 2020年8月9日(月) シネリーブル梅田2 ディック・ロングは人の名前であると同時にデカチ◯野郎の隠語だそうな。日本で言ったら一物長太郎みたいな感じでしょうか。 地方都市での犯罪(?)にからんで、登場人物たちのドジの連鎖が描かれる。コーエン兄…

おもひでのしずく (2009年8月2日 (日))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 掉尾の一新 7月の初旬。とあるビルから通りに出た俺は視界の隅を横切った影に何気なく振り返った。見覚えのある女の後ろ姿。立ち止まり、ゆっくり振り返る。「あっ」と思い、「久しぶり」と言いかけ…

別離

★★★★★ 2012年6月16日(土) 梅田ガーデンシネマ1 離婚と板挟まれた子供を物語るかに見えた展開は老親介護に舵を切ってから幾何級数的に諸問題を包含しつつ次々新たな展開を迎える。一寸見たこと無い作劇のダイナミズム。それが一巡後に戻った所は最早戻れな…

東京流れ者

★★ 1982年6月22日(火) 関西学院大学学生会館大ホール 体裁だけの物語が浅薄であることは仕方ないとは言え、どこか僅かでも肩入れする思いが作り手に無けりゃ観る者は道化みたいなもんだ。キッチュな装置と設定は仄かに泥臭く弾けそこねており、結局はダラな…

君がいる、いた、そんな時。

★★★ 2020年8月3日(月) テアトル梅田1 こういう話が悪いとは言わないが、世界があまりに収縮しているんじゃなかろうか。 フィリピーナの母親と日本人の父親をもつハーフの少年が、クラスでクソガキどものイジメの標的になっている。 そこそこガタイもいい…

おもひでのしずく (2009年7月14日 (火))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 死に急いでるわけではないが 4月に生まれて初めて酔って記憶を喪失した体験を書いた。若い時分から、「えー!覚えてないわ、酔ってたんで、まーったく、ぜーんぜん」とか結構言ってはいたが、嘘で、…

ミッドナイト・イン・パリ

★★★ 2012年6月14日(木) 大阪ステーションシティシネマ9 導入は『マンハッタン』の焼き直しだが、にしても巣晴らしいパリ賛歌で、続く2組のカップルの寸景も微妙な軋轢描写が相変わらず絶品。が、時空を超えてからの描写は殆どしょもない楽屋落ちの羅列で…

野火

★★★ 1982年5月26日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 「神」を切ったのは一見英断に見えるが、ならば新たな何かを付与するか残されたもの透徹させるしかない。考え得るのがカニバリズムだが表層的である。どんなジャンルも料理して見せるという夫婦茶碗の奢…

狼と豚と人間

★★★ 2020年8月9日(月) 新世界東映 最初の30分くらい、これは、ものすごい傑作なのではの期待でテンションが上がる。 3兄弟物語だが、配役の不親和がスリリングだ。高倉健って深作映画に出てたんやの異質感。気取ったグラサンで海の彼方の異国への憧憬語…

おもひでのしずく (2009年7月8日 (水))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 ミニスカとキャミに見る時代考 保守的であることがいけないわけではないが、度が過ぎるとかわいくない。 革新を重ねてきた潮流を逆行させる現象が、今の日本で散見されるようになってきた。嘆かわしい…

TIME タイム

★★★ 2012年5月26日(土) 新世界国際劇場 母をも圧殺されたお前が最底辺から這い上がって収奪システムの天辺を完膚なきまでに叩きのめすのかと思えばお嬢彼女と強盗ごっこに身を窶す様に何じゃこりゃと正直思うのだが、世の善良な女子どもの正統白馬王子願望…

生きる

★★★★ 1982年7月14日(水) 新世界東宝敷島 正直、この男の生き様の温さが反転するにせよ、汚濁に塗れのたうつレベルにも達せぬ公園事案の弾けなさで、一寸デカダンしてみたり純情に触れたり程度のままごとも終盤の時間軸の解体再構築で醒めた視点に晒される。…

グッド・ワイフ

★★★ 2020年8月5日(水) シネリーブル梅田2 やりたいことはわかるのだが、メリハリが足りないし、もっと言えば毒が足りない。 クソ女の転落を描くに、新人女性監督には、そこまでの同性嫌悪を露わにするのが躊躇われたか。 それにしても、この富裕層のご婦…

おもひでのしずく (2009年7月2日 (木))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 最近わからない2つの事柄 ①ハトヤマどうも今いちわからないのだが、いや、民主の鳩山代表の政治資金の件なのだが、何があかんのでしょう?自己資金をAさんBさんCさんからもらいましたと記載しただ…

愛と誠

★★★★ 2012年6月17日(日) MOVIXあまがさき9 今時「ブルジョワ」対「不良」のお笑い構図をやる為の納得コンセプトではあるが、にしては終盤結構マジ涙腺を刺激され、嘗ての三池が必ず陥った破綻を回避するネバリ腰。ただ、その一歩手前を線上で維持し…

おかしなおかしな石器人

★★★ 1982年5月28日(金) 伊丹グリーン劇場 どうでもいいような間延びコメディとも言い切れないのは、かのハリーハウゼン直伝のデヴィド・アレンの特撮が高水準だからだろう。それが要所を締めるおかげで間延び度も綿密な計算に裏打ちされてるかと錯覚しそうだ…

血槍富士

★★★★★ 2020年8月2日(日) シネヌーヴォ 内田吐夢の戦後復帰作であるが、テイストが山中貞夫っぽいのが驚きだ。って思ったら脚本が三村伸太郎。山中の現存3作の脚本家だった。「百萬両の壺」の剽軽が「紙風船」のペシミズムに急転する。これは、いったいど…